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ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

転機にある日本型企業組織

2010-12-28 11:14:20 | 企業研修

長く日本企業は、終身雇用・年功序列を基本として大量に新卒を採用し育成する企業組織のかたちをとってきました。これは、就職ではなく、就社であるともいわれてきました。その会社の一員なるというかたちで採用され、育成訓練をつみ、職務異動をくりかえしながら役職を高めていきました。これは、欧米型のジョブ(職務)に採用されるという組織と大きくちがっています。

この日本型組織は、成長し拡大する組織が前提になります。高度成長期など、日本企業の活動をささえる強力な組織形態として十分にその役割をはたしてきたのです。社員は、その仕組みを前提に人生をくみたてていました。

しかし、はげしい人口減少に直面し始めた日本社会では、企業は、もはや一般的には成長や拡大を前提にした組織をつくる基盤が失われてしまったのです。生活給的な側面も強かった年功序列型の賃金体系を維持するのが次第に困難になり、また、企業そのものがはげしく変化する環境に適応して組織再編をせまられるなかで、成果主義、目標管理、絶対評価などの仕組みが取り入れられ始めています。

日本企業は、根本的な組織再編の必要性に直面しています。また、急速な海外展開が不可避というなかで、グローバルな組織をどのようにつくるのかというさしせまった課題にも直面しています。多様な国籍をもったひとたちに魅力ある企業にして人材を確保するにはどうすればよいのか。あるいは、情報社会・知識社会といわれるなかで、企業の競争力の基盤をかなり個人に依存するときに、それにみあった組織をどのようにつくるのかという課題もあります。

いきつく先は、共通の企業組織モデルがあるとしても、そこへの組織再編のしかたは、まったく個別的であり、各企業の模索があるでしょう。成果主義をいそぎすぎた失敗も無数にうまれてくるでしょう。きわめて、個性的な企業組織がその力を競い合う面もあるでしょう。

しかし、例えば、残業をほとんどなくした企業組織は、不況や好況に対応した組織人員の縮小拡大を残業をつかって調整するという日本企業の安全装置をもたないことになります。いかに景気循環に対応した組織をつくるのかという別の課題をかかえこむでしょう。バランスがとれて、時代に対応した機動的で柔軟な組織をいかにつくるのか、各企業にとっては、存立をかけて考え続ける課題です。

日本企業では、異動を拒否した社員の解雇を正当とする最高裁判所判決のような組織原則をもっています。先にのべたように、就社であって就職(ジョブ)ではない。しかし、即戦力の中途採用が一般化し、ジョブ(職務)の専門化もすすみはじめています。次第に新しい組織への変質が始まっている。その微妙な組織の変化のなかで、幹部社員の育成の仕組みが企業内では失われていることの影響がしだいに拡大し始めている。

企業組織の大きな転機には、さまざまな矛盾がでています。

 



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