水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

国会事故調報告書(6)

2012-10-03 09:21:57 | 国会事故調報告書
認識していながら対策を怠った津波リスク(p81)

・ 2006年の段階で、敷地高さを超える津波が到来した場合に全電源喪失に至ること、予測を上回る津波が到来した場合海水ポンプが機能喪失し炉心損傷に至る危険があることを、東電も保安院も認識していた。にもかかわらず、改善が進まなかった理由は次の三つ。

① 保安院が津波想定の見直しの指示や審査を非公開で進め、記録も残さなかった。
② 土木学会が行った、津波高さの評価手法に電力業界が深く関与し、不透明な手続きで策定されたにもかかわらず、保安院はその内容を精査しなかった。
③ 東電は不公正な手続きで算出された低い津波発生頻度を根拠として対策を施さないことを正当化していた。その一方で津波の確率論的安全評価が技術的に不確実であるとして実施せず、対策の検討を先延ばしにしていた。

・ 津波リスクが看過された直接の原因は、東電のリスクマネジメントにある。原子炉の安全に対して第一義的な責任を負う事業者に求められるのは、堆積物調査等で科学的根拠をより明確にするために時間をかけたり、厳しい基準が採用されないように働きかけたりすることではなく、早急に対策を進めることであった。


学者(土木学会)たちもグルなのですね~。彼らぐらいは良心のカケラを持っていると思っていました。

そして思うに、再稼働に向けた素早さをなんと理解すればいいのでしょうか?

あんなことになったのに、罪の意識はおろか反省のハの字もないのでしょうか?

そしてさらに、こんなに重要なことが書かれている国会事故調査報告書をマスコミはなぜ詳細に解説しようとしないのでしょうか?

論語(244)

2012-10-02 08:36:17 | 論語
人傷乎、不問馬(郷党第十の13)

人を傷けりや、馬を問わず

孔子が外出している間に、廏(ウマヤ)が火災にあった。
帰宅した孔子の最初の言葉だそうだ。

誰か怪我をしたのではありませんか?
そして、馬の状態については、何も聞くことはなかった。


人はどうしても、損得勘定に敏感になりがちで、財産の毀損を嫌う。
どのような高級車よりも家族を大事ににしなければ、家はもたない。

しかし、動物愛護の精神からみて、孔子の「不問馬」は極端な言い方だったかもしれません。
ペットを異常に大切にする、今の日本では、たぶん受け入れてもらえないでしょう。

蛇足

「厩」は俗字で。正しくは「廏」だそうだ。

国会事故調報告書(5)

2012-10-01 10:44:05 | 国会事故調報告書
地震に対する耐力不足(p59)

・ 1~3号機の設置申請がなされた時期(1960年代後半)の原発耐震設計地震動は265ガルであった。

・ 1981年原発耐震設計審査指針が決定され、それに基づく耐震バックチェックの実施が求められた。

・ 東電は福島第一5号機について、2008年、基準地震動を600ガルとし、耐震バックチェック中間報告を提出した。

・ 東電は、耐震バックチェックをほとんど実施してこなかった。また、新指針に適合させるための耐震補強工事が多数必要であることがわかっていながら、実施しなかった。

一方

・ 福島第一原発敷地内で、今回の地震による最大加速度は、2号機で550ガルであった(p199)。


以上から、いいたいことは、

1981年以降、東電が、耐震バックチェックとそれに基づく耐震補強工事を、真剣にやっておけば、今回の悲惨な状態を免れることができたかもしれない、ということ。
放射性物質の漏えいがどこで発生したかは、今もって不明であるが、配管の継手のいくつかが破損した、と素人は想像する。仮にこれらが600ガル対応に補強されていれば、と思うのは我一人であろうか。

と、考えると、東電と保安院がグルになってやってきた、上記のような放置は、限りなく犯罪に近い怠慢だと思う。

もちろん、それに加担してきた、官僚、政治家、およびマスコミの罪も大きい。

このように、ほとんど全グル常態のために、だれも告発しない、できない、のかもしれない。