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県立図書館閲覧・貸し出し廃止検討、再考求める声広がる/神奈川

2012年11月12日 05時57分47秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

11月11日(日)19時15分配信

 
 
県教委が廃止方針を表明した県立図書館=横浜市西区

 県立図書館における貸し出しと閲覧について、廃止検討を打ち出した県教育委員会。横浜、川崎の特色ある2館は、豊富な蔵書を誇り、半世紀以上にわたり県 民の「知の拠点」という役割を担ってきただけに、利用者は困惑し落胆を隠せない。唐突ともいえる県教委の方針表明は、県の緊急財政対策のしわ寄せを受けた 形。再考を求める声が広がっている。

 緑豊かな落ち着いた雰囲気に包まれた横浜市西区紅葉ケ丘の県立図書館。横浜市南区の男性(55)は「とても残念」と失望を隠さない。現在は失業中で、再 就職に向けて週5日ほど利用し、コンピューター関連の本を読む。混雑しがちな近隣の横浜市中央図書館に比べて「静かで利用しやすく、気に入っていた。削る べき経費はほかにあるはず。なぜ図書館なんだ」と憤る。

 同市戸塚区のアルバイト女性(21)も困惑する。月に1日ほど足を運び、本を借り、自習室で英検の勉強をする。地元にも図書館はあるが、「(県立図書館 は)蔵書が豊富で小説などの古い本があり、利用できなくなると困る。自習室を使えなくなるのも悲しい」と利用廃止の再考を求める。

 週に2日以上利用するという同市磯子区の研究職男性(76)。落ち着いた雰囲気が調査・研究に向いており、「今後の活動に大きな支障が出る」と訴える。資格試験の準備などで利用している人も多いだけに「学習意欲をそがれてしまう人も多いのでは」と話した。

 一方、全国トップクラス、1万5千冊以上の会社史(社史)を所蔵する県立川崎図書館。その特色を生かし、図書館機能にとどまらぬ貴重な存在になっている。

 たとえば、高度経済成長期に入る1961年には、同図書館を拠点に周辺の企業の資料室担当者らが「京浜地区資料室運営協議会」を設立。後に県資料室研究 会として発展し、現在は県内企業、研究機関の資料室や知的財産部門を持つ県内企業を中心に90を超える機関が加盟している。事務局は同図書館に置かれ、企 業間連携の取り組みや社史の研究の場にもなっている。

 こうした経緯もあり、民間企業の技術者らの来館が多い。長年にわたり同図書館を利用している企業関係者は「科学技術の発展や最先端の研究を形にした書籍や文献からは、情報を年代ごとに、系統立てて入手することができる」と話す。

 同図書館と並び、国内有数の社史の所蔵で知られる大阪府立中之島図書館(大阪市北区)とは「社史グランプリ」を共同企画。「工都」と「商都」に立地する特色ある図書館ならではの魅力を発信している。

 利用者は「貴重な蔵書はもちろん、図書(情報)の収集、整理、提供といったノウハウ、機能は残してほしい」と訴えた。



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