(1)沖縄県知事選は辺野古移設に反対する玉城知事が2位以下に大差で勝利し、再選された。沖縄首長選では自民与党系候補者の勝利が続いていたが、今回の知事選での「県民」の意思は再び「辺野古移設反対」で決まった。
(2)岸田政権、関連裁判で国の政策、方針を容認してきた司法が、今度は沖縄県民の意思に答える番だ。辺野古移設に反対して再選された玉城知事に寄せられた県民の意思に対して、岸田政権がそれでも「辺野古移設が唯一の解決策」とくり返すだけでは政治責任を果すことにはならず、沖縄問題のネグレクト(neglect)、政治放棄にしかならない。
(3)駐留米軍基地の70%以上が集中して不公平、不平等な地位協定で実質治外法権化されている沖縄米軍基地、県民生活問題の解決にはいくつかの解決策、方法論(methodology)は考えられる。
①これまで政府がとってきた対応策は普天間飛行場を辺野古沖に移設して将来日本に返還し、協力への引き換えに沖縄経済振興支援を強化することだ。
②沖縄に集中する米軍基地問題を全国民的問題として米軍基地負担公平、平等に役割分担し、沖縄米軍基地負担比率を削減する。主要基地を沖縄以外の国内に移し、沖縄米軍基地を付随的基地として使用頻度、規模を下げる。
③沖縄米軍基地負担軽減のため、沖縄に集中している米軍基地を海外移転する。この際対象、当該の海外米軍基地の日本国内での相当の経費負担を日本政府が担う。
④日本国内から米軍基地を撤廃して、日本が独立して国防、防衛体制を担う。国民徴兵制も考えられる。
(4)他にも組み合わせを変えた駐留米軍基地対応の方法論はあるだろうが、日本の立場、都合だけで考えられることではなく、日米安保条約体制の米国、米軍が相手の外交、軍事交渉問題であり、沖縄米軍基地は中国、北朝鮮問題に即応する基地機能の重要性とともに近年は米軍の中東出撃基地としても関与して米国の世界戦略での重要性は増している現実だ。
(5)しかし、沖縄米軍基地問題は日本政府がまともに話し合い、交渉しているとはいえずに、米国の世界戦略もにらみながら米国政府と常時話し合える関係のため、米国の日本大使館に独立した駐留米軍基地交渉部門を開設して恒常的に問題解決に向けて取り組む姿勢を示すことも方法論だ。