超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

ネコあね。 4巻/奈良一平

2012-02-10 06:05:48 | 漫画(新作)





奈良一平「ネコあね。」4巻読了。





涙目になりながら読んでました・・・。常に心が揺さぶられる、そんな出来。
杏子が急に現れたのは唐突なラッキーだったけど
だからこそ唐突になくなるって展開もまたある意味当然ではあって。
だってそもそも考えてみりゃ人間と猫ですもの。違う生き物同士が足踏みそろえてずっと一緒に居れるはずない。
でも、でも、個人的には杏子はずっと銀ノ介の側にいてやって欲しいです。
それを願うっていうのはいけないことなのかな。
よく分かんないです。
ただ・・・最後に微笑む銀ノ介の笑顔が眩しくて、あまりにも良い子過ぎて、気が付けば気持ち温かくて。
あれってある意味逆の方法論というか、いついなくなるかもしれないからこそ笑って過そう
何年も何年も一緒にいられる事を願って過そうっていう、健気な表情でもあって。
元々奇跡で始まった物語なんだから
銀ノ介が奇跡を起こしてもいいんじゃない?
そうしてくれないと、読者としても困るよ!って感じなんですけど
結局結末は作者のみぞ知る、作者コメントの「ハッピーエンドが僕は好きです。」って言葉を信じるしかない。
でもこれ杏子本人が知ったらショックだろうな。そんな容赦のない展開もありそうで若干怖いな。
それでもやっぱ作者マジックで最終的にはあったかい気持ちになっちゃうんだろうけど。
気の抜けない展開でしたが
ひとまずの決着は付いたようで何よりです。
そんな風に真剣に思えるのは、やっぱりこの漫画の温かさが劇薬のように身に沁みるからなのかな。

それでいて日常描写が本当に秀逸なんですよね。
作者が動かしてるっていうよりも
キャラが勝手に動いて話を作ってる感覚。杏子の健気な想いも銀ノ介に対する愛も
その銀ノ介の今時珍しいくらいの孝行感覚も
早瀬さんの密やかな想いも
言葉で説明せずとも要所要所でガッツリ伝わってくる感覚で眺めてるだけで良い気分になるのが本音。
豊かな表情、ささやかな喜び、日常の中にある煌き・・・その全てがオートマティックに感受性を辿って
その作品観に一つの抵抗もなく浸れてしまうっていう。この作品はもっと評価された方が良い。
賛否両論にはならない類の、自然体の名作って印象なんですけど
やはり真面目過ぎるのが仇になってるのかな。
キャラ数も本当に必要最低限で無駄に増やさず一人一人のキャラを大切に描いてる感じで。
そこが何より素敵な部分なんですけど、逆に言えば色気が足りないとも言える訳で。
でも、だからこそオーパーツ的に映るんだろうなあって気もしますね。
その丁寧な雰囲気が最も突き刺さる作品で。

杏子と銀ノ介に関してはもう夫婦漫才みたいで何やらせても面白いんですけど
4巻の注目トピックといえば勿論早瀬さんでしょう!
ボーイッシュで落ち着いた雰囲気ながら
裏に隠し持ってる密かな恋心の表現、正直いっぱいおいしかったです(笑)。内心めっちゃ乙女ですね。
それでも、今の銀ノ介と早瀬さんみたいな距離感って個人的に凄く好きで。
一歩踏み込めば全然進むと思うんですけど
敢えてその前で、そこに踏み込む寸前で楽しんでるみたいな。いやあ初期と比べて可愛くなったなあ。
絵柄も微妙に変わってきてそれに対する印象もそれぞれ違うと思うけど
独特な線の温かさ、嫌味のない可愛さは今も健在ですね。
この二人の今後を想像するだけでニヤニヤしちゃったり、いやー色々な意味で罪な作品ですね(笑)。
でも早瀬さんの銀ノ介を表現した言葉なんか聞くと正に青春だなあとも思えて。
最高の読後感で読み終えれました。
それが一番の収穫ですね。





巻を増す毎に面白く、そして好きになっていく本当に読むのが楽しみな作品の一つ。
期待値をめっちゃ高く見積もってたら、そこを軽々と越えられたような。
最早完全に盲目状態かもしれません(笑)。
それくらいお気に入りって事で。



ギルティクラウン 第16話「王国:the tyrant」 感想

2012-02-10 02:23:09 | アニメ





誰もいないこの国なら王様にでもなれる?




集さんがどんどんダークヒーローになってる件。彼だけではなく
他のキャラも次々に闇の住人になって作品全体の雰囲気が陰鬱になり過ぎている。
でもこれにもきっと狙いはあって、最後の方には色々とカタを付けるんだだろうけど
ただ今ちょっと考える限り、
まさかの夜神月エンド?っていうか最終的に集は死んでしまうんじゃないだろうか?
彼が本当に辛いときに側にいてくれる人間が祭ちゃんしかいなかった
彼女しか彼の心を理解し得なかった。
それが招いた悲劇。
それが作った王国。
確かに判断としては正しいけど、ある意味ブラック企業的なアレを感じるのも否めないところで。
更には涯を蘇らせる研究みたいなのも進められてて物語りは混迷の一途を辿るばかり。
観ててハラハラするけど、その分先が気になるのもまた事実で。
スケープゴートの多いアニメですけど、
その結果毎週のように続きが気になってるのは上手いものですよね。
ここまで来たら絶対に最後まで付き合わさせてもらおうかなと。

何となく、不良になる子の心境ってこんな感じなのかも、って思った。
心の通わないやりとり
一方的に責められて押し付けられて、決め付けられて
誰にも理解されない孤独から悪に染まる道を選んでしまう。
努力が報われてたらまた別ですけど
集の場合そんな努力が結果に結びついたとも言えないし
人を信じようと頑張っては損をするって展開ばかりだった訳で、こうなるのも必然
以前祭に見せた悪い表情もこれの複線だったのかなあ、と。
涯も祭もいなくなってストッパーもいないし
この暴走は留まる術を今は知らなさそうで。というか八尋が色々と厄介すぎるな(笑)。
ある意味タイトル通りにはなって来てるんだけど、その分観てて悲しい気持ちもある。
このまま鬱アニメで終わるのか、それとも別の結末が用意されてるのか。
そんな事を思いつつ、観るのは純粋に楽しみだったりするけど。
飽きさせない構成ですから。





ただ、ギルクラ観終わった後にキルミー観てると心が和むのが一つ事実でもある(笑)。
ちょっとこのセットは個人的に素晴らしいと思う。
ヴォイド王子の行く末はいかに!