THE NOVEMBERSのライブを観に恵比寿まで行って来ました。
ワンマンは4ヶ月ぶり、かな?
バンド名に合わせて毎年11月には必ず東名阪でワンマンライブを行っているノーベンバーズ
ちなみに
09年のと
10年のレポ。去年はアルバムのリリースツアーだったのでこのシリーズはなかったですね。
まあそれでもリリースツアーでワンマンをやったのを考えると毎年11月ワンマンは欠かしてない、という事で。
早々に売り切れだったからかビックリするほどのスシ詰め状態で驚きました
それでも基本棒立ちなので苦しくはなかったですけどね(笑
いくらファンが増えても、
ファンの質は変わらない
素敵な事ですよね。本当に。変な風に変わっちゃうバンドもいる中でね。
ライブの内容自体は、新作「GIFT」に合わせて若干穏やかな雰囲気のショウになってました
以前までのノベンバは〇〇系、例えばギターロック系とかラウド系とか
分類のし易い音楽だったんですけど
今はもう大げさに言えば、ノベンバというジャンルを確立した感じがあります
世間では憂鬱を歌うロックバンドとして分類されているのかもしれないけど
そうではなく、
その中でどう動くのか、どう感じるのか、どう描いていくのか
そういう事柄を歌う暗中模索、かつ能動的なバンドに変化した気がしていて
それこそが今のノベンバがノベンバたる所以な気がした、完全に脱皮を果たした事を告げるワンマンでした。
以前のような分かりやすい衝撃性を半分放棄した代わりに、明確に「その先」を提示するようになった。
それも、悲しみの中で、ですよ。そんな音楽をたっぷりと聴けて幸せな公演でした。
入場と同時に、メッセージカードが手渡され、粋な計らいにニンマリしつつ
ライブ本編は「Harem」で穏やかにスタート。結構前の方まで行けてたんですが
間近で多幸感と切なさ溢れる音像に浸れて早くも満足気味
その後は「Reunion with Marr」でスッと澄み渡るような美しいロックを小気味良く奏でる。
いつも以上にしなやかな歌が印象的だった「sea's sweep」に関しては、
より生々しいアレンジがバッチリ決まっててその辺りも含めて新鮮な出来栄えでした。
ここでレア曲「ブルックリン最終出口」、
新作の流れで聴くといつも以上に沁みていいですね。
なんて良い曲なんだろう
なんて良いメロディなんだろう
実は今年聴くの2回目だったりしますが、更に洗練されているように思えて嬉しかった。
一年前の新曲「はじまりの教会」は一年を経てすっかり馴染みまして
以前のも以前ので新鮮さがあって良かったんですけども
よりスムーズに伝わるようになった
ものに出来てる感覚が
それもまたリスナー的に手応えを感じられて今の新曲がどう馴染んでいくかも楽しみになったり。
ノベンバとは思えないポップなイントロで始まった「Slogan」は
アウトロの部分では音源以上に白熱した、鋭さを感じさせるアンサンブルに完全に変化
思った以上にライブ向けの楽曲なのかも、と予兆を感じつつ
これまたライブでの進化を如実に感じざるを得なかった「夢のあと」、
以前はもっとロック度の高い聴かせ方だった気がしますが
この日は完全に浮遊感だとか、陶酔させるような方向性に振り切れててこれまた新鮮な変化を受けれました
どんどんと荒唐無稽な部分がしなやかに洗練されていくような気持ち良さがありましたね。
逆に、ライブ披露初期よりも不穏さを増していた「日々の剥製」、
その不気味で鮮烈的な佇まいと音にも着実な進化と深化を同時に感じてたんですが
去年ライブで聴いた時はもっとポップだった印象があったんですよね
でもこの日はあんまりポップって感じはしなくて
むしろコアな方向性でした
それもあってか最後の「本当さ」の部分のインパクトもいつも以上に印象に残って
きれいになった部分もあれば、より不穏になった部分もあるという
そのバランスも何となくいいな・・・とか思いつつ
この日もまた垂涎の仕上がりだった「STAY AWAY」の素晴らしさ
原曲とは完全に別物になってる気がしなくもないが
それ含めて生真面目さが滲み出てて大好きですね
ここまで振り切れたカバーは中々出会えないと思います。息を呑むような真剣さが滲み溢れていました。
暗黒の踊り場を作り出した「永遠の複製」のがなるようなシャウト、
最初の方を少し巻き舌で過剰に歌い倒した「ニールの灰に」の圧倒的な格好良さ
まるで何かに取り憑かれたのように叫ぶ小林さんが素敵だったんですが
「dnim」「Gilmore guilt more」の連発で
更に小林祐介の獣化は進んでいく
ストイックに芸術性に溢れたロックンロールを追求していく姿が非常に頼もしく見えたんですが
それを「dysphoria」を経て「白痴」で大爆発させる!!
・・・・・凄い迫力でした。
前述の通り、新譜の方向性からして
激しさ、ラウドな部分はいつもより押さえ気味のライブだったんですが
ここに来て一気に憎悪とか、憤怒のエネルギーに完全に引きずり込まれてしまいました
こういう書き方もあれですが、自然と聴いてるこっちも顔が引きつってきて
大激怒の表情になってしまうという
ちょっと抽象的な書き方ですが端的に「持ってかれた」ワンアクトでしたね。
頭がどうにかなりそうなくらい、興奮し過ぎてしまいました。この噴出するようなパワーはいつ聴いても、
何度聴いても慣れないですね。特に今回は久々だったのもあってブチ切れるほどアガってしまった。
何より「GIFT」リリースタイミングのワンマンでこの曲を組み込むって(笑
個人的に全く演奏するとは思ってなかったので
その意味でもやられたなあ。
圧巻でした。
真逆に、沁み入るようなメロディに泣きそうになった「GIFT」はまた違った意味での威力が
ポロンポロンと物悲しく弾かれるギターフレーズがまた堪らないんですよね。
実際に泣いてはいないんですけど
でも十分心の琴線は揺さぶられた名演でした
こういうライブハウスで聴いてるのに、別の場所で聴いてるかのような想像力、イメージを煽れる
そういう表現力のあるバンドが個人的には大好きです。
ノーベンバーズも今や、
それが出来るバンドに到達したんだなあ・・・とか思うと少し感慨深い
淡々とした中でも熱さだったり、確かな想いだったり、明確な能動性だったり
そういうものをふんだんに感じて受け取ることが出来た幸福で豊かなワンマンライブだったと思います
音のジャンルとしてのオルタナでなく、本来の意味でオルタナに成った印象のライブ
これから新譜の曲がどう活きていくのかも含めて来年以降も楽しみですね。
楽しくて厳かで、豊かな時間をありがとうございました。
セットリスト
1.Harem
2.Reunion with Marr
3.sea's sweep
4.ブルックリン最終出口
5.はじまりの教会
6.Slogan
7.夢のあと
8.日々の剥製
9.STAY AWAY
10.永遠の複製
11.ニールの灰に
12.dnim
13.Gilmore guilt more
14.dysphoria
15.白痴
16.GIFT
encore
17.ウトムヌカラ
18.Misstopia
アンコールの時のMCで、小林さん「Charaさんが「GIFT」聴いたって!」という知らせを受けて
思わず動揺して渋谷で降りるつもりが神泉で降りてしまった、という
微笑ましいエピソード(笑)も披露
子供の時から聴いてたので変な汗が出たとか。まあ実際「ウトムヌカラ」は彼女をイメージして作った曲
なので、披露された時にもなんとなくCharaをイメージしながら聴いたりもして
うん、確かに合ってる気がするなあ・・・と思いながら
最後のフレーズがじんわりと温かく沁みる
その流れからの「Misstopia」もいつもとは違ういたわりを感じたりと
これまたこのライブで「しか」味わえない絶品のセットリストに最後まで舌鼓。
大人になった訳でもなく、子供を貫き通した訳でもない、ただ「自分」を守る為に自ら努力を惜しまない
それはより現実的になったと言える訳なんだけれども、でも決して達観してるってことでもない。
より世界に対して、自分に対して批評的でありつつも
それでも工夫を凝らして前に進む
大人ほど達観してる訳でも、子供ほど我がままを叫んでいる訳でもない
一人の人間として凛と立ちながら闇に震えながら、個人を貫き通す事を選ぶ
「戦っている人たち」の姿がそこにはありました
一曲一曲のクオリティは言わずもがな、
より曲の持つ性質を確実に伝えんとするクールな姿勢が刺激的で格好良く映った
正しく誠実なワンマンライブだったと思います。より後に残る公演になってたかと。
また、忘れられない一日が増えました。
次のライブも楽しみにしてます。