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森羅万象 ~ 歩く印象派

中国の日本国債買い増しの意図はどこにある?

2010年09月26日 04時50分50秒 | 歩く印象派
サーチナY!V 2010/09/23(木) 08:37

  中国が世界一の外貨準備高の運用先として日本国債の買い越しを続けている。1~7月までの累計買越総額は2兆3157億円という。

  日本の野田佳彦財相が目下の円高が中国の日本国債買い増しと関係があると発言したことについて、中国の著名エコノミストの謝忠国氏は「中国が運用している資金はそんなに多くなく、関係ない」との否定の見解をのべた。その見解は今のところ正しいだろう。ただ、気になるのは今後、である。

  中国の日本国債買い増しについて当初は、日本側は中国の意図がよくわからず、むしろ中国の日本国債買い増しは歓迎すべきこと、という意見が目立ったくらいだった。だが、いったん尖閣諸島付近の漁船衝突事故など日中間のかくれていた問題が浮上してくると、日本国債買い増しも単に外貨準備高の運用先を分散させたり、日本国債に対する信頼が高いといった理由以上の外交上の戦略的意図があるような気がする。それは、政府系シンクタンクの社会科学院日本研究所の専門家が尖閣問題にからみ日本に対する圧力のかけ方として、円資産を買い増しして円高誘導すればいいという主張をみても、感じられる。

  中国のドル資産売り円資産買い増しが今後、今以上のペースが続けば、確かに、日本の円高を誘導し、日本の輸出産業を苦しめ、技術力を含む日本の産業の中国移転を推し進めると同時に、日中経済を緊密化させ、日本金融への影響力を拡大していくかもしれない。もちろん一蓮托生と言う意味では中国経済が日本経済に対する責任も負うことになるし、もし中国が普通の民主国家で自由主義経済国であれば、むしろ日本資産暴落のリスクを海外にも負ってもらえると歓迎すべきことなのかもしれない。が、問題は中国は普通の国ではない、と言う点だ。

  中国は軍事色の強い独裁国家で、事実上の為替操作も行える国である。しかも、日中間にはそれこそ尖閣諸島問題のようなシビアな利害関係がある。そして最近の中国軍人の著作物や論文や発言の多さなどをみれば、軍部の発言力は確実に強まっている。中国が本気で海洋覇権の道を模索している今、いくら一時的に尖閣諸島問題を丸く収めても、早晩対決はさけられない。そのとき、中国に膨大な円資産を握られていたとしたら?
尖閣問題の影響で、中国側は、対日貨物の通関検査を強化するなどの嫌がらせにでたり、日本旅行の自粛をよびかけたりしており、じわじわ産業界への影響が出始めている。だが、日中経済の緊密化がはらむ本当の怖さはこんなものではないだろう。(編集担当:三河さつき)


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