超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

lost in time「アコースティックでホールに挑戦!」@北沢タウンホール 12.11.2

2012-11-04 21:52:58 | ライブレポ








lost in timeのライブを観に下北沢へ。








lost in timeっていうのは、アコースティックセットでライブを行う時の名義で
それだけでバンド編成ではないんだな、というのが分かる所謂親切仕様な訳ですが
これはこれで雰囲気たっぷりで物凄く心地良かったですね
肌寒い季節にもピッタリですし
ホールの厳かな空気も相俟って、一足先に冬そのものを体感出来たような・・・
そんな趣溢れるワンマンになってました。ちょっと涙腺決壊寸前まで行った瞬間もあったりして(笑
大文字表記がメインディッシュなら、こっちはデザートみたいな、役割分担も出来てたし
その割にはバンド演奏と同じくらいカタルシスを受ける瞬間なんかもあったりして
色々な意味でオイシイ公演になってたのは間違いないと思います。
正直またホールでアコースティックマンワンやって欲しいですね。もっと言えば、この会場で。

北沢タウンホールっていうのは下北沢シェルターのすぐ先にある会場
公式サイトの地図からもそれがすぐ分かったので
何も迷わず到着、
でもちょっと遅れてたので(汗 一曲目だけは聞けずじまいでした。
それでも、どうしても久々にロストの生音に触れたかったので、急いでホールに踏み入れると
アップライトベースっていう身長と同じくらいのベースを弾きながら「列車」を歌う海北さんの姿
お陰で、いきなりあのサビが耳に入ってきたという事で、めっちゃセンセーショナルに映りつつ
自分の席に着席、こっからが私にとっては本番のようなものでしたが
途中からでも「列車」の力強さは耳に残りましたね。
規模はそこまで大きくないホールでしたが
だからこそ、距離を感じずにアットホームに聴ける良さが確実にありました。
普段のライブがカレーとかだったらこの日は温かいスープを味わってるような、そんな感じで。


リズミカルな演奏も楽しかった「再会」、
「こんな気持ちになるのなら 帰って来なきゃよかったのかな」って歌詞とか
切なさがダイレクトに心の琴線を震わす感じで、大変によろしかった
アコースティックなのに歌声はかなり必死に聴こえたんですが
それが存外に普段と変わらぬ空気も感じさせてくれて、
芯の強さも受け取りつつ。

駆け抜けるようなカホンの音色が心地良い「キャラバン」、
押し潰されそうな本音を肯定するような歌と詞に実直に感動しつつ
スピッツ「田舎の生活」のカバーがあったり
ピアノの荘厳な音色が響いた「あなたは生きている」、
そして万感の想いを歌声から感じ取れた「やっと言えた言葉」の沁みるような温かさ・・・
楽曲ごとにメンバー各々が楽器を持ち替えて器用に演奏する様は
正にミュージシャンとしての気高さを感じました
同時に、
そういう工夫だったり試みだったり、とにかく面白さを追及する為には何でもするっていう
行動力というか実行力というか、そういう能動精神は個人的には刺激になりました
今のロスト、本当に表現も行動も豊かで格好良いと思います。
物凄く「現場」のバンドになってる感覚がありました。


ここで個人的にハイライトだった「グレープフルーツ」の高揚感と陶酔感と言ったら・・・!
深く深く心の内側に潜っていく詞と情感豊かなメロディとの調和が見事で
初めて音源以上のカタルシスを感じる事が出来た気がする。
ホールにもめっちゃ似合ってた、響きの良い曲でした。
自分だけの痛みは、
自分の胸の中だけで消化する。
そんなどうしようもない切なさが溢れていた名曲と名演になってましたね。

渋さが際立ってた「一つだけ」の虚無感と
【自由を奪う風】ってフレーズが印象的に響いた「イロノナイセカイ」
ぐったりするような世界観の連発の果てに「忘れもの」の感傷的なメロディが胸を刺す
サビ前で涙腺が決壊しそうにもなりつつ(笑
胸に傷を残すような深い歌声でした
本編最後はポジティブに聴こえて実はどうにもならない決別を歌う「ひとりごと」
実にセンチメンタルなムードで、それを高めて爆発させて、最後には降り注ぐ形で本編は終了
未練がましさというよりも、既に振り切って後ろ向きに前を向いている
そんなロストらしい流れと変遷を感じさせる雰囲気の中、
温かくも胸にチクリと棘を残すような見事なライブは終了。とってもいい時間をありがとうございました。







(聴いた分)
列車
再会
キャラバン
田舎の生活
あなたは生きている
やっと言えた言葉
グレープフルーツ
一つだけ
イロノナイセカイ
忘れもの
ひとりごと
encore
シャボン玉
北風と太陽
encore2
サンカク






噛み締めるように歌った「シャボン玉」、
気持ちが空に溶けて混ざって、その欠けらが聴き手の胸を揺さぶる感覚の「北風と太陽」
そして源ちゃんがギターを弾きトリプルギターで披露された「サンカク」!
アンコールも気合の入った演奏の数々で最後まで魅了されました
特に最後の「サンカク」は、
本当に今の時期そのまんまで、
季節と音が完璧にフィットしている感覚が本当に素敵だった・・・!
コーラスワークも美しかったし、非常にロマンチックで感傷的な熱演でした
ロック的にどうっていうよりも、音楽的にきれいで、真に迫る、そんな一夜だったと思いました。
また、アコースティックライブにも足を運びたいと思います。
選曲も割とニッチで楽しいですし(笑

そして、またバンドでホールワンマンもやりたい。という発言も飛び出しましたし
フットワークの軽いここ最近の活動の成果も含めて、再び前線に立つ覚悟なんかも感じ取れた。
10周年で集大成なのではなく、10周年からむしろ始まる。
そんな新しい予感がこの上なく素敵だった
至福のワンマンでした。
ベストテイクは個人的には「グレープフルーツ」で。