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ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

デジタルとネットが経済の仕組みをゆるがせている

2008-10-26 00:23:55 | 読書/新聞/映画など
現在の金融恐慌は、市場原理主義の暴走の結果だと一般的にみなされている。

では、市場原理主義がアメリカやイギリスなどで支配的な経済思想になったのはなぜなのだろうか。

そのひとつは、1929年恐慌がうみだしたケインズ的な経済政策が、破たんしたことによるだろう。29年恐慌は、資本主義を根底からゆるがせるものであった。その再来をふせぐために、財政をフルに出動させ、金融政策を駆使してきた結果は、日本でいえば、限界までの赤字国債の累積であり、金融施策のマヒであった。

ケインズ的な経済政策を継続する力をうしなった資本主義のいなおりが市場原理主義であったといえる。

しかし、それだけではないだろう。

デジタルとネットが、経済の仕組みを根底からゆさぶっている。

かつて、製造業の大規模な大量生産が経済の中核を占めていた時代には、独占的な大企業と国家の安定した関係のもとに、高い利潤は、労働組合や社会福祉にも配分されていた。安定的な社会システムがあったのだ。この製造業の大量生産は、当時のソ連の経済の仕組みのもとでも、それなりにうまく稼働した。宇宙競争でソ連がアメリカを出し抜き、ソ連や中国は、生産規模で米英においつくと宣言していた。

しかし、1970年代にはいって、次第にコンピュータが力をもち、やがてネットも登場してくると、経済の基本の仕組みが大きくかわった。ゆるぎそうもなかったIBMがマイクロソフトにだしぬかれ、マイクロソフトは、グーグルにだしぬかれる。激烈な競争の時代がはじまった。ソ連の経済体制は、このようなあたらしいデジタルとネットにまったく対応ができない。崩壊は必然であった。

オープンソースのようなある意味では理解をこえたものが大きな力をもってきた。デジタルの世界では、生産手段の独占に格別大きな資本が必要なわけでもない。激変するネットやデジタルの基盤のうえで、独占を長期に安定的に維持できるわけでもない。最強の小売業に急速にのしあがった小売チェーンでさえ、低価格の武器を打ち破られれば、ただちにポジションをうしなう。ソニーやパナソニック、あるいはトヨタさえ、また銀行や証券も、たとえ金融危機がなくても激動にほんろうされている。

ソ連を崩壊させたのと同じ力が、資本主義を揺さぶっている。

さらに、温暖化、石油資源の枯渇、水危機なども、経済の仕組みの基盤を動揺させている。

このような力は、どのような経済の仕組みをうみだしていくのだろうか。資本主義は、どのように変容するのだろうか。





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