超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

カイチュー! 10巻/林佑樹

2012-06-20 22:45:56 | 漫画(新作)






林佑樹「カイチュー!」10巻読了。






遂に男子キャラの表紙来たー!
いや、前々からそろそろ男子表紙にしてもいいんじゃない?って
感想でも書いてたんですけど、ようやく男子の表紙が実現して個人的には嬉しいですね。
なんで10巻目にして男子がOKに成ったかって言えば多分松平というキャラが重要人物だったのと
恐らくは前巻から本格的なスポーツ漫画にシフトし始めた節があるので
それでこういう事になってるんじゃないかと思いますけど
本編はまさかの松平さん異変・・・!?って話で。

敗北が狂わせた今への疑念。
うん、確かに過去の失敗だったり傷跡っていうのは厄介ですよね。
平然を装っていても、過度に気合を入れていても絶対的に襲ってくる過去のマイナスイメージ
それに松平さんが負けたってうのはかなり意外ではあったんですけど
逆に気負いすぎてダメになっちゃったって話でもあり
気負いを解消して望めた立川くんとは対照的な結果にはなってしまったんですけど・・・

そこで、松平さんは人の子である事を辞めました。
完全に修羅と化し、オーガ(鬼)のような状態になって
最後の最後で燃え上がる主将、
このまま表紙にもなったのに縮こまって敗北っていうのは何か釈然としないな、って途中思っただけに
「このままでは終わらせない」という気概がバリバリのラストシーンの衝撃とワクワク感
そして最終的に試合がどうなるのか・・・にも注目ですね。
にしてもあの空気3人組もいつの間にか大きくなったもんですね。
まさか主人公サイドがここまで強いチームになるとは思わなかったけど、
やっぱりそれはゴンちゃんと立川くんの引っ張っていく力、求心力が大きいからこそ
彼らも引っ張られてあそこまで上がっていく事が出来たんでしょうね。でも、相変わらず特徴はないけれど(笑)。


基本的に9巻で見られたスーパーシリアスな雰囲気から一転して
またそれまで以前のような、コメディとシリアスが上手く入り混じった
本来の方向性に戻ってるのがこの10巻目、
というよりはまだまだ盛り上げどころはこの先にあると踏んで
敢えて軽い方向性だったり、緩さを強調して書き上げたのがこの巻って印象なので
その意味では勝負巻はこの先って感じもしますけれど、それでもシリアスとギャグの緩急が素晴らしいっていうか
真剣だと思ってたらアホだったり、アホやってたら真剣さが滲み出てたり独特のテンションは止まらず
ある意味つの丸の「みどりのマキバオー」に通じるテンションを持ってるコミックスです。
今、ああいうテイストの作品をやれる漫画家って意外と少ないと思うので
その意味でもかなり貴重な作品だと思います。
まだまだ実力派のスポーツコミックとして認知されてるかどうかも怪しいですけど、
さり気に弓道の奥深さ、面白さが伝わって来る内容と演出も軽んじられてはいけないって思います。
これから益々熾烈を極めると思われる神奈川勢の本気の対決に期待大、ですね。
にしても松平さんも当初のギャグっぽいキャラクター性から
風格を得て随分と成長しましたね・・・。
それでいて、「完璧超人」ではなく、人間らしい脆さも存在する、所詮はまだ若造でもあるんだっていう
そういう事を描きたかったのがこの巻なんじゃないかなー、って思いました。
それだけに、逆境からの挽回にも期待、という
敵サイドも応援したくなるっていうのはこの漫画が良いスポーツ漫画である証の一つ。
時折真剣にふざけながらも、侮れない人間のドラマ性の描写に唸らされるある意味隙のない作品です。






それにしても神奈川フロンティアには本気で騙された・・・(汗)。