GRAPEVINEのニュー・ミニアルバム「MISOGI EP」を聴いた。
EPって付くといかにも小休止とか顔見せって意味合いが強いイメージですけど
これは顔見せどころかむしろ相当本気で濃ゆいアルバムですね。
全曲良いです。
全曲良いって言い方よりは、全曲タイプが違って良いですと言うべきかな。割とジャンルレスで
ここ数作で極まった大人のロックンロールや冬に似合うようなバラッドは当然収録
それはどちらかというと予想内な部分ではあるんですが
今回予想外だったのは若々しく派手なロックナンバー「MISOGI」だったり、
久々にテンポが速い若手バンドのようなテンションの「ONI」、
渋さよりもみずみずしさを押し出した名曲然とした「RAKUEN」等半分は結構近年では見られなかった、
昔ながらのバインらしさを取り戻したナンバーであることが個人的に大きくて。
でも前述のように、
この他の曲、つまり残りの半分は今まで通りの渋みの効いた楽曲になってる訳で
若さ半々、渋さ半々みたいなバランスの取れた構成になってるのが何より面白かった。
正に新旧のファン両方とも気に入れるような、バインのポテンシャルが改めて浮き彫りになったような
ミニアルバムとは言えど堂々とした傑作に仕上がってるのが流石と言うべきどころ。
そもそもバインのミニアルバムはどれも濃いって言うのが定説ですしね。
今回も今回で想像以上に聴き応えのある作品でした。
取り分け、特に好きな楽曲を挙げろと言われれば、「ANATA」「RAKUEN」に関しては相当グッと来ます。
冬枯れの季節に似合うような物悲しさと丁寧なメロディが光る秀作揃い、
その中でも「RAKUEN」の素晴らしさは際立ってるような気がする。
背徳的な感じも、哀愁も後悔も、そんな感情を包み込む美しいメロディも兎角絶品で
それがもたらす未曾有のセンチメンタル感に何度聴いても心の琴線が揺れてしまう。なんていうのは、
多少大げさかもしれませんが、最後に大きな名曲来たなあって印象なのは変わらず。
バインのディスコグラフィーの中でも結構重要な曲になるのでは。
そして、若手バンドさながらの疾走感を振り切って出した「ONI」もまた長年のファンとしては嬉しい。
近年の方向性も好きだし、いっぱい聴いた覚えがあるけれど
たまにこういう激しいギターロックが来るとニヤッとしてしまう自分もいたりね(笑)。
この曲と「MISOGI」はそんな方向性以外の楽曲が聴きたいって思ってたファンには絶好の曲だと思う。
派手な要素も疾走感も復活させて、
更に無敵感が増してしまった今のバインの今後が正直楽しみです。
全6曲ですが似たような曲は2つとなくそれぞれ粒揃いでしっかりじっくり楽しめるような。
そんな15周年を迎えてのバンドの充実っぷりが伝わってくる傑作ミニアルバム。
取り敢えず時期的にもヘビロテ必死という所です。
バインとトライセラは小学校の時知って、正真正銘その時にCDを買って今でも聴いてるんですが
その2バンドともセールス・動員的な意味で健全に続けてるって事実は個人的に凄く嬉しかったり。
今年はライブ活動も多そうな予感なので、その意味でも今作は聴き込んでおきたい逸品です。