水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

2009-11-30 10:12:04 | 雑感(1)日常
 寡作の小説家、小山清の短編を読んでいたら(「犬の生活」、短編礼賛、ちくま文庫)に、井の頭公園の状景が描写されていた。たぶん、昭和20年代前半であろう。

 標記は次のような表現の中にでてくる。
「池には鳰(にお)がいる。可愛い鳥である。小粒で臆病気で、人の気配がすると、すぐ水にもぐる。」

「鳰」は国字だ。水に(すぐ)もぐる鳥、という意味がよくあらわされている、と思う。にお(にほ)は「カイツブリ」の古名。「鳰の海」は琵琶湖のこと。古来、多数の、和歌や俳句が読まれてきた。
 

 漢和辞典を引くと、カイツブリの漢字は難しい。鳥ヘンに辟、同じく鳥ヘンに虎、と書く2字なのだそうだ。パソコン上の漢字検索で見つけられなかった。とにかく、これらの字から、あの「カイツブリ」を想像することは出来ない。
前回に続きまた、国字の良さを実感してしまった。

 
 夕時雨 鳰の浮き巣を 見に行かん

 恐れ多くも、芭蕉の句をもじりました。確か、元の句は、五月雨に ~~~、でした。
勿論、琵琶湖にではなく井の頭池に、近々、鳰を確認に行くつもりです。

 

北風木の葉を払う(59/72)

2009-11-26 09:26:49 | 72候
 明日は、72候の「北風木の葉を払う」だ。

「木枯し」のことだ。最近、春一番に対抗して、ではなかろうが、気象庁は「木枯し1号」生起日を発表するようになった。今年は確か11/2であった。

 Wikipediaによれば、関東地方での最も早い日は、00年10/18であった。最も遅かったのは、07年11/18であった。
今年はちょうどころあいの時期であったのかもしれない。

「凩」と書いてコガラシと読ませる。風が木の葉を吹き飛ばす状況をよく表現していると思う。日本人が作った国字だ。そういえば、「凪」(ナギ)も国字だ。風が止む。実にうまい表現だ、と思う。



 

言うはやすし、するはきよし

2009-11-24 09:38:34 | 雑感(1)日常
 標題は、鳩山内閣メルマガ7号(11/17)に寄稿した、桂米朝の言葉である。もちろん洒落。寄稿文全体、すばらしい。

・最初はどうなるかとハラハラした、このメルマガもどうやら落ち着いてきた。と思っていたら、ちょっと、いやおおいに心配。下に書く。

・今回の首相の文は、米国大統領訪日について書いている。「ゆるぎない信頼関係」と題して。

・首相からの「青いバラ」と、大統領からの「JFK著、勇気ある人々・初版本」とが交換されたそうだ。

・この交換、相互の相手に対する読み合いで、完敗だったと思う。日本側当事者はことの深刻性を理解しているか。外務省が無能なのか、外務省の助言を聞いていないのか。「ゆるぎない信頼関係」が構築されたか大いに疑問。

・機密費をどんなに使おうがかまわない。早く返しワザを入れておく必要がある。

虹隠れて見えづ(58/72)

2009-11-21 14:25:02 | 72候
 今日は、72候の「虹隠れて見えづ」だ。24節気の小雪でもある。


 虹は大気中の水滴が太陽光を分解する現象であるから、乾いた季節、乾いた地域で見る機会は、当然少ない。
東京では11月から乾季がはじまる。標記の表現は妥当、といえよう。

 虹はなんで虫偏なのか?
雨冠であるべきではないか、と思い、漢和辞典を捲ったら、ありました。

「霓」
音読みで、ゲイ、訓読みで、ニジ、だそうだ。
雄のニジが虹で、雌のニジが霓、とも書いてあった。
古代中国では、虹をなにかの動物にみたてているのだろうか?よくわかりません。

世界の水輪(3)歴史(2)

2009-11-19 10:17:31 | 水車解説関連
 11/5に書いた記事の続き。出典も同じ。

・中国では、紀元1世紀には水車が使われていた。このことは、中国の水車が、ヨーロッパ/西アジア系とは起源を異にしていることを意味する。当時、製粉のほか、製鉄の際のふいごを作動させる動力としても用いられていた。
 15世紀ごろの明時代、皇帝に見せる、からくり人形劇の動力として、水車が使用された、という話がある。

・7世紀、イスラム教が中東地域で一気に広まった。これらイスラム世界でも、水車は盛んに利用されていた。現シリアには直径20mの水車があったという話だ。
この地域では、水車で得る力を高めるためのさまざまな技術開発が、この時代になされたらしい。はずみ車、クランクシャフト、歯車、貯水池など、である。
また、水車の利用目的もさまざまで、籾摺り・製粉のほか、製紙、製材、造船、砕鉱、製鉄、製糖、tide mills(なんだかわからない)などの業種で利用されていた。

・ヨーロッパ地域では、18世紀の産業革命/蒸気機関の時代まで、水車が重要な動力源であった。イギリスのマンチェスター近郊には、100馬力の出力を有する水車が設置された。これは、1904年に鉄製に作り代えられたけれども、今も、Quarry Bank Mill Waterwheelという名で知られている。
水車動力の最大の欠点は、水力発電を想起すればわかるように、立地場所におおきな制約がある、ということ。

金盞花香ばし(57/72)

2009-11-17 09:09:17 | 72候
 今日は、72候の「金盞花香ばし」だ。

 これも納得いかない。調べると、花は春に咲く。なぜ今の時期に「香ばし」なのか。
金盞花の英名はポットマリーゴールドだそうで、マリーゴールドと混同しているのではないかと疑って調べたが、よく分からず、あきらめた。(そろそろ疑うことはやめようと思うのだが、ついついのめりこんでしまう)

 金盞花の原産地は地中海沿岸で、ラテン語ではカレンダエ(kalendae)というのだそうだ。kalendaeとは毎月の最初の日を指すのだそうで、これから、年中咲いている花、つまり金盞花の名に転じたらしい。ということは、金盞花を春の花と決め付けてはいけないのかもしれない。
(おまけでわかったこと、英語のカレンダーの語源がこのkalendae)。

 日本には中国を経由して、江戸時代にはいってきたそうだ。花が黄金色で盃のような形をしていることから、金盞花との名がつけられた。ここでまた、わからんことが出てきた。盞は’さかずき’だそうだが、杯と盃と、これらの’さかずき’、お互いどのような違いがあるのだろうか?

 地中海地方では、金盞花の花びらをスープに入れたり、チーズやバターの色づけに利用したりするようだ。


籾摺機

2009-11-14 05:05:48 | 水車解説関連
 ”しんぐるま”には、機械式の籾摺機(もみすりき)がある。明治時代後期に日本で発明されたゴムロール式だ(と思う。実はそうずっと思い込んでいて、現物で確認していない)。

 この籾摺機が出てくるまで、つまり江戸時代、籾殻はどのように剥かれていたのだろうか?

 一般に、籾殻を、米粒を破砕せずに、効率よく剥くことは容易ではない。江戸時代、特有の木臼や土臼を利用し、人力で剥いていた。

 水車の力を利用することを考えた人も大勢いたことだろう。おそらく、”しんぐるま”でも種々の工夫が試されたはずである。でも成功しなかった。なぜか。

 10世紀頃の中東で、はずみ車の概念が発見され、水車に応用された。そこでは、水車で生み出される力で籾殻が剥かれていたらしい。籾殻を剥くための微妙な力かげんを、はずみ車が解決した、と想像している。

 籾殻を剥く技術もなかなか奥が深い。

 と、ここまで考えてくると、”しんぐるま”に江戸時代の籾殻剥き技術を示す展示がないことに気づく。
昔は存在していた、籾摺臼(別名カラウス)、と称するものが、ないのだ。

 少々おおげさにいえば、精米技術の動態保存歴史博物館なのであるから、場内のどこか隅にでも、籾摺臼の保存展示があってしかるべきだ。

 まだ、市内で保管されている籾摺臼があるかもしれない。もしあることがわかったら、”しんぐるま”にあったものと同じ種類かどうかなどめんどくさく考えず、とりあえず確保しておくべきだ。


地始めて凍る(56/72)

2009-11-12 02:50:04 | 72候
 今日は、72候の「地始めて凍る」だ。

 初氷のことだろう。気象庁HPで、東京の初氷の平年値が、12月13日であることを知った。残念ながら観測史上の最も早い時期を見つけることができなかった。もしかすると、今頃なのかもしれない。が、引用している72候が、東京での季節感に比べ、全体やや早め、と考えるべきだろう。

 ちなみに、秋田での、初氷平年値は11月13日で、史上最早値は1939年10月18日だそうな。

 
 それにしても、テレビが写しだす、事件群のおどろおどろしさはなんだ!マスコミのはしゃぎすぎにもついていけない。

 最近読んだ本(例によって、図書館から借りた本。”梅原猛の授業・道徳”07年10月30日発行、朝日文庫:中学生三年生(洛南高校付属中)に対しての12回にわたる講義を文字におこしたもの。名著だと思う)から、遅きに失してはいるものの、心に留めようと思った言葉を書いておく。

 講義の最後に生徒達に歌わせた。大乗仏教の根本精神をあらわし、四弘請願(しくせいがん)というそうだ。

衆生無辺請願度(しゅじょうむへんせいがんど)
煩悩無数請願断(ぼんのうむしゅせいがんだん)
法門無尽請願学(ほうもんむじんせいがんがく)
仏道無上請願成(ぶつどうむじょうせいがんじょう)

 独断的に意訳すると、「自然を畏れ、欲張らず、頭を使って、心を磨け」てなことでしょうか。ボクにとって、どれも頂上は遠い。だからこそ忘れてはならない。

 

日本文明とは何か

2009-11-09 08:31:38 | 雑感(5)その他
 昨日、標題の講演を聴講した(山折哲雄、於中近東文化センター)。聞いてよかった。聴講料800円は安かった。
話の途中から、中東での自爆テロや旧日本軍の特攻を、精神哲学的にどのように考えるのか、疑問を持った。質問時間に質問しようとしたが、他の質問が多数出て、その機会を失った。
 この疑問について考えるために、講演の内容を順を追って整理しておくことにした。

1 オバマの演説文の最後は、ほぼいつも「神の御加護を(God breath of you)」だ。01年9月11日直後のブッシュ演説の最後は、旧約聖書のダビデの言葉であった。すなわち、「我々は今、死の谷を歩いている。前を向いて歩こう」

2 アメリカはキリスト教を国教とする国家だ。危機に際し、必ず宗教が色濃く顔を出し、戦略立案に影響を与える。今、ブッシュの旧約聖書世界(怒りの神)からオバマの新約聖書世界(愛の神)に移ったところだ。

3 小泉元首相に、ブッシュの言を例示し、日本が9.11に匹敵するような危機に直面したらどんな言葉を発するか、と聞いたことがある。
しばらく考えて、答えは「ないな!」であった。

4 日本人の精神世界の底流に流れるものは「無常観」だ。無常の三原則は
①地上に永遠はない
②形あるものは必ず滅びる
③人間は必ず死ぬ

5 「無常観」は仏教起源ではなく、風土の特質(特に地震)に由来している。これは昔、寺田寅彦も言及した。日本人の体にしみついた精神だ。

6 西欧キリスト教社会はどうか?
① 生き残り戦略。犠牲を厭わず、サバイバルを追う。
② 勝ち残り戦略。神を信ずる者のみ生き残れる。
③ 全ての人間は全ての人間にとって狼である(ホッブスの言葉)。
④ 我考える。故に我あり(デカルトの言葉)。この「考える」は「疑う」と同義。そもそも人間とは疑わしき存在。
⑤ 一神教はタガをはめる縦社会。理性・愛・正義などの言葉は神の別名称。
⑥ 「疑い」が根底にあるから、契約社会が成立。

7日本はどうか?
① 多神教
② 契約社会としては未成熟。
③ 人間とは信頼すべき(しなければならない)存在。
④ 人間が裏切る存在、であることも知っている。上とのジレンマをどのように克服するか。
⑤ 集団の中での相互信頼で乗り切る。犠牲を伴う生き残りを躊躇しがち。犠牲を出すならみんなで死にましょう、となりがち。
⑥ したがって、集団を裏切ることは、殺人より悪いこと、と規定される。
⑦ 個の自立を集団主義に組み入れる知恵。村八分。
⑧ 悪しき集団主義に走る危険もあるが、二分を残した精神は寛容だ、とも言える。

8 今の世界、西欧の哲学では乗り切れない、と、多くの人が思い始めている。
トインビーは、昔、高野山に行って、この疑問を解こうとした。彼は、明治維新が何故あれほどの無血革命でありえたのか、と質問した。ハンティントンも同じ疑問を発した。

9 国家と宗教とが調和がとれていると平和。その反対だと、世は乱れる。

10 今の日本は?そして世界は?
日本の場合歴史的に、
① 平安時代350年~~~平和
② 戦国時代
③ 江戸時代~~~平和
④ 明治~1945まで~~~乱れの時代
⑤ その後平和が続いたが、さてこれからは?

11 平安時代や江戸時代の平和は、世界でも稀。ローマ帝国にしろパックスブリタニカにしろ、強大な軍事力を背景にした平和だ。


 講演の余韻:「もしかしたら、日本人の持つ特有の精神哲学、すなわち、無常観、に世界が注目することになるかもしれない」 

椿開き始む(55/72)

2009-11-06 18:30:17 | 72候
 今日は、24節気の「立冬」、72候の「椿開き始む」だ。

72候のうち、この語呂も気に入らない。

 だって、椿は春咲くものでしょう。確か春の季語ですよ。
「山茶花開き始む」ならわかる。

 と、えらそうにいうものの、恥ずかしながら、これらの花を正しく見分けることができない。花びら一枚毎に散るのが山茶花で、花ごと一体で散るのが椿、だそうだ。

 話が変わるが、黒澤の「椿三十郎」は面白かった。映画館に出向き、堪能した最後の映画だったような気がする。


世界の水輪(2)歴史

2009-11-05 09:36:44 | 水車解説関連
 水車の歴史を概観してみる。特に断らない限り、Top alternative energy sources.comというサイトから引用。

・バビロンの碑文に、「水車」が記されている。記録としてこれが一番古い。かんがいに利用したようだが、詳細は不明。

・古代インド、紀元前4世紀ごろ、かんがい用(水を揚げる)水車が使用されていた。


 降雨量の少ない中近東の乾燥地域で、水車が最初に使用されたようだ。もしそうなら、水車の起源を記した未読の資料が、例えばシュール語のような中近東の古代語で書かれたもののなかに埋もれている可能性が高い。


・紀元前1世紀頃の古代ギリシャや小アジア(現トルコ)では、水車がさまざまな目的のために使用されていたのは確実、のようだ。

・古代ローマ時代の紀元0年ごろ、になると、水路や道路の建造が盛んに行われた。水路橋上を流れる水流を使って、水車を回し、大理石を加工していたようだ。




紅葉蔦黄ばむ(54/72)

2009-11-01 15:26:01 | 72候
 今日は、72候の「紅葉蔦黄ばむ」。

 しっくりこない語呂合わせで、気に入らない、言い回しだ。
葉が、紅色になることと黄色になることとを同時に言いたければ、「紅葉黄葉」(もみづもみづ)なんてしゃれればいいのに、と思う。

 先週末、親しい知人のお招きに甘え、北関東の温泉地で、命の洗濯をさせていただいた。
 紅葉に関しては、最盛期直前であったようだが、晩秋の風景を見、温泉に浸り、うまいものを食べ、適度にアルコールも入れ、まさに天国にいるような二日間であった。
 免許証を入れた財布の所在がわからなくなり、大騒ぎしご迷惑をかけてしまった。これも加齢のなせるワザか。お恥ずかしい。反省。我々が楽しんだ分、知人ご夫妻は、さぞやお疲れであったことだろう。感謝!