曖昧批評

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NHK大河ドラマ「麒麟がくる」最終回の感想

2021-02-07 20:58:35 | 大河ドラマ



「麒麟がくる」最終回をBSでリアルタイム視聴した。

御膳取り違えキックは、招待された立場なのに饗応役を指名した家康を試す芝居だった。新しい解釈だ。が、十兵衛の謀反メーターがまた上がった。さらに、鞆にいる義昭を殺しに行けという。もう信長は十兵衛の背中を押すようなことしか言わなくなっている。

十兵衛の周りの人たちも、皆十兵衛が立ち上がればいいのにと思っている。天皇や関白や太夫もそういう雰囲気。もう逃げられない。追い詰められて、愛宕大明神?で決意。「敵は本能寺にある。我が敵は織田信長と申す」出ました。

出陣直前、菊丸が忍び込んできた。家康と手を組んで、穏やかな世を作りたい、と家康殿に伝えよ。そんな世になったらまた会おうぞ。ここはちょっと泣けた。

京へ向かう明智軍。妻煕子の思い出が「麒麟を連れてくるのは貴方だといい」という。十兵衛には全てが、これから実行する史上最大の反逆を正当化しているように見えている。それが大河の主人公。

攻撃開始。意外に明るい。イメージでは、夜で暗くて、燃え盛る本能寺、手すりに足をかけて弓を引き絞る信長、肩を射抜かれて槍に持ち替えて奮戦、なのだが。早朝だったらしいのでこれは僕のイメージの方が間違っているのだろう。攻め手が水色桔梗なので明智ですと聞き「是非もなし」という定番のやりとりはあった。

相手が十兵衛と知って俄然やる気を出す信長。目が輝いている。速攻で肩を射抜かれたが、槍を振り回して大暴れ。殺陣は若干ぎこちなかった。まだ火の手は上がってない。明るい早朝の本能寺。

信長、何発か銃撃も喰らって観念し、奥の間に引っ込み、火をつけて儂を燃やせという。やっと火の手が上がり、戦闘終了。信長は丸くうずくまって静止していた。人間五十年の舞はなかった。

そこからはナレーションで飛ばす。誰も十兵衛のために動かなかった。予想外に早く戻ってきた秀吉に敗れ、光秀は死んだ。

三年後。正親町天皇と東庵がすごろくしながら世の中について雑談。武家の棟梁が何度も政権を握ったが、やる気があったのは信長、明らかにそれがあったのは明智という正親町天皇の評。秀吉はダメらしい。

駒が義昭と会う。十兵衛が生きているという噂があるらしい。そんなバカなと笑う公方。街の雑踏で十兵衛っぽい侍を見つけて追う駒。でも角を曲がったら誰もいなかった。長谷川博己が一騎で街道を駆けていく。で、エンド。

・・・・・

ここまで徹底的にさわかな主人公だった十兵衛なので、変の後の不人気、やられ役の史実をどうするのか心配していた。やはりそこまで絵では描けなかった。細川藤孝、筒井順慶の不参戦、山崎の惨敗、農民に刺されたとも言われている最期、全部ナレーションで処理された。

細川藤孝だけは、少し仄めかしがあった。十兵衛謀反の可能性を秀吉に知らせていた。その連絡を陣中で受けた秀吉は、悪い奴の目で「明智様が天下をひっくり返してくれれば面白い」と官兵衛に言ってた。官兵衛は「軍師官兵衛」で官兵衛が好きすぎる忠臣・栗山善助を演じた濱田岳という粋な配役だが、変事を知っての「ご運が開けましたな」はなし。それ以上に秀吉が邪悪だった。

僕の予想、徳川家康に麒麟を見る、まではなかったが、というか麒麟現れなかったけど、家康に託すは合ってた。ちょいちょい出てきては十兵衛と心を通わせる菊丸(家康の忍者)の存在もあるし、わかりやすい展開だったけど。

変の原因は、信長の性格の全て、あるいは信長と十兵衛の痴情のもつれ。敵が十兵衛と知った時の嬉しそうな信長ったらなかった。十兵衛と戦えるのが楽しくて仕方ないと言った感じだった。信長の歪んだ愛情を受け止めきれなくなった十兵衛の犯行が本能寺の変なのだ。このドラマでは。

生存説を匂わせながら想像にお任せするラストは、賛否両論ありそう。皆に好かれる爽やかな十兵衛が、惨めに殺されるシーンは見たくなかったので、個人的にはあれでいいと思う。そして、これまで基本悪役のイメージしかなかった明智光秀を、思い入れできるいい奴に演じて見せた長谷川博己は素晴らしかった。この長谷川博己は殺せない。


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