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深海魚、静岡県で相次ぎ出現…大地震の前触れ?

2012年06月09日 18時19分07秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

展示された深海サメ「ラブカ」の剥製(深層水ミュージアムで)

(2012年6月9日08時43分  読売新聞)

 「生きた化石」と呼ばれる深海サメの仲間「ラブカ」が4月、駿河湾で捕獲され、8日から深層水ミュージアム(静岡県焼津市鰯ヶ島)で剥製の展示が始まった。

 深海に住む生物を巡っては、県内では昨年12月にも、牧之原市の海岸で「リュウグウノツカイ」が打ち上げられており、地元住民からは「大地震の前触れか」と心配する声も上がっている。

 展示されるラブカは体長1・3メートルのオスで、4月11日早朝、サクラエビ漁をしていた漁船の網に、他の3体とともに生きたまま引っかかった。

 ラブカは、水深500~1000メートルに生息。肌は黒褐色で、口の中から外に向かって小さく鋭い歯が張り出している。エラ穴がサメよりも一つ多く、6対あるなど、古生代のサメの祖先に特徴が似ているという。

 同館は、捕獲された1体に深層水を掛け流すなどして飼育しようとしたが、半日ほどで死んでしまった。ただ、死後の状態は良いことから、剥製にして展示することにした。

 深海生物が浅い海に出現したり、海岸に打ち上げられたりといった現象は、しばしば「天変地異の前触れ」などと考えられがちだ。昨年12月には牧之 原市の静波海岸に打ち上げられた、長い背びれと尾びれが特徴の「リュウグウノツカイ」も、「地震の前に姿を現す」との言い伝えがある。

海岸に打ち上げられた深海魚「リュウグウノツカイ」(牧之原市役所提供) 

このため、地元住民からは「大地震の予兆のように思えて仕方がない」「動物は自然現象に敏感と言われるので不安」(いずれも焼津市民)といった声も聞こえてくる。

 こうした「前触れ」説に対し、深海魚の生態に詳しい東海大学海洋科学博物館の手塚覚夫学芸員は「季節風で表面の海水が流され、それを補うように海底から海水が上昇する『湧昇流』で運ばれてきたのだろう」と分析。

 

 深層水ミュージアムの八木孝博館長も「地震との関係は不明だが、サクラエビを追って来たのでは」と、懐疑的に見ている。