Mr.トレイルのオーディオ回り道

「音質アップ」を目的として、
システム全体の「基礎的項目の見直し」に、
重点を置いて試行錯誤や実験をしています。

JBLのウーハーの変遷と失ったもの

2010年01月08日 | ピュアオーディオ

JBLのウーハーの音質について時系列的に考えて見たいと思います。
LE-15A→プロ用#2215A→プロ用#2231Aと変遷して来ていますがその音質の違いを述べて見たいと思います。

LE15Aは1950年代の後半、1960年にはオリンパスに使われています。この頃は「プロ用」と云う認識はなく、10年間ほどはLE15Aと云う型番で作られていますが、この10年間に同じLE15Aでも音質は大きく様変わりしています。初期型のLE15Aではほとんど固有の癖は感じられなく、D130の低域側のレンジを延ばした印象です。それがSN#7000番以降では、若干固有の「粘る様な低音」がかすかに感じられます。SN#10000番くらいまでが16Ω仕様で、以後は8Ω仕様になっていると推測されます。#10000番台は入手した事がないのではっきりは云えませんが、#20000番台を聴くと「粘る様な低音」の癖が大きくなって、一般に云われる「LE15Aの音」になった様に思います。この時点で#7000番台以前とは大きな音質の差が出来ています。#7000番台を聴いてからは#20000番台は「バタ臭い音」に聴こえてしまいます。#70000番台になると更に「音質」は悪くなり、もっと「バタ臭さ」を感じますし、粘りも多く、分解能も音の品位も低下しています。

SN#70000番台辺りまでがウーハーフレームの塗装色が「灰色」です。(初期型はブルー)後期型の「黒色」は#80000番台辺りから始まるのでしょうが更に音質低下しています。

この後JBLではプロ用ユニットに移行して行きます。そのトップバッターが#2215Aです。モニタースピーカー#4320に採用されたウーハーです。その後、#4343では2231Aに変わっていきます。ここまではアルニコマグネットです。姉妹ウーハーとして#2205Aや2220Aが出て来ます。

これら#2215A、2205A、2220AのウーハーをSN#7000番台のLE15Aと比較しますと「ザックリ」とおいしい所の「質感」(オフの音)がなくなっています。LE15Aの後期型の「粘る様な質感」はなくなっていますが、「音数」が2/3以下になっているように感じます。低域のレンジを広げる為に「音数」や「質感」が大幅に低下していました。

その頃は、オーディオ雑誌やオーディオ評論家諸氏が「コンシュマー用よりプロ用が音質は良い」と云っておられた頃で、今実際に確認して見ると芳しくない内容でした。

過去に27年間JBL#4343(A)を使い続けて来ました。この#4343に使われているウーハーは#2231Aと云うものでした。#4343も使い続けて行くとコーン型とホーン型の2ウェイの様なもので、ミッドバスの質感とクロスオーバーポイントが不適切な為、「人の声」が上下に常に「ブレる」もので、コーン型の質感とホーン型の質感がうまく一体化しませんでした。

それらと決別出来たのはLE15Aの初期型やD130の初期型のウーハーと出会ってからです。プロ用ユニットが出て来た時は、「重低音」に魅了されましたが、重低音を出す為に「大切なモノ」を欠落させたウーハーになった様に思います。30年以上もほとんど毎日聴いて来ますと「自然な」音とは違う事に気付いて来ました。

D130の音は「軽い低音」、「反応の良い低音」とかいう様に表現される事が多いですが、非常にバランスが良いのです。重低音は出ませんが「深みの有る低音」を出して来ます。またこの事は「音数」の多さにも繋がります。使って見てその良さが判ります。「深みの有る低音」は「重低音」に匹敵するくらい素晴らしい特徴です。音楽を「迫力」で奏でるのではなく「深みや奥行き」で奏でてくれます。

JAZZでは「軽く弾む」サウンドになるし、クラシックでは「重厚な弦楽器の質感」を表情豊かに出して来ます。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
オリンパスかなり追求されているのが分かります。... (ベルソン)
2010-07-04 18:09:13
ブルーフレームのLE15Aは
初期というだけでなくアルニコが
強力なのか大きいなどの違いも
あるのでしょうか?
ベルソン さん コメントありがとうございます。 (トレイル)
2010-07-04 21:02:00
企業は開発する時は「良い物を作る」と言う姿勢で進みます。一度商品が出来上がると「コストダウン」をして利益を出そうとします

この観点から推察しますと、アルニコマグネットの材質やコーン紙・ダンパー等あらゆる部分に「コストダウン」の影響が出ていると思います。

ブルーフレームのLE15Aと、後の灰色・黒色フレームのユニットとはカタログデータ(外形や重量)に変更は有りません。

音質の違いは「マグネットの材質」と「コーン紙」に有ると考えています。
オリンパスのユーザーです。 (ジャズ オリンパス!)
2011-05-23 07:05:48
すばらしい分析コメントを拝見しました。
当方も、青、灰、黒を比較しまして、
青を採用しております。
ジャズ喫茶を09年に開店しました。
ぜひ、聴きにいらしてください。
http://www7.plala.or.jp/JAZZ-OLYMPUS/
ジャズ オリンパス!さん コメントありがとうご... (トレイル)
2011-05-23 10:57:34
青色の16ΩのLE15Aは本当に良い質感を出します。音の品位が高いのが非常にありがたいです。能率も他のLE15Aに比べると3dbほど高く感じます。

機会が有りましたら立ち寄らさせてください。
LE15Aの復活は? (kuwa)
2017-03-26 23:10:35
エッジがダメになったLE15Aを復活するかどうか・・・。
”LE15A”で検索してここへたどり着きました。
#21000台のグレーフレームですが 一度リコーンしているので 結論としては「敢えて今の時点で復活する事も無い」と判断しました。

今後ともどうぞ宜しくお願いします。
LE15A (しき(トレイル))
2017-03-26 23:19:16
kuwaさん コメント有難うございます。

あくまでも私個人の評価ですので、参考程度に・・・。
自分が気に入っていれば進めてください。