超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

パジャマな彼女。 1巻/濱田浩輔

2012-06-05 10:24:47 | 漫画(新作)





濱田浩輔「パジャマな彼女。」1巻読了。





雑誌で読んでるけど、改めて単行本でも読んでみました。
美麗な作画、可愛い女の子、王道の展開と推す要素ばかりの漫画なんですけど
個人的に最も印象に残るのって感情表現だったり、写実的な描写の妙だったりするんですよね。
例えば主人公の計佑の女として意識してなかったのに徐々に女性として意識して戸惑う様子だったり、
まくらはまくらで先輩との関係性に対して困惑して嫉妬する様が深く描かれてるし
そういう思春期ならではのこそばゆい描写とかが好きならば
多分この漫画は相当に重宝するだろうけど
残念ながら視点的には結構に「大人から見た少年時代」って作風になってるので
これがきちんと理解されてるか、されていくのかって観点では大分怪しい部分はあるんですけど
後期の河下水希の漫画のような細やかな感情だったりその背景描写が好きだった方ならば
きっと実直にハマれる漫画にはなってるんじゃないかな、って思います。
分かりやすさばかりが重視される少年ラブコメに於いて
分かりにくい部分にまで手を伸ばしてくれているこの漫画は個人的にかなり大好きなんです。

何よりも計佑とまくらの関係性が良いんですよね。
付き合ってるようで、ギリギリそこまでは行ってない感覚というか
子供らしくふざけあったり、その時々で互いに意識したり
兄弟みたいな感覚は持ちつつもどこかで異性としての絶対的な魅力を感じていたり・・・
そういう徐々に歩み寄っていく感覚はお得意の雰囲気描写と併せて結構に至福だったりもするんですが
考えてみれば、幼馴染キャラが優遇されない昨今に於いてここまで幼馴染の良さ、
昔から知ってる同士の良さを引き出してる漫画って
あんまりない気がしますね。
最近は。
だから所謂幼馴染って属性が好きな人は多分読めば満足するとは思うし
何よりその幼馴染描写に漫画っぽさやうそ臭さがなく、非常にリアリティのあるものになっているので。
だから個人的にはまくらとの微妙な関係性を探ったり眺めているだけでも面白い漫画です。
ちょっとおてんばで、でも健気なまくらの様子は素直に可愛く
また守ってあげたくなる良さがありますね。
もう一人のヒロインである雪姫先輩に関しても所々から河下漫画のヒロインのようなエッセンス
言い方を変えるとオマージュ的な要素があってその意味でもちょっと懐かしいテイストで気持ち良いですね。
少年誌ではラブコメに繊細さって求められてはいないけれど
でもそんな繊細さを求めるような人にはうってつけのコミックだとも思うので
是非王道だけどガラスのように純粋で壊れやすい思春期特有の世界観に浸って頂ければ、と。
現在連載誌では掲載順的に苦戦中ですが、個人的には一二を争うくらいに面白いと思っています。そんな漫画。


コミックならではの仕様ですが、一応乳首解禁はありますね(笑)。
お色気描写に関して言えば、個人的にこの作品には必要だと思っています。
写実的で生々しい作品だからこそ、そういうシーンは似合うし更に生々しくなったりするので
逆に入れない方が不自然って気はするよね。恐らく先輩に関しても解禁されるだろうから楽しみです(笑)。
んで、昔のジャンプコミックみたいに扉絵を抜かして最後に一気に収録されてますね。
こういう形は久々に観たけど、
パジャカノの扉絵は毎回凝ってて素敵なのでミニイラスト集みたいでちょっと良い感じかも。
そして最後には「OVER TIME」等でおなじみ天野洋一氏の書き下ろしイラストまで添えられていて
割と本誌読んでても買う仕様になってるんじゃないかな、とは。
それにしても前作「どがしかでん!」にも天野洋一のイラスト載ってたって考えると
仲の良さは相も変わらず、と言った所ですね。なんか内水・大石・天野・濱田・麻生と
最近はまた若手作家の間で小さな派閥が出来てるみたいでtwitterのやりとり見るのも微妙に面白いです(笑)。
ちなみにこの「パジャマな彼女。」の濱田浩輔は
元々「いぬまるだしっ」の大石浩二のアシスタント出身って事も付け加えておきます。






ちなみに一話から毎週各話感想も書いてるので、
もしよろしければ「パジャマな彼女」カテゴリからよろしくどうぞです。
中でも個人的に大好きな第5話第7話の感想は是非!手前味噌ですが自分でも気に入っています。
来月は「ニセコイ」の2巻も出るしまだまだここ最近のWJラブコメから目が離せません。
この作品はその中でも最も思春期の要素を感じさせるような作品であり
そんなオリジナリティは是非味わって欲しいところでもあります。
どんどん大人の階段登って行く感覚が気持ち良い作品です。個人的には太鼓判を押したいタイトル。

これから先の季節にも似合いそうなので、
この漫画片手に色々な場所に行ってみようかな。
読むだけで爽やかな気分になれそうです。お気に入りの一冊ですね。



這いよれ!ニャル子さん 第9話「僕があいつであいつが僕で」 感想

2012-06-05 03:56:23 | アニメ





真尋くんがプロポーズしちゃった(笑)。






いやあ・・・ここ最近絶好調ですねえ。今週ももれなく面白かったです。
入れ替わりネタというのはある種定番なのでそこまでは驚きはしなかったんですが
最後の公開プロポーズに関してははっきり言って予想外でしたと言わざるを得ません(笑)。
誰があそこであんな大胆な行動に出ると読めるんだろう?
凄えなあ、とも思いましたが
同時にラブコメの主人公に対しての若干のアンチ精神っていうか
さっさとはっきりしやがれっていう一つのメッセージみたいなものも感じましたね。
ふと気付いたんですがニャル子みたいにはっきりと「大好き」「愛してる」って
そんな風なセリフが言えるキャラって正直最近は少ない気がするんですよね。誰もが言えない人ばっかだから
余計にニャル子の存在が頼もしく思えるっていうか、それって凄く素敵な事だと思うんですよね。
誰に恥じるわけでもなく、遠慮するわけでもなく、はっきりと想いを口に出来る潔さ
それは他の二人もそうなんですけど(笑)。
でも、そんな中でもニャル子さんの真っ直ぐっぷりは多分一番突き抜けてると思うし
今回の公開告白も彼女にとっての一つの夢でもあったんでしょうねえ。普通なら「ふざけんな!」って思う所ですが
不思議とニャル子さんがやると笑って許せるようなパワーというか雰囲気があったりして
何より真尋くんもまたまんざらではないような表情でしたから
後押しって意味では良いのかもしれん。
何にせよただ単に入れ替わるってだけではなく、大胆なネタもきっちり用意してくれるのがニャル子クオリティ
そんなニャル子さんのいじらしい可愛さだらけで今週もまた大満足のお話でした。
最近回を増すごとに面白くなっている気が個人的にしてますね。

後はやっぱりクー子をいつまで経っても真尋に惚れさせてないのも好印象だったりするんですよね。
今週だって結局はニャル子のルックスだからって体での迫りだったし
その辺のタガが外れたように都合の良い設定にしない抑えてる感じは好みだし
ある意味これが本当はまともである、って気もするんですけどね。
最近はしゃにむに惚れさせる作品が増えすぎた。
それはそれで夢のような展開で素敵ではあるけれど、でも一対一の良さだって絶対にある筈だから。
その点だとニャル子さんのこのわきまえてる立ち位置とか冷静な部分っていうのは
本当に観ていて気持ちの良い部分ではありますよね。
ハス太くんの存在はあるけど
ぶっちゃけ単なるBLに過ぎないから(笑)。
その点だと、そんな真っ直ぐな作品構成が個人的には大好きで今是をこの体裁でやるって事自体
ある種のオリジナリティを感じたりもしますね。要するに有り体な物語になってない印象がある訳です。

で、更に良いと思うのが真尋の描き方なんですよね。
この話って「ボンボン坂高校演劇部」のフォーマットに近いと思ってるんですけど
最初は拒否し続けていた彼は、多分ずっとこのテンションなんだろうなって最初は思ってたんですけど
今週はニャル子とのキスシーンを再び夢の中で想起したり、
ニャル子の身体にドキドキしたり
意外とか細い身体にいたわりの気持ちが芽生えたりと
大雑把なように見えてその辺の心情の変遷っていうのは意外としっかり描かれてるなと思ってて。
それを劇薬的に更に引き寄せたのが今週のオチだと思ってるんですけど
ぶっちゃけこのままデレ切っても説得力が生まれるくらい(笑
ここ数週の真尋くんの行動だったり姿を観てるのって個人的には楽しいんです。
全く三角関係にならない上に、徐々に惹かれていく描写まで入っていくなんて、これ普通に考えても
今期でもかなりのレベルの純愛作品なんじゃないだろうか(笑)。
少なくともありがちなハーレム作品とは本質的に一線を画しているような、そんな気もします。
もっと言えばこの先の真尋のデレが本当に楽しみなので是非長くやって欲しいなとも思いますけど
取り敢えずはまだまだ先が長そうな二人ではありますよね。
でもそのジワジワ感もまた本格的な恋愛作品っぽくて素敵だと思ってたり。
それにしてもニャル子の身体を一切見ないようにしてる真尋くんは真摯ですね。
逆に異性の身体を堪能してるニャル子さんもまた素直でしたが(笑)。いや、本当に面白いッス。
この面白さは正直言って本物って感じですね。来週は告白後って事で今週以上に楽しみだったりしますが!


ギャグに関しても触れておきましょうか。
まず冒頭の抱き枕の描写は完全に声に出して笑いましたね(笑)。
テンポと間が絶妙っていうか演出の上手さを感じました。
何よりリアルな抱き枕って話であればもう自分自身をそのままセットしても良かったのに。
これが彼の観た夢に効果を与えたのも間違いないけど、でも潜在的なものもあったんでしょうねえ。

「ウインドウショッピング!」ってニャル子さんが飛び跳ねてるシーンの作画は
本当にみなみけみたいな作画になってて個人的にはそういうところも好きだったり(笑)。

眼鏡のシーンの時に「かけてかけて~」って連呼するのは別の意味合いに聞こえるなあ。
それにしても眼鏡掛けた真尋くんは確かに格好良かったです。
一番知的になってた気もするけど、
でも個人的には眼鏡って一種のコンプレックスでもあったので
それが逆に一つのメリットになってるって描写は時代も変わったなあ・・・って思いますね。
昔は眼鏡ってダサいていうのが共通認識だった気がしてたんですけどね。今はお洒落っていうのが。

真尋のツッコミをニャル子がそのまましてるのが面白かった(笑)。
反面教師って言葉知ってる?って言いたくなりました。
ま、そんな滑稽な部分もまたニャル子さんの魅力の一つですがね。もちろんクー子も。
ハス太くんも何気に下に関しては強いんだねえ。なんか新鮮だけど十分に可愛かったです。はい。

地球のエンタメが狙われている・・・
うん、そりゃあ狙われるだろうなって思います。
至極真っ当な理由ですが
中には狙っちゃいけないエンタメもあるので気を付けた方がいいですね。
逆にそういうのばっかを狙うつもりだったりして(笑)。

真尋くんの「アッー!」が再び聴けたのも良かったですね。
実質はニャル子さんでしたけど、これほど貞操を狙われるキャラも珍しい気がするね。
その後の3人の本音もそれぞれで酷かったし、確かにある程度同情はしたくなるかも(笑)。
あの即席の契約書は若干ニャル子さん可哀想ではあったけれど
まあ貞操の為なら止む無しかなって気はしますね。いつ奪われてもおかしくないですから。あの家じゃ。

で、最後の告白シーンでした(笑)。
ギャグ的な視点で考えるとオーソドックスではありますが
普段真面目な真尋の一世一代の宣言って事でインパクトが高まってたのを考えると
正に入れ替え設定様々って感じですね。でも、ちょっとだけ羨ましい自分もいたりする。
来週はニヤニヤがまた観れそうで素直に楽しみですね。






それにしても買い物のシーンでの真尋くんの表情は、
本当にまんざらでもなくなってきた?って感じが凄くしていて
何気に家族が家を出払ってる時の擬似家族にもなれてるのかなあって気もして
そこもすごく微笑ましかったりしますね。
何にせよ様子を見守るのが非常に楽しい作品の一つです。ニャル子の覚悟も少しは届けばいいのにな。




君と僕。2 第10話「cherry」 感想

2012-06-05 02:54:03 | アニメ






僕がいない/僕だらけで。






自分の存在を誰かに意識してもらいたい、それも好きな人にはっていうのは
人間の永遠のテーマの一つでもあると思うんですけど、そんな中でふと見せた千鶴の悲しげな表情・・・
からの最後の笑顔が非常に眩しくて好印象って感じのお話でした。今までは春ちゃんばっかり
茉咲の恋心だったり興味の中心にいるのはいっつも春ばかりで
それが一つのコンプレックスになってた千鶴
本人は期待してないような素振りでしたけど、実際の所はある程度期待しちゃうのが人間の性って訳で
それが途中で打ち崩れた写真の描写はいかにも
あの年代っぽいセンチメンタリズムが蔓延していてある意味良かった。

けれど、その後の描写は更に良かったなあ、と思うわけです。
あのままセンチメンタルな感情を引き摺ったままじゃ1期のお話と代わり映えがしなくなるので
ここではっきりと茉咲が千鶴を意識し始める心情の吐露があったのは間違いなくプラスだし
何より「悩んでくれてる」っていうのが彼にとっては重要なんですよね。
悩むって事は明らかにどうでもいい奴じゃないって事だし
真剣に考えてくれてる証拠でもあるから。
それに春ちゃんばっかりの茉咲の意識の中に自分が劇薬的とは言え入り込めたっていうのは
はっきりとした目に見える成果の一つでもある訳で・・・そんな千鶴の笑顔は悲しそうな表情よりも魅力的でした。

ぶっちゃけ、春よりも千鶴のが似合ってると思うんですよね。皮肉的な意味合いではなく。
理想の高すぎる、憧れだったり先に良いイメージが付いてる相手だったりすると
ちょっとでも理想からズレてたり、マイナスの要素が付くと途端に手の平返したり不穏になったりするので
そういう意味ではいつも自然に一緒に居て、フラットな印象の相手のが良いに決まってると思うんですよね。
現に今週一緒にケンカしたり、笑いあってる二人は本当に楽しそうだったし
素直に応援したいとも思ったし
個人的には結ばれる瞬間ですら見たいと思えた。他の男子が恋愛に関しては何気に踏み込めない分
千鶴のがむしゃらに、でも真摯にぶつかっていく様は幾分素敵にも映ったりして、
それに頭を抱えつつも初々しい仕草を見せる茉咲も十分に可愛いしで
ここにきて素朴ではあるけど素直にニヤニヤ出来るようなお話が来た気がして・・・大満足でした。
時を巻き戻してこんな甘酸っぱい青春送ってみたいなあ。・・・ってそう思わされた時点で負けですね。
そして同時にもっともっと続きが見たいよ!とも思うのでした。
個人的には今後もシリーズ化して欲しい作品ですね。






自分的にも茉咲が春みたいに実直に「ごめんなさい」と言うのではなく、
むしろ「どうしたらいい?」って揺れ動く気持ちを言葉で表現してくれたのは嬉しかったし
ものすごく微笑ましい気持ちにもなれましたよね。その気持ちがどんどん育っていけばいいのに、とも。
そして悠太の濡れ(?)写真は確かに威力が半端なく大きいと思いました。
あの写真の方が案外喜ばれるのでは(笑)。完全に骨抜きにされちゃうレベルだよなあ。