つしまみれのニュー・アルバム「SHOCKING」を聴く。
これは、完全なるコンセプト・アルバムですね。
というか思った以上にコンセプチュアルな出来だったので
正直評価はしにくいです(汗)。好きは好きなんですけどあまりにも毛色が違いすぎる。
でもその点を含めてすっごくつしまみれらしいアルバムなんじゃないか、とは感じましたね。
完全に振り切れた内容になってて
それは食に対するドラマと感謝。生命を頂くっていうことの意味。が、大きく一枚で描かれていて
こういう作品は完全に初なんじゃないかって思うのと同時に、聴き終えたあと確かに生命の恵みに、
自分の中に入って消化されていく食材に対して感謝したくなるような。
まんまと乗せられたな、って思うような。
そんな正規の意味ではないけれど、一つのコンセプト作品としては名盤と言えるんじゃないか、っていう
つしまみれとしてではなく食を表現する作品としてとても優れている、そんな作品。
気が付けば表現もどんどんストレートになって来ている印象で
それと同じく更にオルタナに傾向している印象もあって。
そんな二極化されたアルバムにもなっていると思うんですけどポップソングには留まらず
ヒップホップやプログレ音楽の要素も吸収して実験的な作風にも果敢に挑戦しているアルバム
相変わらずそのチャレンジングな姿勢が面白いなー、と思うんですけど
しかしテーマがほぼ食事関係なので
イマイチその凄さが伝わらないんじゃないか、って危惧もあるけれど
そんな器用貧乏な部分も含めてつしまみれなんじゃないかなー、とも思うので
その点では実にらしいアルバムとも言えそうですね。
単純にノレる曲は少ないですけど
その分紐解いて噛み締められる曲が増えてる印象の作品です。
コンセプト・アルバムって世の中には沢山ありますけど、まさか「食」って言う
人間の根本的なテーマを描くコンセプト・アルバムって正直聴(聞)いた事がなくて
それに加えて食うために働くって部分まで描いてる訳だから
ストイックなオルタナ精神を凄いって思うのと一緒に評価は正直されにくいって懸念もある。
一歩間違えば変な解釈を持たれかねないギリギリのテーマ設定ですけど
不思議と前述のように素直に食に対する感謝が生まれてて
それはそういう力がこの作品にはあるって証明にもなっていて。自分の中で、ですけど
それってやっぱ真摯にテーマに取り組んでるからなんだろうなって思うので
考えてみれば本当に生真面目なバンドでもあるんだと。
ライブでモッシュやダイブしてるキッズ的には恐らく微妙なアルバムだろうけど
個人的にこのメッセージは受け取りたいな、って今は思いますね。
全体的にメロディがシンプルなので
その点だと割とサクッと聴ける印象もあったりして、何気にバランスの考えられてる作品、だとも。
個人的には現時点ですっごく好きなアルバムなんですけど
人によって大きく評価の分かれる作品なのであんまり鵜呑みにはしない方がいいかも。
それでもやっぱり最後まで聴き終ると、今日食べた食事に対する感謝と愛情が生まれているっていう。
そんななんとも形容のし難いいびつな傑作ですね。
「Road of Girl」のリフがめちゃめちゃ格好良いのでそこは是非聴いて欲しいところです。