超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

輪廻のラグランジェ 第7話「曇り のち 鴨川」 感想

2012-02-19 22:59:44 | アニメ





3人が海辺ではしゃいでる姿をビデオ撮影したい。




まどかは単純明快でさっぱりとした性格ゆえにその背景を知らないまま突っ走ってしまった訳で
それに対して反省してごめんね、と謝る話だったんですけど
思った以上にきちんと描いてくれたな、って印象。
仲直りの話としては相応に上出来だったんじゃないでしょうか。人の為って意識はあっても、
自分の気持ちが先行し過ぎて他人の気持ちが見えなくなっていた。
要はカッとして自分を見失っていた、と。
ただ、そこには彼女なりの勇気も優しさも込められていたのは確かだったと思うんですけど
ムギナミとしては単純に裏切られた云々では片付けられない特別な想いがあったんです、と。
それを知ることによって、
知ろうとすることによって、解決した当人たちの気持ち。
いや~青春じゃないですか。
若干こっぱずかしいくらいがちょうどいい!
単なるロボットアニメではなく、青春や日常に関してもしっかり描かれてるのがいいですね。
それによってロボットに情熱のない人間でも興味を持って楽しく観れる、っていう。
それくらい今回の話は青春ものとして素晴らしかったと思います。
ムギナミの本当の気持ちも知れたのも大きかったしね。

幼少時代の彼女は痩せ細って髪もボサボサで
まるで少年みたいな面持ちだったんですけど、所謂完全な孤児で
モノクロの世界に生きていた悲しい過去を持つ少女で。そこを救ってくれたのがビィラジュリオだった、と。
正確には彼女が先に手を差し伸べたっていうのがあるんですがそれでもそこから生活を与えられ
喜びも楽しさも、彼に恋する気持ちも教えてもらったという完全なる恩人で
だからこそ突き放されて涙して、
彼の為に必死に尽くして・・・そりゃ、そこまでの恩人ならそこまではするよなあ、という流れ。
ただ、まどかがムギナミを想う気持ちを無視したっていうのも事実なんですよね。
気持ちは考えなかったけど、他人の為にあそこまで頑張るって根性自体が凄いもので
本気で「寄生虫」発言に怒ってくれたっていう優しさもある訳だ。
だから言っちゃえば両方悪いし、両方正しいんですよね。
どちらか一方を悪者にしてないんです。
それは先週も語ったと思いますけど、実際の仲違いだって片方が完全に悪い!なんて事はほぼないですからね。
程度の差はあれどっちにも原因があるのが殆どだと思う(経験談ですが
だからこそ、この仲違いが収まった一連の流れっていうのは
思った以上にドラマチックで、カタルシスを感じれるもので。リアルだったとも思います。
あまりにもストレート過ぎて感想を書くのには微妙に困りましたが(笑
お話としては至極丁寧でまとまってて素晴らしいの一言。
サービスシーンも今週は多めに挿入されてたし、期待通りの内容で予想以上の結末だったと思います。
これからの3人の変遷や絡みも実に楽しみですね。ランちゃんがいい意味でいじられてくれそうです(笑)。




しかし「大事なもの落っことしたまま~」ってセリフはとても印象深い。
目の前に必死すぎて根底にある気持ちを忘れてしまう事なんて日常茶飯事ですよね。
その意味でも今週は個人的にめっちゃ沁みるお話でした。
やっぱ今期はラグりんが一番好きかも。




Syrup16g全曲レビューその45「(I'm not) by you」

2012-02-19 17:24:00 | Syrup16g全曲レビュー






Syrup16g全曲レビューその45「(I'm not) by you」です。






(I'm not) by you        シングル「パープルムカデ」収録





最近物悲しい曲を聴くのが好きで、
それはきっと気分的なものもあるんでしょうけど
そういう曲って心の中に存在している確かな寂しさだったり空白を
埋めてくれる・・・とまでは行かないまでも、シンクロして消化してくれる作用があると思ってて。
それは傍から見れば単なる中毒者ですけど、それがあるのとないのとじゃ大違いなんですよね。
幸せな曲は幸せな気分の時に聴けばいい
だけど
常に心の中が不安定ですと、そんな気分にもなれなくて、逆に寂しさが前面に出た曲で救われてしまう、っていう。
この曲はその中でも一層寂しさや物悲しさが際立ってる曲で、タイトルから既に感傷的ですからね。
ただ、そんな事実や弱さを認める事もまた必要な行為だとは思うので。




【悲しみを追い払ったら 喜びまで逃げてった】

ファンの間でも人気が高いと思われる名フレーズ。
こういう事柄って生きてると何度も遭遇すると思いますけど
嫌だ嫌だと思って遠ざけたとしても
その遠ざかった時こそ、微妙に気楽にはなれど
後々に残るのは後悔と空白っていう絶対的なやりきれなさで、そんな悲しみに耐えられない自分を恥じて。
悲しみや怒りに打ち勝った先の喜びを手にすることが出来ない苦痛。
そこまで辿り着けない自らの不通。
嫌なものは嫌だけど、嫌を経験するのを避けてる分大きな喜びも得るものも何もないっていう。


【可もなく 不可もなく 不甲斐なく】

そんな自分に向けての嫌悪感が歌われてるのがこの部分。
受け入れることも出来ず
受け入れないことも出来ず
その真ん中で漂って
そんな優柔不断な自分を恥じて。可もなく不可もなくって事は単純に選べてないって事ですから
要するに状況に流されるだけの日々って事で、相応に悲惨ですよね。
そこで頑張ろう、って思えればいいんだけど
この曲はそれすら出来ない感情を歌っている訳でして。


【時が経つのをこうやって ただ待ってる それだけ】

この詞は冒頭のフレーズなんですけど
最初のこのフレーズがこの曲の結論って印象があって。
散々悩んで
その結果突き放して、
待っていたのは喜びに欠けた日々で、
じゃあもう何もせず、何にも懸けずに、ただ一人でじっと過して終わろう、って。
そう考えるとこれ以上ないくらい観念的な曲ではあるんですが
ある種の覚悟なんかも込められている気がして、
聴いてると不思議と気持ち良く、優しく響いてくる節はあって。孤独であることを認めるような歌です。
でも前述の通りそんな楽曲の中に漂う物悲しさが一種のヒーリングにもなってるような・・・
シングルにしか収録されてない曲ですが、
カップリングであるにも関わらず詞が引用されてる所を度々見かけたり
色々と侮れない一曲になってると思います。このシングル盤には「(I'm not) by you」以外にも
「回送」の打ち込みver.や名曲「根ぐされ」も収録されてるのでその意味でも持ってるに越した事はないですね。
アルバム曲にも匹敵するくらい五十嵐さん特有のおセンチ感が演出出来てる曲じゃないでしょうか。




余談ですが、所々に挿入されてるピアノの音色がその物悲しさの演出に相当貢献してて絶妙ですね。
優しいメロディに加えてベースのサウンドもクッキリしてて聴き心地は相応にイイです。



アとエのあいだ/川崎直孝 全作品レビュー

2012-02-19 13:53:16 | 漫画(成年)





偶然同人誌を手に取った作家が気付けばプロになっていた、っていうのは
たま~にある事ですけど
私にとってこの作家さんもその一人ですね。川崎直孝「アとエのあいだ」を全作品レビューします。

この人の漫画はですね、色々な意味で常識外れっていうかネジが外れてるっていうか
狂気じみてる作品が多いんですけどそこに一匙のユーモアがある節もあって
客観的に考えれば外道なんですけど
でもその外道っぷりも中々憎めなくてね、ついつい惹かれてしまうといいますか。
性に関して極端に無秩序になってる世界観は川崎直孝ならではの要素の一つだよな、と
しみじみ思う訳です。
他にもバカエロ系の作家はいますけど、この方の作風はそこに色々とクレバーさを感じるものが多くて
計算された狂気、正常な狂気、みたいな・・・まあ中学生の妄想じみてるって意見もありそうですけど(笑)。
ただ、代えの効かなさは確実に感じるのでその意味でも商業デビューは嬉しいものでした。
同人誌だとこれ以上にアレなネタもやってるので
もし気に入られたならば同人誌の購入もまたオススメしときます。
ってオススメ出来るような作風じゃないんですけど(笑)。色々とガチですし。

*成年漫画のレビューなので苦手な方注意です。





■モンスタースチューデンツ
モンスターペアレンツならよく聞くけど、
モンスタースチューデンツとはこれ如何に?と思ったら
単に保健体育の授業で恥ずかしがる先生に身を持って教えてあげる、っていう
そういう話。を、女生徒3人と男性教諭一人で行うって言うアナーキーさが売りのお話。
最後の方にはすっかり毒されてそっち側に染まるのもお約束(笑


■絵に描いた杭
これまた反応に困る作品ですね(笑
お互いがクイズを出し合って勝負って話なのに
片方の問題が性的過ぎる、っていうか単純にデメリットだらけで制裁に過ぎないのが笑える。
しかも最後のオチも秀逸で
激しくて官能的なのに笑えるって言う
色々な意味での問題作ですな。
シチュエーション的に考えると珍しいとかそんなレベルを超えてアイディア賞もんですね。
実際にこんなクイズ番組観てみたいわ。無理でしょうが(笑


■額の額
この作品だけ毛色が違うといいますか、珍しく合意の上なんですよね。
・・・合意の上って作品が一つしか入ってないっていうのもちょっと凄いな(笑)。
お互いがお互いを誘って満足させて、っていう
駆け引きの要素が面白い作品
他の作品と比べて多少オシャレっていうか微妙に日本っぽくないキャラや画面作りが目立つ一作
今作の中でも特にお気に入りの一本ですね。
大体無理矢理がデフォルトなだけに、こういう元から好き同士っていう関係性は爽やかな読後感でいい。
まあたまにだからこうやって相対的に評価も高くなるんでしょうがね。
続編とかも観てみたい作品です。


■どうでもいいけどバントの発想ってすごくない?
「真ん中ばっちこーい!!」
「流石正捕手っ」

この場合、正捕手云々は関係ないですよね(笑)?ただ単に広げてるだけだし。
あまりに下品すぎて舌を巻くシーンも多いですけど
逆に考えれば、どんな事柄も下ネタに変換出来るんだ!っていう作者の自信のほどが伺えて
その意味では鉄板といえば鉄板の作品なのかもしれない。
基本的に年齢差のある作品が多いですけど
この漫画に関しては同世代同士、しかもグラマーって事でことキャラに関しては最もスタンダードとは言えます。
無論、成年漫画的にね。強引の中に垣間見れる紳士っぷりも見所の一作です。割とマジに。


■小水、白陶器を穿つか
これは割かしファン以外にも浸透してる作品だと思いますけど、
今作の中でも最も下品な作品なんじゃないですかね。
間違えて男性トイレに入った女の子が
勘違いでそのまま男性用の便器で無理矢理小を済まそうと思ったら
こけて転がって個室のドアに激突、
そこには自分の写真で抜いている教師が居て、口封じも兼ねて手篭めにされてしまう・・・っていう
あらすじを書くだけでもぶっとんでる酷いお話なんですけど(笑)。
ただまあ、オチに関しちゃそのままその女生徒がそっち側に染まってしまうって事で作者らしいオチですよね。
しかし川崎作品の大人には禄な奴がいないなあ(笑 まったく。


■2時のおやつ
突発的精子ブーム勃発、
クラスの女子たちがこぞって男子に襲い掛かるっていう
ある種夢のような、そうでもないような・・・。
ただ、この作品の最も凄い所は、そんな状況の中で純愛が発覚して
基本的には両思い作品として最後まで貫くっていうその良い意味での違和感。
やってる事は非常識なのに、何故かプラトニックな感じすらも漂わせるその手腕に脱帽。
その背景では他の生徒が暴れまくってますけどね(笑
教師はどうした教師は。


■したがって少年少女
映画を観よう、と思って一緒に観てたら実は性のハウツービデオで
普通なら気まずくなって終わりなんですけど
川崎作品ではそうは問屋が卸さない、
じゃあ実践してみようよ!って流れになってそのままズルズル何発も、っていう
これまたどうしようもなくおバカな作品ですね(笑)。
ここまでキャラに常識ないと
むしろこれが普通なのでは?と読み手の神経も麻痺してくるから危険です。
それにしてもオチが微妙に切ないのが良いアクセントになってて素敵だなあ、と。
おバカの裏に見え隠れするセンチメンタリズム。グッドです。


■おしえの庭
久々に昔通ってた小学校に帰ってみたら
当時厳格だった先生が生徒を騙して擬似風俗を・・・ってまた外道教師かよ!しかも値段が50円とか・・・
書いてると相当に胸糞悪い話に聞こえるかもしれませんが、コミカルタッチなので案外気にならない。
その上働いてる子はみんな美人ばっかって事で
ロリにとってはある種天国のような場所なんじゃないですかね。
彼女たちは将来どういう大人になるんだろうか。

それにしてもネコ口可愛い!


■アとエのあいだ
英語の発音を良くする為に、ネイティブな発音を恥ずかしがらない為に
行為をすることによって恥ずかしさをなくそう!っていうこれまたとんでもない話。
最初っから英語教師がぶら下げたままで教室に入ってくるなど
無秩序の極みのような作品
これが最も同人時代に近い作風ともあって個人的には大満足の一作
ほとんど中学生の妄想みたいな内容ですけど、そのバカさ加減が気楽に読めて良いんですよね。
にしてもここまで「恥じらい」要素が皆無の作品もなかなかあるまい(笑
男子も女子もオープン過ぎるんだよ!


■おしえの庭 番外編
書き下ろしの4コマ番外編。
本編より更に教師の言動がアレになってる気がしなくもないですが、
最後は「大人になったら悪い人を捕まえますっ」って夢語りが最高に皮肉で面白かった。
っていうかこの単行本には捕まえなきゃいけない方々が多すぎますからね(笑)。




そもそも成年漫画ってだけで人を選ぶのに
その中でも更に細分化させるようなマニアックな作品群ですけど
案外笑えるバカ漫画好きな方にも気に入ってもらえる作品群かもしれません。
過剰に外道とか無秩序過ぎるって批判もありそうですけど
そこを含めてこの作者さんらしいんだと感じてますね。総じて、満足出来た内容でした。
ただ、普通に濃い成年漫画を買いたいって人は間違いなくチョイスするのは考えて欲しい所です。
なんせ色々特殊な一冊なもんで(笑
クオリティの高さは保障しておきますけど、色々と一筋縄では行かない部分も多いので。
今年中にもう一冊単行本出そうな予感なのでそちらもまた楽しみです!