水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

古今集(179)

2016-03-31 10:57:17 | 古今和歌集
83 桜花とくちりぬともおもほえず 人の心ぞ風もふきあえぬ
「桜のごと、とくちる物はなし」と、人の言ひければよめる
つらゆき

桜は散るのが早いと言われますが、私はそうは思いません。人の心なんて風の吹く間もなくうつろってしまうではないですか。


桜の散り方と人心のうつろいやすさとを対比させたウデを、さすがつらゆきさん、と感心すべきか。


つらゆきの言う、人心のうつろいやすさは、おそらく男女関係を指しているのであろうが、確かに現代でもそれはあるであろう。
しかし、現代におけるマスコミの浮気性は度を超えている。それも、、すべてのマスコミが瞬間的話題性のみを、追いかけているように見える。
だから、どのチャンネルをひねっても、金太郎飴ばかりだ。
もっと個性を前面に出さないと、誰からも見向きもされなくなるでしょうに~。

よけいなお世話でした。


古今集(178)

2016-03-28 10:43:11 | 古今和歌集
413 山かくす春の霞ぞうらめしき いづれ宮このさかひなるらん
東の方より京へまうでくとて、道にてよめる
おと(壬生よしなりがむすめ)

霞がかかって山の姿が見えないではないの。どこらへんが都に入る峠なのかわからなくて。(惜しいなあ!)


詞書から、都に向かう旅の、ウキウキした様子が素直に歌いこまれている。


ついに、新幹線が北海道に通じた。道民の喜びはいかばかりか、計り知れない。

ここからは、ちょっとした夢なのだが、新幹線にとってかわられた在来線を使って、行き当たりばったりのチンタラ旅を、いつかしてみたいものです。
静かで、古くて、きれいで、なつかしい、風景や味覚を、のんびり楽しめるに違いありません。

即実行といきたいところです。が、時間はじゅうぶんにあるものの、やはり例の、先立つモノが乏しいです。残念無念!

古今集(177)

2016-03-24 11:23:11 | 古今和歌集
1066 梅の花さきての後のみなればや すきものとのみ人のいうらん
題しらず
よみひとしらず

梅の花は、咲ききってしまえば、その後我々の興味は、あのスッパイヤツ(梅干し)というしかありません。
(私も昔はイロオトコでならしたもんですが、今では、あの人は好き者、とだけうわさされています)


今回は、かなりの勝手読みです。
まず、梅干しです。スキモノを梅干し、といいきってしまいましたが、さて奈良時代、梅干しは存在していたのでしょうか?

そして、酸き者と好き者とがかかっている、と解釈してしまいましたが、奈良時代にも、好き者という言い方があったのでしょうか?

どちらも、正しいかどうか調べないことにしました。たまには、そのときの気分にしたがって、勝手読みもいいのではないかと思って。


しかしそれにしても、今朝のパソコンで見るニュースによると、とんでもなく尊敬されるべき方が浮気スキャンダルの餌食になってしまったようです。身から出たさび、とはいえ、ご愁傷様です。
たぶん、大騒ぎになるのでしょうが、テレビ放送がこんなことワイワイやっていていいのでしょうかね~。

この歌は、老人の寂しさを詠んだ歌としてみるとシンパシーを覚えるのですが、若いときにこのような状況に追い込まれたらシンドイですなあ~。

古今集(176)

2016-03-21 10:31:59 | 古今和歌集
96 いつまでか野辺に心のあくがれむ 花しちらずは千代もへぬべし
春のうたとてよめる
そせい(法師)

この野原の、きれいな花が散ることがなければ、千年だって心ウキウキし続けることができるでしょう。


待望の春が、やっとやってきた喜びを素直に詠んだ歌だと感じます。

東京は、今日開花宣言ということになるのでしょうか?
そせい法師さんと同様に、今年はことのほか春が待ち遠しく、「寒いのはもういいよ」なんてワメイテいました。

どのテレビも、靖国神社の桜をやたら放送していて~~~~。
こんな平和な国にいきていることができるシアワセを感じる、と同時に、「だいじょうぶなのかな~」との不安も頭のスミをよぎるのです。

でも春って、いいですよね~。花粉症がなければもっといい!


古今集(175)

2016-03-17 17:07:45 | 古今和歌集
351 いたづらにすぐす月日はおもほえで 花みてくらす春ぞすくなき
さだやすのもこの、きさいの宮の五十の賀たてまつりける御屏風に、桜の花のちるしたに、人の花見たるかたかけるをよめる
ふじはらのおきかぜ

普段は、日月の進行が気になる、なんてことはないのに、花を愛でる日々というものは本当に短いものなのですね~


藤原高子の前で、こんな歌を歌っちゃっていいのかしら。ハラハラしてしまいます。


今日は、天気予報通り、本当に春がきた、と思わせる陽気でした。
花見も、平年に比べ、早まるそうです。
見逃さぬよう、どこに行くか、早めに決めておきましょう。

それにしても、今年はことのほか、寒さがこたえました。

古今集(174)

2016-03-14 12:22:57 | 古今和歌集
577 ねに泣きてひちにしかども 春雨にぬれにし袖と 問はば答えん
題しらず
大江千里
ねに泣く=音に泣く、ひち=ひつ=沾つ=濡らす

声を上げるほど泣き、袖を濡らしてしまったのだけれども、「どうしたの」と聞かれたら、「春雨でぬれちゃったの」と答えることにしましょう。

思い人に嫌われてしまった恋歌でしょうか。
人に弱みはみせぬぞ、との心意気が感じられ、なんともほほえましい。


今日の雨は寒い。動く気がしない。おまけに、花粉症症状も最悪だ。なんとかしてほしい。

ただ、この寒さは今日かぎりらしい。
年のせいであろう、寒さがこたえる。はやくあったかくなってほしい。



なでしこ

2016-03-10 10:18:04 | 雑感(3)スポーツ
もろともになきてとどめよ ほととぎす 春のわかれはをしくやはある

昨夜、なでしこ五輪予選の最終戦があった。
ご苦労様!あの東日本大震災のあと、ここまで本当によく頑張った。


上の歌は、古今集385番、藤原かねもち、の歌をもじったものである。
元歌は次、
もろともになきてとどめよ きりぎりす 秋のわかれはをしくやはある

残念といえば残念!
勝負事には、ほんのちっとしたアヤがつきものだ。結果は結果。


しかし、だ。
最終試合後半における、あのタンボの中のような状況での、若手の運動量には目を見張った。
もう一度言う。よくがんっばった。未来の明るい展望は開けた。

とにかく、「沢の前に沢なく、沢の後に沢なし」という「沢神話」が完成したと思う。
そして今後、この神話に依拠する日本女子サッカーはとんでもなく強くなると確信した。

久しぶりに、スカッとした心境だ。





古今集(173)

2016-03-07 10:03:12 | 古今和歌集
402 かきくらしことは降らなん 春雨にぬれぎぬきせて君をとどめん
題しらず
詠み人しらず

(今日は朝から)薄暗いですね~。どうせなら雨が降ってほしいです。そうすれば、雨を口実にして、あなたの出立を引き延ばせることができますから。


地方への出張の朝、夫の無事を祈る家人が詠んだ歌でしょうか。
細やかな情感が感じ取れる、きれいな歌です。


今日は、終日降り続きそうな本降りです。
しかし、花粉症の症状は、著しく軽く、ほっと一息、というところです。
あと半月でしょうか、オメメカイカイ、ハナミズジュルジュル、の不愉快は症状とおつきあいです。


古今集(172)

2016-03-03 10:11:03 | 古今和歌集
45 暮ると明くと目かれぬものを 梅の花 いつの人まにうつろひぬらん
家にありける梅の花のちりけるをよめる
つらゆき

明けても暮れても、見張っていたはずなのに、ちょと目を離したすきに、この梅ちゃん、散りやがった。


この歌は、古語辞典を引いて、解釈せねばなりませんでした。

・ 目かれぬ=目かる+否定ノ「ぬ」、かる=離(カ)る=①はなれる、②間をおく
・ 人ま=人間=①他人がみない間、②人の見ないところ
・ うつろう=①移転する、②変色する、③色があせる、④散る、⑤そまる、⑥映る

詞書がなければ、「うつろう」を「色があせる」と解釈するかもしれません。
つらゆき、にも軽妙な歌があるのだなあ、と感じました。


ところで、今使っている辞書は、今から60年前に買ったものです。価格をみたら480円でした。同程度の辞書の現在の価格は
3000円程度、と想像します。つまり、辞書の値段は60年で6倍に上がった、といえます。
この間の大卒初任給の変化は、おそらく、一万円から二十万円ってところでしょうから、20倍。

辞書や本の価値は今より昔のほうがず~っと高かった、といえそうです。

ここから偏見です。本が買い求めやすいのは結構なことです。しかし、
本が安い~本を大事にしない~本を読まない~世の中烏合の衆ばかり~、と続くことを恐れます。
よその国の大統領選をおもしろおかしく、評論しているひまがあったら、こっちをなんとかしてほしいですよ。