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森羅万象 ~ 歩く印象派

1月2日(金)映画「バンクーバーの朝日」を観る。

2015年01月02日 23時59分03秒 | 歩く印象派

監督は『船を編む』の石井裕也。

足利市で本格的なロケセットが組まれたことも話題となった。

 

 戦前、日本からカナダへ渡り様々な差別や貧困の中で慎ましくも肩寄せ合いながら暮らす移民一世と二世の姿が誇張もなく丁寧に描かれています。若い二世たちは昼間は厳しい労働に明け暮れながらも野球を通じて仲間同士励ましあい、一世を中心とする日本人社会に触れ、さらには無理解と思われたカナダ人たちとも交流を深めていきます。
  野球というテーマがなければ、プロレタリア文学の世界かと思うくらい、絶望的な状況にありながらも、カナダ人との関係を敵対ではなく理解して行こうという主人公の妹の姿に心打たれました。
  決勝戦で試合を制し見事優勝した彼らにカナダ人も日本人も互いに讃えあい漸く理解も深まりそうな気配。しかし、そのささやかな空気は一瞬にして引き裂かれてしまいます。1941年12月7日(日本では12/8)日本軍のハワイ攻撃、つまり、太平洋戦争のぼっ発によって、カナダ在住の日本人は敵性外国人として強制的に収容所へ送られてしまうのです。
この映画は戦争映画ではありませんが、当時の日本という国が中国で侵略を推し進め世界の中で孤立を深めていく過程が背後にあることをひしひしと感じます。



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