曖昧批評

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日本シリーズ2016 の感想

2016-10-30 14:10:28 | スポーツ
スワローズは出ていないのに、今回の日本シリーズを全試合テレビで観戦した。臨時にファイターズを応援することにして。理由はいろいろあるが、

ファイターズは憎いホークスを撃破してくれた。

僕は道産子である。

現在北海道に住んでいる母がファイターズファン(というか栗山監督のファン)である。母は肩を怪我して現在リハビリ中であり、ファイターズが勝てば気持ちが明るくなるかもしれない。

スワローズは惨敗したのにカープが簡単に日本一になるのは嫌。日本シリーズはそんなに甘くない。

といったところである。

では第1戦。

C 5ー1 F
勝:ジョンソン 負:大谷

勝敗の分岐点はいろいろあったが、まず直前まで降っていた雨。マウンドが柔らかくて、6球団中4球団がドームのパリーグ大谷には不利だった。それはジョンソンも条件は同じといえばそうなのだが。

第2戦。

C 5ー1 F
勝:野村 負:増井

真っ赤なスタンドの後押しがカープの勝因かな。菊池のバスター、その後の一塁送球エラーなどは球場の雰囲気に飲まれた感じ。平常心を欠いたファイターズ打線は、手元で微妙に動く野村の変化球を捉えられなかった。

第3戦。

F 4xー3 C
勝:バース 負:大瀬良

黒田は完璧に調整してきたが、さすがに年齢のせいか6回を投げきれず緊急降板。そこで中田にだけヘーゲンズを投入したのが後に響いてくる。大谷の最後の変態打ちサヨナラタイムリーも、何を投げてもヒットゾーンに落とされるという恐怖をカープに植えつけた。だが、分岐点はレフト松山に守備固めを出さなかったこと。黒田に勝ちをつけたかったのだろうが、あそこは1点は諦めて後ろにそらさないようにすべきだった。

第4戦。

F 3ー1 C
勝:谷元 負:ジャクソン S:宮西

シーズン中も4連投はなかったらしいのに、勝ちパターンにこだわってジャクソンを投入して勝ち越し2ランを被弾。ファイターズもエルドレッドの大飛球を近藤がエラー。あれはセンターの岡が捕るべきだった。両軍とも重大なミスが止まらないが、ファイターズは投手陣が粘り強く耐えた。

第5戦。

F 5ー1 C
勝:バース 負:中崎

2回からロングリリーフしたメンドーサの快投が、札幌なのに盛り上がるカープの応援を静かにさせた。先発ジョンソンはきっちり仕事をしたが、5試合連続同じ継投。さすがに疲れるし、慣れられるって。今村はついに失点し、中崎は致命的な満塁弾を浴びた。

※中崎の崎はいわゆる立ち崎だが、機種依存文字だってIMEがいうから普通のにしてます。

第6戦。

C 4ー10 F
勝:バース 負:ジャクソン

緒方監督、また同じ継投。6連投のジャクソンが押し出し、投手からタイムリー、満塁被弾と試合を壊してしまった。そうなる前に手を打つべきだったが、ブルペンにいたのは9回を任すと堅く誓っている中崎だけだった。

総評:

監督の采配センスの差が出た。ヤフー掲示板などでは緒方も経験を積めば、なんて言ってる人が多いが、才能、素質がないのだと想う。去年も、これに勝てば3位でCS進出というペナント最終戦で、リリーフ待機の黒田を投入せず負けたと記憶している。去年の経験が生きてないのである。経験を積んでもダメだった。向いてないのである。

それに対して栗山采配。制球が定まらない鍵谷、井口をなかなか変えなかったりなど、細かい疑問点はあるが、それ以外は、さすが国立大卒で大学教授の経歴を持つ男、と思わせる智将ぶりだった。大谷をネクストバッターズサークルに出して威嚇し、中田が押し出し死球を選んだら次打者のバースをそのまま送るところなどは、野村克也を髣髴とさせる。あのシーンは二つ意味があった。残りのリリーフ陣を考えると、代打を送ってバースを下げるよりバース続投で1点を守るほうが確率が高いという判断が一つ。もう一つは打者が投手だということでジャクソン続投を誘導しつつ、実はバースはバッティングが上手いということ。バースがフリー打撃で綺麗なスイングから凄い打球を飛ばしていたのを、栗山はきちんとチェックしていたのだろう。以上のことから、あそこはバースそのままで十分追加点の可能性もあり、打てなくてもバースの投手としての調子がいい、と考えたのだ。ノムさんとは1年しか一緒にやってないから、あんまり薫陶は受けてないと思うんだけど、野村IDのような采配だった。

今年はセリーグ本拠地から始まるので、最初はカープ有利かと思ったのだが、逆だった。大谷がマツダスタジアムで2回先発できるので、ファイターズは2試合も9人攻撃できるのだ。その2勝+札幌でなんとかごまかしてでも2勝すれば日本一、という明確なプランがあった。芸能界全体がカープ推しなのに対して、ほとんどの評論家が4勝2敗でファイターズと予想したのはそういう根拠だった。

対してカープはジョンソン、野村、黒田の3人は強力だが、先発5人目以降がいなかった。福井、ヘーゲンズ、あるいは九里かと思われたが、第3戦でワンポイントとはいえヘーゲンズを使ってしまい、第4戦を落としたことで後がなくなったように感じたのか、中4日で切り札のジョンソンを投入。ジョンソンは無失点に抑えたが、中4日のため6回しか投げられず、7回からは何とかの一つ覚えで昨日打たれた勝ち継投をやって、また失敗。ジョンソンを出したからには「勝負をかけている」わけであり、何が何でも勝たなければならなかったのに采配ミスで勝てる試合を落とした。

「結果論」「裏目に出た」とよく言われる。結果が悪かったから糞采配と言われるだけで、結果がよければ名采配だったのだ。表が出るか裏が出るかは分からないのだ、という。しかし、それやっているうちは、カープは永遠に日本一になれないと思う。

野村ID野球は結果論を否定する采配だった。いろいろ考慮して、こちらのほうが成功する確率が高いと判断したら、結果が悪くても采配は間違っていなかった、とする考えだ。もちろん、結果が悪かった理由はきちんと分析して、次は同じ理由で悪い結果にならないように気をつける。それを続けているうちに、成功する率が上がってきて、チームは勝ち続けるようになる。

どんなに奇策に見えても、こっちのほうが確率が高いと判断したら自信を持って実行するのがID野球だ。というか、確率が高ければID野球的には奇策ではない。昔、スワローズに宮本賢治という投手がいた。その試合、先発して好投していたが、7回に突如捕まった。野村克也は8回だけ宮本をレフトに入れ、リリーフ投手を送った。9回に宮本を投手に戻して勝利。野村克也が言うには、8回の一イニングでレフトに難しい打球が飛ぶ確率と、宮本以外の投手が9回を抑える確率を比較して、後者のほうが低いと判断した、ということだった。そういう、一見奇妙だが理に適う野球をやっているうちに、スワローズは4回のリーグ優勝と3回の日本一に輝いた。

追加点が入るかどうか分からない代打大谷(かなり疲れている)、その後手薄なリリーフ陣(マーティンがいない)で抑える率と、投手だけどバースが打つかもしれない・打てなくても好調バース続投で抑える率を比較して後者を採用したような、そういう采配を普通に振るえる栗山ファイターズが日本一になったのは必然だった。全てが終わった今だから言えることで、マツダで連敗したときはヤバいと思ったけどね(笑)

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