水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

日の名残り(102)

2019-12-28 09:31:38 | 日の名残り
We are really so slow in the country to recognize when a thing's outmoded. Other great nations know full well that to meet the challenges of each new age means discarding old, sometimes well-loved methods. Not so here in Britain.

何かが時代遅れになっても、この国では気づくのが遅すぎる。ほかの偉大な国々を見てみるといい。新しい時代の挑戦を受けて立つには、古い方法を - たとえ、どんなに愛されてきた方法でもだ - 投げ捨てねばならん。ほかの国々はそれをよく知っている。だが、イギリスだけが違う。


スティーブンス氏が仕えたダーリントン卿が、もらした自国に関する見解。


この国のマスコミは、とかく、海外では、とか、あの国では、と言って、自国の欠点をあげつらう。
しかし、上のダーリントン卿の言葉を知れば、どの国でも、同じようなことをやっているのだ、ということがわかる。

今世界中でおきているらしい、自分中心主義は、個々の国が互いに刺激しあいながら、深みにはまていっているのではなかろうか。。

日の名残り(101)

2019-12-19 09:59:12 | 日の名残り
There is a real limit to how much ordinary people can learn and know, and to demand that each and every one of them contribute 'strong opinion' to the great debates of the nation cannot, surely, be wise.

一般人が知り、理解できることには、たしかに限界があるのです。そのことを無視して、誰もが国家の大問題について「強い意見」をもち、発言すべきだと主張するのは、とても賢明とは思われません。


村人達との議論に巻き込まれてしまったスティーブンス氏が、反省を込めて述べている意見のひとつ。

我々は、主としてマスコミの報道を情報源として、社会のありようを議論するわけだが、その情報量は、実際の状況のごく一部に過ぎないということを肝に銘じねばならない。
時の権力は、大衆に公開する情報を制限し、自らの思いのままに社会を動かそうとしているからである。それでよい場合がほとんどであろうが、時として権力は暴走する。大衆の真の賢明さは、そのような時に発露されねばならない。

日の名残り(100)

2019-12-12 16:38:11 | 日の名残り
So we can have our talk after all. Though Harry here won't have the satisfaction of witnessing my humiliation.

結局、大英帝国の将来についてちょっとした話し合いができそうじゃありませんか。まあ、ハリーにとっちゃ、私が言い負かされるのを見られなくて、さぞかし残念だろうが~~~。

カーライル医師による、議論打ち切りの助け舟。スティーブンス氏はこれによって、大恥をかくことなく、自分の寝室に行くことができた。


イギリスは、やはりEU離脱に走るのでしょうか?ジョンソン首相による、強行総選挙が功を奏するのでしょうか?

日の名残り(99)

2019-12-05 09:59:01 | 日の名残り
Yet again, Dr Carlisle's gaze seemed to study me. Then he said: ' A pity, but we must let the gentleman go off to bed. had a tiring day, I expect.'

カーライル医師の視線が、ふたたび、私にじっと向けられたようでした。やがて、医師はこう言いました。「残念だが、寝かせてさしあげねばなるまいよ。きつい一日だったことだろうから」


村民たちが、カーライル氏の登場によって、政治談議をさらに盛り上げようとしたのだが、それはかなわなかった。

医師特有の観察眼でもって、スティーブンス氏の困惑ぶりに気づいたに違いない。


忖度にも、許されるものと許されざるものとがあるようですね~。
カーライル医師の忖度はスティーブンス氏の窮地を救うことになった。
報道機関の政権腐敗にかかわる忖度があるとすれば、気分わるいですよね~。