(1)明日は故安倍元首相の国葬だが、国民の反対(62%・賛成27%)が多い国内事情を反映しているのか当初参列予定と伝えられていたオバマ元米大統領などが国連開催中を理由に取りやめることが伝えられて、現職のトルドー加首相もカナダを襲ったハリケーン級の被害対策を優先するとして参列取りやめを表明した。
(2)岸田首相が当初、国民の関心も高く、海外からの弔意も多いとした故安倍元首相の国葬決定はことごとく否定されている。直近の岸田内閣支持率は29%と「危険水域」に落ちて自民党内から「国葬を断行すれば支持率はもっと下がる」(報道)との評価もある。
(3)岸田首相の一存による故安倍元首相の国葬問題は、ウクライナ戦争を国際政治、社会からの批判、非難の中で断行、強行、孤立するプーチン大統領を反面教師としているようにも見える。同時進行中なだけに余計に岸田首相とプーチン大統領が似かよって見えて、国民からは浮いたように映る不人気だ。
(4)都合のいい情報だけをとらえて自身の判断、決断の正当性を主張して、国民、国会(議会)の理解、協力を無視して独断専行で政治を私物化して、権力だけは維持するという独裁政治スタイルだ。
(5)故安倍元首相の国葬は当初岸田政権が参院選を勝利して(参院選応援演説中に安倍元首相銃撃)8月中には実施する予定であったが、コロナ第7波の影響、旧統一教会問題が浮上して9月末に先延ばしされた。
あってはならないことだが、参院選勝利後に故安倍元首相の国葬が仮に実施されていれば岸田首相の判断、国葬への国民の見方も今とは違ったものになっていたことは考えられる。安倍元首相への不運な死への哀悼の念は感情論としては高かった。
(6)岸田首相は政治的判断として手続論、法定論ではなく高い「感情論」として国民に訴えて、独断専行した結果だ。ウクライナ軍事侵攻を断行、強行したプーチン大統領の独断的政治手法と似ている。
行き着く先は頼みとする支持層(国)、国民の反対、反発を受けてともに苦境に立たされている。
(7)考える時間があればあるほど、岸田首相の不条理(unreasonableness)な決定に対して国民の疑問、不信は高まり国葬反対が過半数(62%)になり、こうした国内反対事情が国外からの国葬参列にも取りやめとなって反映していると考えられ、思い違いのスパイラル(spiral)に陥っていると考えられる。これもウクライナ戦争の孤立した露事情と似ている。