水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

古今集(303)

2017-09-05 11:17:05 | 懐風藻
199 秋の夜は露こそことに寒からし くさむらごとに虫のわぶれば
題しらず
読み人しらず

こんな夜に虫がさかんに鳴いていますが、これは露が冷たくてかなわん、と嘆いているにちがいありません。


このところめっきり涼しくなりました。ことに夜は、ついこのあいだまでの、あのうだるような暑苦しさが嘘のようにヒンヤリします。
この歌の作者は、秋の庭で盛んに鳴く虫を、寒がりの自分に置き換え、「寒い寒い」と騒いでいるのだ、とみたのでした。

都市化のどまんなかに住んでいるために、虫の音が騒がしい、心境にはなかなかたどりつけませんが、スマートな歌だと感じます。

あと二週間ぐらいは、油断できませんが、暑さの峠は確実に超えた、といっていいでしょう。


それにしても、おとなりの、コマッタちゃん国にはうんざりですね~。
1940年ごろの私たちの国も、自分勝手を過度に推し進めたのでしょうか。きになって仕方がありません。

古今集(293)

2017-07-31 14:44:48 | 懐風藻
772 来めやとは思ふものから 蜩のなく夕暮れは立ち待たれつつ
題しらず
読み人しらず

来るのではないかしら、とつい思ってしまうので、ヒグラシが鳴く夕暮れになると、そわそわ浮足立って待ってしまいます。


こう都市化が進行してしまうと、セミの鳴き声も聞くことが少なくなってきます。

最近は、ヒグラシはおろか、アブラゼミさえ、聞くことがマレになってきました。

今日は、珍しくアブラゼミを聞きました。

あすからいよいよ八月ですね~。
ちょっと前までの暑さがもどるのでしょうか?
考えただけでうんざりです。

古今集(251)

2017-02-06 11:31:20 | 懐風藻
10 春やとき 花やおそきと ききわかん鶯だにも 鳴かずもあるかな
春のはじめによめる
ふじはらのことなほ

(暦の上では春だというのに、)まだ春とはいえないですね~。花はまだ咲かないし、聞こえてもいいはずの鶯すら、まだ鳴きません。


節分、立春を過ぎてからが長いのですよね~。春を実感するのが。

今日はとんでもなく温かい日よりですが、だまされてはいけません。明日からしばらく寒いのだそうです。


この国のリーダーの動きを見ていると、まさに、ジャイアンのそばから離れないスネオを思い起こさせます。
こんなときこそ全方位外交に舵を切る度胸をみせてもらいたい、なんて思うのは、素人だからでしょうか。

都民ファーストのずっと先に、アメリカファーストがあるわけですから、心して政治世界を見ていないと、いつかきた道に入り込んでしまうような気がします。

古今集(245)

2016-11-28 10:38:33 | 懐風藻
861 つひにゆく道とはかねて聞きしかど 昨日今日とは思はざりしを
病して弱くなりにける時よめる
なりひらの朝臣

いつかはあの世に行くのですよ、と聞いてはいたのですが、それが、まさかこの二・三日にくるとは思ってもみませんでした。


業平さんが、風邪かなんかをこじらせて、気弱くなった時に詠んだ歌でしょうか。
おおげさな~、と感想をいいたくなりますが、人間病には弱いものです。この気持ち、よくわかります。

今年も、年賀欠礼のはがきを何枚もいただきました。
身近に思っている方々の、身近の方々であっても、寂しい知らせです。

つい、なりひらさんのように、気弱になってしまいます。
可能な限り、背を伸ばし、ピンとした生気を保ち続けなければなりません。

古今集(240)

2016-11-08 10:03:04 | 懐風藻
287 秋はきぬ 紅葉はやどにふりしきぬ 道ふみわけてとふ人はなし
題しらず
よみ人しらず

秋がきて、我が家のまわりは紅葉が降りしきっています。しかし、誰もこないので、人の踏み跡をみることはありません。


親しくおつきあいさせていただいているご夫妻に、今年も別荘に招いていただいた。久しぶりのロングドライブに少々緊張!
しかし、秋の味覚と絶景、そして温泉を堪能させていただいた。
我ら二人のために、今年も楽しいひと時を作っていただき、感謝感謝の二日であった。


別荘地の中は、本当に別世界だ。
紅葉に覆われた何軒か、おひとりで暮らしておられる方がおられるようで、興味をひかれた。
どのような人生を歩まれた方が、どのような心境で、なにを目的に、今、このような静けさの中で一人生活をなさっているのでしょうか?

毎年のことですが、哲学的思索の時を持てるような、特別な土地であるような、気がするのでした。

古今集(183)

2016-04-14 11:53:19 | 懐風藻
428 今幾日 春しなければ うぐひすも物はながめて思うべらなり
すももの花
つらゆき

春もあと何日かで終わってしまいます。それを共に惜しんでいるかのように鶯も物思いに沈んでいるようです。

「うぐひすも物か」の部分に「スモモ」を読み込んだ歌なのだそうだ。

不思議なことに古今和歌集には桃の歌がない。
それで、やむをえず、本当は桃の花を詠った歌を載せたかったのだが、上の歌を載せることにした。
スモモと桃の区別はつけることができますので、ご安心を。


昨日、友人の案内を得て、中央道釈迦堂博物館に行った。
まさに桃源郷!桃の花が満開でみごとなものでした。釈迦堂PAに車を止め、徒歩で外に出ることができるようになっていてまことに便利。


万葉集19巻に、次のような歌があるそうです。

春の苑(ソノ)、紅にほふ桃の花、下照る道に 出でたつ少女(オトメ)

少女がいればよかったのでしょうが、まさにこのような状景でした。

懐風藻(1)

2015-08-06 10:42:09 | 懐風藻
懐風藻:西暦751年に編纂された、我が国最古の漢詩集で、編纂者は不明。

ひょんなきっかけで、これを今、パラパラめくっている。
講談社学術文庫・江口孝夫訳注

金烏(キンウ) 西舎(セイシャ)に臨み
鼓声(コセイ) 短命を催(ウナガ)す
泉路(センロ) 賓主(ヒンシュ)なし
此夕 誰が家に向かう

太陽は西に沈みつつあります。
夕べの時を知らせる太鼓の音は、私の命がもう終わりであることを告げているようです。
これから行くあの世への道は、私以外に誰もいません。
今晩、誰の家に泊まることになるのでしょうか?

作者:大津皇子
題:臨終(25才)

権力構造が異なっていれば、偉大な政治家になっていたでしょうに、叔母・持統天皇によって死に追いやられてしまった人です。

弱冠25歳の臨終に際し、こんなに凄い詩をつくれるなんて、驚嘆です。
偉人は凡人達によってたかってつぶされるのが世の常、とはいうものの、惜しい人を早死させたものです。

今の某国政治家の中に、このぐらいの人が出てきてくれないでしょうか?


古今集は、苦手な恋歌が多く、選ぶのに苦労しています。
これを機会に懐風藻の漢詩にも目を向けてみたいと思います。