(1)9月は日本と英国で二つの国葬が執り行われる。19日に英国女王エリザベス2世の国葬がウェストミンスター寺院で実施され、27日には安倍元首相の国葬が日本武道館で実施される。
エリザベス女王は英国連邦(common wealth)の元首であり、国葬準備は1960年代から英王室、首相官邸で手順、取り組みが準備されてきた(報道)といわれて、エリザベス女王が亡くなって(8日)2週間もたたずに女王国葬がロンドンで実施される。
(2)こちらは日本の天皇陛下の参列が検討されており、各国大統領、首相の参列も予定されている。エリザベス女王の棺は滞在地からロンドンに到着して、一般市民の弔問が可能で大勢の人が早くから列をなして詰めかけている、涙している報道映像だ。エリザベス女王の国民的人気、尊厳が伝わってきて、よくうかがえる。
(3)ほぼ1週間後には安倍元首相の国葬が実施される。こちらも在任中の世界鳥瞰(ちょうかん)外交展開で世界各国を訪れていることから100か国規模から首脳級も含めて多くの人が国葬に参列する見込み(報道)といわれる。
国内では岸田首相の一存により安倍元首相の国葬決定(後に閣議決定)して、総経費予算16億円余りすべて国費(国民税負担)でまかなわれて、野党からは当初国会説明もなく(後に批判を受けて国会閉会中審査に岸田首相が出席して説明)批判されて野党代表の多くは国葬参列見合わせを表明している。
(4)世論調査では安倍元首相の在任中の森友、桜を見る会疑惑が解明されないまま岸田首相の一存で国葬が決められたことに国民の反発が強く、過半数が国葬に反対して政府が各自治体、国民に弔意を強制することに反対で、政府は弔意を強制しない方針を示している。
(5)9月に時を置かずに英国と日本で国葬が実施され、こうも内容、実態の大きく違う国葬が比較されるように実施されるというのも歴史、社会のシニカル(cynical 皮肉)な現実比較をみせられるようで、安倍元首相の国葬の意味、趣旨がますますわからなくしている。
(6)英王室、元首として70年率いたエリザベス前女王と日本政治の最長政権の安倍元首相というともに長年の功績部分を讃えられる存在同士であるが、国民、政治の反応、対応の違いが浮き彫りになる9月の国葬だ。
(7)英国政治も多くの難問、課題を抱えて問題が多く、EU離脱で政治、経済は不安定で、しかしコモンウェルス(国家、連邦)としていざというときに国民が主役になれる民主主義の姿をみせる。