FoZZtoneのオーダーメイド・アルバム「From the INNER KINGDOM」を購入。
記事にするのが相当に遅れましたが、最近は一本の記事ですら異様に時間が掛かるようになってしまいました。
なんで、もう届いてから3週間くらい経ってからのUPになってしまった事がまず悔やまれます。
性質上、早めに更新する予定でしたが遅れたものは仕方がないです。
後だし曲順ですが
他の購入者がもし見てくれてたら勝手に比べて色々楽しんで見て下さい(笑)。
私も記事更新しだい他の方の曲順をチェックしなければ・・・こういうのってそれも面白い要素の一つなので。
前回の私の曲順はこれでした。
海へ行かないか
4D
猿飛
レインメイカー
slow flicker
Jaugar in the stream
Stone in the black boots
ロードストーン
で、今回がこれ
再脱走のテーマ
MOTHER ROCK
Fish、Chips、Cigarettes
森には帰れない
Club Rubber Soul
GENERATeR
ターミナル
ベーコンエッグとシェービングヒーロー
Keller Water
LOVE
この「From the INNER KINGDOM」は先行ミニアルバムの楽曲3曲+新曲9曲という候補の中から10曲、
つまりはこのオーダーメイドで新たに出されたナンバーは全曲詰められるって事で
割と前作よりも迷わず気負わずにサッと選べた気がしますね。
なんせ新曲を捨てる必要がなくなったので
言ってしまえば既存の3曲からどれを選ぶか?ってだけっていう。その意味でも親切設計だったかな、と。
勿論アッパーなアルバムを作りたい人とかバランスを考えればその通りでもなくなるんですが。
自分の場合は「新曲を全部収録する」っていう前提の元で必死に考えたのがこれです。
前回と同じく、一曲目はバラードで二曲目からアッパーでキャッチーな曲って選曲なので
割と私自身の好みが、選び手自身の好みが如実に分かってしまう企画かも。
そう、私個人の好みとしては
一曲目が静かな曲で、二曲目で急にアッパーになるってアルバムが好きなんですよね(笑)。
その緩急にやられちゃうっていうか、Syrup16gの「COPY」とかサンボの「きみのためにつよくなりたい」とか
とにかく深遠に潜った後に急にパッと視界が開けるような、そんな曲順が好きなので。
ベーコンを一曲目にしようか迷いましたが、
聴いてみると意外とベーコンサビでちょっとアガってたので
これが一応正解だったかな、と胸を撫で下ろしています(笑)。期待通りのしっとりっぷりでした。
アルバムで最も良い曲、好きな曲は大体2~3曲目ってイメージなので「MOTHER ROCK」をこの位置に
そのまま少し盛り上がりたい気分になるので「Fish~」を続けて配置して
4曲目でトーンダウンっていうのはある種常套というか
よくあるパターンだとは思います。
ここで急激に浮上するのではなく「Club~」でゆったりと揺れつつ次の曲で一気に爆発!っていう
2種類のアゲ方を楽しめるように、って狙いの中盤の選曲順も期待通りのハマり方で
そこからは後半に向けてワンテンポ落とす狙いで「ターミナル」、
ミドルテンポの楽曲が2曲続くと深みが増すって効果があるので「ベーコンエッグ」をここにin
その後はライブを意識して鉄板の盛り上がりソング2発を最後に配置
「LOVE」はミニアルバム、公式フルアルバム共に最初に置かれるみたいだったので
個人的にここでも似合うんじゃない?って期待を込めてラストに配置、これもまた見事にハマってくれました。
通して聴いてみると、今回もまた自分の納得の行く音源が作れて本当に良かったなあ、と。
ある意味リスナーとしてのセンスが試される企画でもあるので
きちんと聴けるCDに出来て安心も安心
と、同時にこれやってるとそんな自分が少し好きになれるんですよね(笑)。
自分で自分の満足の行く音源を作れる幸せっていうのかな?この方法は案外定期的にやっても面白いのかも。
そう思えた理由は繰り返しになりますが2つあって
①自分の趣向がはっきり見える
②愛着が沸く
この二点は他の何にも変えがたいこの企画音源ならではのメリットだと感じました。
自分は前述のように一曲目がバラッドで二曲目がアッパーっていうアルバムが比較的好きですが
そういうタイプのアルバムを自分で作れて、かつ自分だけのものになるっていうのは
非常に贅沢だなと思ったのと
10曲もあるとパターン丸被りっていうのはまずないとは思うので
本当の意味合いでの自分だけのCDっていうか、自分で作ったアルバムでもあるから愛着も凄いんですよね。
実際このアルバム何度も通しで聴けるくらい気に入ってますし
本人達もHPで言ってた通り
普通の音源を買う値段よりも安い値段で自分にとっての極上の音源を作れる
正に形式的に完全なるオルタナティブだと断言出来るアルバム、今回もまた実に楽しい選曲と確認作業でした。
前のアルバムも未だに聴いてたりするので、このアルバムも公式フルが出ても聴くんだろうと思います。
最後に、簡易ですが全曲解説です。「LOVE」はミニアルバムのレビュー時に解説やったので
今回は今作初出しの新曲全9曲をレビューしますね。
言い切りますが、全曲良い曲です。
1.再脱走のテーマ
1stアルバム「カントリークラブ」収録の「大脱走のテーマ」のロングバージョン、ですね。
元々爽やかで軽く聴けるインタールードって感触の原曲でしたが
このロングバージョンは爽やかでもなければ軽くも聴けない
一気に重めな感触のアンニュイなミディアム・バラッドに仕上がっています。要は結構ダークです。
でも、そんな神妙なエッセンスもまた聴き応えがあって「浸れる」一曲になってると思います。
2.MOTHER ROCK
男版LOVE PSYCHEDELICOか、デリコmeetsギターロックか、って印象の
日本語と英語がほぼ同じ割合で入り混じってる和洋折衷のロックンロール。
陽気なビートと神々しく感じられるサビの突き抜け感とは別に
歌詞の方は実に汚く俗的なものになっていて
醜いものを美しく歌うって言うそのコントラストがユニークで面白味を感じられる一曲。
モヤモヤとした気持ちや鬱屈した感情の解消にも役立ちそうなナンバーになってます。
多分今作の新曲の中ではこれが最もキャッチーだと個人的には。
3.Fish,Chips,Cigarettes
お得意の渋いムード溢れる若手感ゼロの始まりから
サビで一気に親しみやすいポップス調に変化する、そのギャップが愉快な一曲
でも、どの部分を取ってみても結局は気持ちの良い抜けの良い口ずさみやすいメロディに、
どこから聴いてもおいしい仕様になってるのは流石と言ったところですかね。
自分と誰かの価値観や思想が通じ合わない時に対して
自分から歩み寄るのではなく
自分は自分のままで、そのままで行く事を選ぶっていうある種の根源的なわがままを内包した楽曲で
でもその思想だったり方向性には個人的にシンパシーも感じたりする、そんな曲です。
4.森には帰れない
こちらも「再脱走のテーマ」と同じく物寂しげな雰囲気漂うミディアムバラッド
この歌詞にもまた過ぎ去った間違いだったり過ぎてから分かったあの人の気持ちだったり
後悔の感情が次々と心の中に浮かんでそれを一つ一つ蒸発させていくような
聴いててシンパシーを十二分に感じれる歌詞になってて
いちいちそれが沁みてくるようなナンバーで。
そもそもタイトルの時点で、「今は孤独を選ばざるを得ない」って心境が伝わって来て感傷的になってしまいます。
既に生でも聴いたのですがライブだと音源以上にエモ-ショナルに仕上がってるのもまた印象的でした。
是非ライブでも聴いて欲しい一曲ですね。
5.Club Rubber Soul
「爪が剥げた女に会った」という始まりから
そんな悲哀とその中にある喜びや何とも言えない感情を描き出す
南国的なお気楽なサウンドに乗せて陽気に紡がれるビートの水面下で
そんな物憂げなストーリーが展開されてるという
これはこれで逆にセンチメンタルさが増幅されていてある意味素直に暗い曲よりも浸れちゃうかも。
個人的には歌詞の内容的にSyrup16gの「吐く血」に通じるものがあると思います。
多分結構同じ事思った人も多いのでは。
今作でもメロディに関して言えばかなりキャッチーな方に分類される曲だと感じてますね。
6.GENERATeR
フーファイターズの曲なのか?って思うくらい勢いがバッチグーな攻めるロックンロール
うじうじしてるアンニュイ坊やを引き出して躍らせるような強引な歌詞が魅力的なギターロック
その有無を言わせないサウンドとボーカルの求心力の高さは流石!と思うのと同時に
「BRUTUS」をメロディアスに磨き上げた感覚なんかもあったりして
多分古参的にも満足はかなり高い曲なんじゃないかなー、と思います。ライブでの盛り上がりも凄いぞ!
7.ターミナル
これまた濃い一曲ですね・・・
別れた恋人との思い出のネックレスが
旅立つ直前の駅の中で千切れて零れ落ちてしまった
まるでドラマのワンシーンを切り取ったような惨めな一曲になってて
恐らくは誰かやどっかに引っ掛けて糸が切れちゃったんだろうけど
思い出が切れた事に対しても
それを必死にかき集めてる自分の滑稽さに対しても
そもそもそんな思い出を未練がましく持っていた自分に対しても
あらゆる視点から自分自身を惨めに思う気持ちが溢れ出している楽曲で
しかしその行き切ったどうしようもない状況心境の描写に何故か救われた気持ちにもなるっていう。
否定と容認の両方の要素が入ってる中立的な楽曲だとも思う。仕様がない、的なね。
それでも最後は吹っ切れて明るい方向性に変化する
その懐の深さもまた良い楽曲ですよね。かすれるようなわっちのボーカルがまた印象的です。
8.ベーコンエッグとシェービングヒーロー
まあ要するに・・・この歌詞の内容をまとめると
恋人との決別の末に、自立して、きちんと働いて生きてやるっていう
そんな意志が隅々から伝わって来る曲に仕上がっていて
若干寂しさを感じつつも
そこは大人の逞しさも受けれる良い塩梅にもなっていて。
毎日文句言われて文句も垂れて、それでもコツコツと頑張る人間もまたヒーロー
痛みから一人で気合で立ち上がるその姿をもっと誇って良いよ、っていう。
その心意気にもまた救われる一曲
始まりこそ静かですが
サビで情熱が噴出すようにちょっとずつ熱くなっていく
そんな楽曲構成とメロディーラインにもまた心惹かれる一曲ですね。唯一まだライブで聴いてない曲。
9.Keller Water
恐らくライブでの後半の盛り上がりを意識して作られた楽曲なんじゃないかと思う。
それもあって自分の選曲では正にラス前に配置した訳なんですけどね(笑)。
シンプルな言葉とサウンドで
複雑な楽曲以上の熱量や一体感を目指そうとする志の高い楽曲
そう感じられるくらいに吹っ切れたサウンドとメロディが気持ち良く突き刺さってくるアッパーな一曲
と、同時にみんなでシンガロング出来る様なアンセム的要素があるのもまた素敵な楽曲ですね。
そのくせ歌詞は歌詞で一部深みを感じれるのもまたベターな神々しいロックナンバー。
総じて。この後のフルアルバムとの差別化は既に済んでるし
全10曲という事でオーダーメードとしての楽しさも順調にUP
更にはレゲエやハードロックの要素も組み込んだりとバラエティ感も充実
個人的には前作以上に選曲や聴くのが楽しかったし
第2弾って事で前作の欠点のリカバリーも完璧
実に思い出に残る音源制作、購入になったと個人的には言い切れます。
音源が売れないのならば、買いたくなるような音源を提案すると言う
逆境だからこそのエポック・メイキングが光ってた前回に続いての超・好企画!
もし次があったなら今度は別のアプローチで攻めて・・・と言いつつ
また前回と今回みたいに割と自分の趣向に近いものにしてしまうかもしれません(笑)。
何にせよ、音楽的な懐の深さとシンプルな楽曲はよりシンプルにパワーを込めて磨き上げた
今現在のFoZZtoneの幅の広さが良く伝わって来る音源たちにもなっていたかな、と。
まだまだ面白い事も期待してます!
当面は秋のワンマンが楽しみですね。このバンド、実はすっげえオルタナティブで隙のないバンドだと思う。