超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

恋染紅葉 2巻/坂本次郎 ミウラタダヒロ

2012-11-02 16:13:34 | 漫画(新作)









坂本次郎・ミウラタダヒロ「恋染紅葉」2巻読了。









翔太は最近になって「カッコいい」とか言われ始めたけれど
あくまで個人的な見方ですけど、実際はそうじゃないと思ってる。
それはこの2巻を読めば分かる通り、彼って物凄く「行動型」といいますか
最近のラブコメ作品の主人公とは違って自分から女の子にアプローチしている
端的に言えば「頑張ってる子」なんですよね。
それがスカしてて時折カッコつけるキャラ以下の扱いになってるのがどうにも不服なんですけど(笑
好きな女の子の役に立つ為に一生懸命職業に関わる手伝いをしたり
たった数分の会合の為に全力で走ったり、
バイトしてお金を溜めたり、
確実に一方的にラッキーが飛び込んできてそれに対して悩むってタイプではなく
むしろ自分からラッキーを掴みに行くタイプだとこの2巻の内容を読む限りそう思えるんです。
それが単なる見掛けとかイメージでへタレとか言われてるんだったら
個人的には大きな間違いだと思う
むしろ今時ここまで一生懸命な奴なんて早々いない
その意味でも翔太はめちゃめちゃ好感度の高い主人公だったりするんですよね。

自宅近くまで帰ってるのに、
数分しか会えないって分かってるのに
それなのにも関わらず全力ダッシュで会いに行く
それって前時代的な良さがあるって思いませんかね?(笑
そういうの凄く好きなんだよなあ。
そこまで全力だからこそ
紗奈ちゃんも紗奈ちゃんで徐々に徐々に心を開いて翔太を気に掛けるようになる
そう考えるとこれ以上ないくらい真っ当な恋物語だなあ・・・って感想がまず浮かぶんですけど
やっぱり時代はラッキースケベとかやれやれ系の天下なんですかね(笑
まあ個人の趣向も加味されてるとは思いますけど
意外とオーパーツ的な、
天然記念物的な
そういう良さのある漫画だよなあ、とは確信出来た新刊
やっぱりこの漫画に於ける「誠実さ」っていうのはもっと評価されて然りだと思う
単行本で読めば伝わりやすくなってますけど、きちんと流れが練られてるのが分かりますから。
そこに賑やかし/アクセントとして入れたのが由比ちゃんなんだなあ、っていう
そういう狙いや意図もきちんと理解出来るレベルで提示されてる
実に堅実でもある2巻目かなあ・・・と
個人的には思いました。

それは、多少地味っちゃあ地味でもあるんですけどね(笑
しかしそういう地道な恋愛漫画が好きなら結構にハマってくれる確率は高いと思う
ちょっとずつ歩み寄る仕草を見せてくれる紗奈ちゃんの可愛さ
要所要所でインパクトを発揮する由比ちゃんの楽しさ
そして、
実はずっと一途で誠実な男だって印象の翔太の生真面目な正しさ
多分衝撃度に関して言えば1巻の方が上ですけど、じっくりと味わうって点では2巻の方が優れてるかな。
読切「ふぁみドル!」も恋染と同じ方向性の作風になっている秀作なので
併せて是非是非「誠実さ」を堪能して見て欲しい
ラブコメはどうもナメられがちですけど
そういう世間のイメージとは裏腹に、実に堅実に作られている漫画だな・・・と
私はそう感じましたね。つまりは「楽しかった!」という事です。そして海音と海音パパのキャラがナイス(笑
海回はコメディ的な意味合いでも楽しめるので塩梅に関しても良い感じ、かな。








ここまで「誠実だ」「堅実だ」とか書いてきてアレですけど
第7話の翔太のえっちな妄想には相当お世話になりました・・・(笑)。
男の夢が沢山詰まった良いシーンでしたね!
でも、
お色気の場面は大体そこだけなので。
基本的には純愛を楽しむ作品になってるな、とは強く感じます
「最近のラブコメ主人公は受身過ぎる」と感じてる人には是非読んで欲しい作品の一つです。
そりゃ全力形振り構わないのは格好悪く映るかもしれないけど
必死なのは絶対に格好良くもあると思ってるから。
少なくとも、ここまで頑張ってアプローチしてんだから惚れる理由に関しちゃ
何気に説得力を携えてる漫画ではあるよな、とは思います。絶対支持。



ニセコイ 4巻/古味直志

2012-11-02 14:18:54 | 漫画(新作)








古味直志「ニセコイ」4巻読了。









まず、表紙が良いッスね・・・(笑)。
ちょっと照れてるつぐみに、女の子らしいポーズの千棘。
何気に千棘が居ると画面が華やいで良い感じやね・・・って事で4巻の感想です。

本誌で追ってる時には分からなかったんですけど
存外にバランスが良い作りになってるんだなー、と
冒頭つぐみのエピソードから始まり
小野寺さんとのプチデート、その後千棘のデレモードが発動しつつ
最後には新キャラのマリーとのいざこざで締める、っていう
多分どのキャラのファンでも満足出来るような
割とカバー範囲の広い新刊になってるんじゃないかなあ・・・とか思えて
その意味でも特にオススメ出来る巻なんじゃないでしょうか
特に千棘ファン的には
思いっきりデレデレに傾いた「アイアイ」が収録されているので、正に至高ですね(笑
普段はツンツンしてる女の子が一気にデレるとこんなに威力が高いのか!っていう
千棘ってキャラの良いポイントばかりが詰まった傑作回。
勿論小野寺さんのデート前の髪型チェックが垣間見れる「ヨリミチ」だったり
つぐみのいじらしい可愛さが存分に詰まってる「コイブミ」等
全体的にレベルの高い回が集まっていて
多分今までの新刊の中では一番出来が良いんじゃないかな?って思います
要するに、どのキャラのファンでも正しくニヤニヤ出来る、最高沸点が詰まってる4巻かな、と。
最初から最後までめっちゃ面白かったです。


なぜそこまで面白く感じるのか?って言ったら
やっぱり第一に「仕草」が印象深いんですよね、この巻では。
前述の小野寺さんのある意味伝説的な(笑)、擬似デート前の髪型確認だとか
千棘の鍵穴に鍵を挿す前のドキドキの表情だとか
ラブレターを貰って以降、
急に女の子っぽいポーズが多くなるつぐみや
大胆不敵な誘い受けを披露するマリーのしたたかさとか(笑
味付け・演出上手っていうのかな、創意工夫というか
そういう精神を大いに感じるのと同時に
それによってラブコメ的な賑やかさや甘さも往々にして出てくるその手際の良さ
インパクト重視の作風だと捉えられがちですけど
細かく読めば、
結構色々な部分で飽きさせない工夫があるなー、というか
要するに「小ネタ上手」っていうかね(笑 その辺はコメディ重視の大きな利点でしょうか
所謂つなぎの回に関しても、楽が無意識に小野寺さんに公開告白寸前の呟きをしたり
そういう・・・本筋とは関係ない部分でドキッとさせるのが上手い
その辺の器用さは正にこの作家自身の成長のようでもあり
いつも以上に楽しく読めた新刊、
更に言えば、単行本で読んでるのにも関わらず毎回の引きが強いもんだから
早くページを捲りたくなってしまう、結局は寸止めは寸止めではあるんですが
そういう気になる要素を紡ぐ才能は本当に長けてるな、と
色々な点で感心出来る抜群の4巻目
ヒロイン勢のバランスも含めて現時点で一番良い塩梅でまとまってる一冊ではないでしょうか。
少年誌のラブコメ好きなら確実に、オートマティックに楽しめる巻だと思います。


また、おまけページが凝ってて良いですね!
何が凝ってるかって、
どうでもいい小ネタじゃなくて
きちんと本編を補完している、本誌で読んでた身からすると
「あ、ここはこうだったんだ?」とか、「そういえばそうだった」とか
どれもこれも有益な内容(?)ばかりで
読んでて楽しかった
特にるりちゃんと小野寺さんの恥ずかしい内容の写真(笑)は、そっちの方向性かよ!と
その意味じゃ本誌の読者にも読んで欲しい内容にはなってるなあ~と
サービス精神にもまた感動
展開の面白さ、キャラの魅せ方の上手さ、小ネタや演出の充実、そして本編の補完的なおまけ含めて
何の掛け値もなしに絶賛出来る、個人的には素晴らしい内容の新刊でした。
やっぱ単行本で読む方が面白い漫画ではあるのかも。
そんな訳で、
マリー本領発揮!な5巻に関しても、また期待しましょうって事で。








それにしても、今回も千棘ちゃん可愛かったですねえ~(笑)。
なんかこう、難攻不落な相手ほど、グニャッとデレた時の威力や新鮮さが凄いと言うか
まるでくっつく一歩寸前まで雰囲気が高まってた「アイアイ」は間違いなくベストな出来で
思わず「キス」とかいう言葉まで持ち出して自分で赤くなっちゃう、
そういう滑稽さもまた可愛い部分です。
また4巻になると
結構露骨に嫉妬する描写もあったりして
そういう描写や表情の一つ一つを追っていくのも非常に楽しいキャラクター
やっぱり誰が何と言おうと、千棘とくっついて恋人になる未来を夢見ちゃうんだよなー。
一歩一歩じわじわ歩み寄っていくそのじれったさがこの漫画の一番の魅力だとか
そう言っても過言ではないくらい彼女の魅力が露になっている
そういう新刊でもあったかな、と。
でも、他のヒロインもちゃんと魅力的に描けてて
正しく主人公にイラ壁出来る程度にはたっぷりラブコメ成分を補給出来た(笑 そんな4巻でもありました。
すっげえ面白かったです!