水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

古今集(284)

2017-06-30 09:28:04 | 古今和歌集
515 唐衣日も夕ぐれになるときは 返す返すぞ人はこひしき
題しらず
よみひとしらず

夕暮れになって衣の、紐を解き、折り返しなどをする時間帯になると、あの人のことで頭がいっぱいになります。


古今和歌集独特の、技巧に満ちた歌で、「唐衣」は枕ことばで、日も夕暮れ=紐結う、返す返す=衣のすそをヒラヒラさせる、のだそうだ。
だから、この歌は恋歌、ということになる。


歌を見ての直観に解釈は次の通りであった。

人生も終わりに近づくと、過去をいろいろ振り返り、なつかしく人をおもいだすものです。

こっちのほうが、いいと思うのですが。


最近、久しぶりに都心に出て、旧友とワイワイやった。楽しかった。

そして、周囲は老人ばかりの日常を離れ、若者いっぱいの電車に乗ることにより、この国の未来を心配していたことが杞憂であるかもしれないことがわかった。
オリンピックまではなんとかいけるのではないでしょうか。


古今集(283)

2017-06-26 11:05:35 | 古今和歌集
609 命にもまさりて惜しくあるものは 見はてぬ夢のさむるなりけり
題しらず
ただみね

(我が行為のなかで)残念無念の境地にいたるものがあります。それは、あと少しで成就すというときに、目覚めてしまう夢です。


恋歌の中にある歌ですから、この夢は異性との関係に関することと、選者は考えたのでしょうね~。


自分の夢は、と考えてみると、思いつくのは、大失敗をしでかす寸前に目覚めることが多いですな~。
明日までに仕上げなければならないことが、できない、間に合わない、とか。
待ち合わせ場所に向かっているのにたどりつかず、時間が間に合わなくなるとか。

ぐっしょり汗をかいて目覚めることが多いです。
いちどでいいから、ただみねさんの歌のような夢を見たいものです。

古今集(282)

2017-06-22 10:57:58 | 古今和歌集
681 夢にだに見ゆとは見えじ 朝な朝な我が面影にはづる身なれば
題しらず
伊勢

夢の中でさえ、(あなたに)お会いしたくはありません。なぜなら、毎朝鏡で見る私の容貌は、もう見る影もないのですから。


これは若い女性の恋歌ですが、老いの坂を転げ落ちつつあるわが身にとっても、身につまされる歌です。
スマートに老いる、ことができないでしょうか?
スマートに老いるために、なにをどうすればいいのでしょうか?

古今集(281)

2017-06-19 11:07:12 | 古今和歌集
475 世の中はかくこそありけれ 吹く風の目に見ぬ人も恋しかりけり
題しらず
つらゆき

世の中って面白いですね~。風を目にすることはできませんが、その風のように、うわさだけで見たこともない女性のことを、ああだこうだと言っているのですから。


画像の無い古代では、「どこそこのだれとかさんはすごい美人なんだってよう」というウワサがどんどん膨らんでしまうのでしょうか。もしかしたら、小野小町さんもこのたぐいかもしれませんね~。実態以上に風聞が巨大になってしまった。


このような古代に比べ、現代は厳しい。昔、とんでもない美人であった方のテレビに映る現状に、時々ガックリくることがあります。
昔きれいであった俳優さんは、その今のお姿を見せるにあたって、どうかその当時のイメージを壊さぬよう配慮をお願いしたいものです。

古今集(280)

2017-06-15 10:10:49 | 古今和歌集
752 見ても又またも見まくのほしければ なるるを人は厭ふべらなり
題しらず
読み人しらず

お会いしたのに、すぐに又お会いしたくなります。が、どうも(あなたは)私と同じ気持ちではないようです。(私のことが嫌いなのではなく、)きっとすぐに馴れ馴れしくなるのがおいやなのですね。


自分が好まれていないことをなかなか認めることができず、こんな歌を作ってしまうのでしょうか。


古今集には恋歌が多い。
今までは、なんとなく避けてきたのだが、種が尽きそうなので、取り上げねばならぬかも。

古今集(279)

2017-06-12 10:58:38 | 古今和歌集
750 わがごとく我を思はむ人もがな さてもうきと 世を心みむ
題しらず
凡河内みつね

私の気持ちに答えてくれるにちがいないと期待して、男女の仲の難しさを感じつつ、もうすこしあなたにモーションをかけ続けようと思います。


前回、書いたとおり、「世」には「男女関係」という意味合いがあることがある。

今日の歌の「世」は、この意味合いで使われている、と辞書にあった。

上の解釈は、それに従ったものである。


ある人の解釈は、次のようなものであった。
「自分が恋しく思うようにあなたも私のことを思ってくれればいいのに、それでもまだ、この世がつらいものかどうか試してみたい」

わかったようなわからないような、変な解釈ですよね~。
こんないいかげんな解釈をして、作者に対して失礼だ、とは思わないのでしょうか。

万葉集(18)

2017-06-09 09:21:31 | 万葉集
11-2383 世の中は 常かくのみと 思へども はた忘れえず なほ恋にけり
柿本人麻呂

男女の仲なんて、常々(時がたてば冷えていき、)結局こんなもんだ、とは思うものの、やっぱり(あなたのことを)忘れられないのです。 


昨日の講義で紹介された歌です。
説明を聞くまで、歌の前後半に違和感を覚えはしたのですが、通常考える「世の中」で理解してしまおう、と思っていました。

ところがです。「世の中」=男女の仲、なのだそうです。

そこで、「世(ヨ)」を、辞書でチェックしました。
古語辞典には、11種の意味が書かれていて、その11番目に、「男女の関係」とありました。

大辞林には、10種の意味が書かれていて、その9番目に「異性間の関係」とありました。
しかもです。例文として、古今和歌集の歌を載せているのです。


古今和歌集を詠みだしてだいぶたちましたが、心のゆるみが出ているようです。
「世の中」を、今の常識で解釈してしまう間違いを犯していたようです。
つまらぬ、しかし、とても大事な発見、と思えました。辞書を引くことをおっくうがってはいけません。



古今集(278)

2017-06-06 08:47:49 | 古今和歌集
152 やよや待て 山郭公 ことづてん われ世の中にすみわびぬとよ
題しらず
みくにのまち

ちょっと待ってよ、ホトトギスさん、山に帰えるの?私がもう世の中がいやになってしまった、と(あの方に)言ってちょうだい。


「郭公」、これは本来「カッコウ」と読む。古今和歌集(岩波文庫)はこれをホトトギスと充て読みさせている。

「ホトトギス」と読ませる漢字は、とても多い。整理しておこう。

・杜鵑(トケン)もしくは単に、鵑(ケン):これが漢字本来のホトトギスらしい。また、植物のサツキを指すこともあるようだ。
・郭公(カッコウ):日本での充て読み
・蜀鳥(ショクチョウ):ホトトギスの異名で、充て読みされることがある。
・時鳥(ジチョウ):時節に応じて鳴く鳥、ホトトギスと充て読みされる。
・子規(シキ):ホトトギスと充て読みされる。
・不如帰(フニョキ):ホトトギスの異名

このほかの異名として、卯月鳥、早苗鳥、あやめ鳥、橘鳥、いもせ鳥、たま迎え鳥、しでの田長、などがあるそうだ。
それほど、この鳥は人々の生活に密着していた、ということでしょうか。




古今集(277)

2017-06-01 17:40:31 | 古今和歌集
500 夏なれば宿にふすぶる蚊遣火の いつまでわが身したもえをせん
題しらず
読み人しらず

夏になると、蚊遣火の煙がうちじゅう充満しますが、そのモト火のように、私の片思いの心がくすぶっています。


蚊遣火を恋歌にしてしまう技量はたいしたものだと思います。
この時代、蚊には苦労したでしょうね~。


今年も、雑草との格闘に伴う蚊対策が欠かせない季節になってきました。
これから4か月、頑張らねばなりません。