(1)子どもは悪気(わるぎ)もなく条件反射のように「知らない」とか「ウソ」と言う。経験も少なく、知識もこれから貪欲に吸収という成長途上期には無邪気さはあっても致し方のないことだ。
(2)こちらはウクライナ軍が露軍から奪還したウクライナのイジュームで集団墓地が発見されて、多数の民間人の遺体が発見されたとの報道があり、映像もニュースで流された。ゼレンスキー大統領は露の戦争犯罪として責任を問うと非難している。
(3)これに対して露の大統領報道官は「(ウクライナ側の発表は)うそだ」(報道)と事実を否定して露軍の責任を全面的に否定した。これまでウクライナでの甚大な民間人犠牲に対しても映像はつくりあげたものデマで、事実でないとの発言が露政府高官から聞かされてきた。
(4)現地映像まで露政府高官からつくり話だといわれては何ともどうしようもなくいいようがないが、こちらは子どもの何気ない悪気のないものではなくて、露によるウクライナ軍事侵攻が半年以上も続き露軍が支配していた戦争現場での話で、露高官の「ウソ」発言は露国内でのプーチン大統領、政府の偏向した(bias)独裁統治国家の実態を見る思いで、これが世界に発信されていることにうしろめたさがないのか、パラドックスとしてそう発信しなければ自らに危険が及ぶという専制独裁国家特有の政治事情があるのだろう。
(5)ウクライナ戦争は以前、ウクライナ研究の専門家が当時オンラインで各国議会などにエスプリを交えて弁舌さわやかに軍事支援を呼びかけて注目されていたゼレンスキー大統領の評価について聞かれて、苦笑しながら(報道)こういう大統領に投票すれば戦争になる(趣旨発言)と語っていたし、現在でもまだ何も始まっていないと長期戦、核攻撃も示唆するプーチン大統領も同じようなものなのだろうが、「戦争」というものはどんな名目があっても始まってみれば人と人との公然とした殺し合いであり、そこで起こり得ることには正当性などあり様もなく、したがって戦争犯罪(war criminal)を問うとか立証するというカテゴリー(category)のものではない。戦争そのものが裁かれるだけだ。
(6)露は戦争犯罪を問う国際条約には参加しておらずに、露に戦争犯罪を問うことさえむずかしい。