水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

古今集(196)

2016-05-30 08:15:54 | 古今和歌集
138 五月こば鳴きもふりなん 郭公 まだしき程のこえをきかばや
題しらず
伊勢

ほととぎすは、五月になると鳴き声の幼稚さがなくなります。最初の頃の鳴き声がみょうになつかしいものです。


あと一週間ぐらいで、旧暦の五月になります。
ほととぎすの声が聴ける土地に住めたら、私だってこのくらいの歌は詠めそうに思えるのですが。

溢れるマスコミ情報から隔絶した生活を、ときどき体験せねば、この世の中、おかしな人間ばかりになるような気がします。

古今集(195)

2016-05-26 10:10:45 | 古今和歌集
126 おもふどち春の山辺に打ちむれて そこともいはぬ旅寝してしか
春の歌とてよめる
そせい

気の合った仲間をさそい、行く先を定めず、春の山辺をブラブラしたいものです。


毎年、この時期に小旅行をすることを習わしとしてきたのですが、今年はまだ出かけていません。

なんとかせねば、とは思っているのですが~~~、今朝のテレビを見て、これもありかな、と気づきました。

サミットの警備が大変なようで、こんなときに、ジイサンバアサンがウロウロすることはありません。
来週以後出かければいいのです。

それにしても、どこに行こうかしらん。

古今集(194)

2016-05-23 11:16:55 | 古今和歌集
125 かはづ鳴くいでの山吹ちりにけり 花のさかりにあはましものを
題しらず
読み人しらず
この歌はある人いはく、たち花のきよともがうたなり

(久しぶりに井出に来たのですが)、蛙がうるさいほど鳴いています。しかし、山吹は散ってしまっていました。もうちょっと早く来ればよかったのに、と思います。


かはづを蛙、と解釈しました。古語辞典をみると、①かじか②かえる、ですので、間違いかもしれません。


橘清友は、たしか30歳ぐらいで死んでしまうのですが、ひいおばあさんが橘美千代、おじいさんが橘諸兄、おとうさんが橘奈良麻呂という家系です。
おとうさんは、政争に敗れてなくなっています。もうすこし長生きすれば、藤原一族の向こうを張って、大政治家になっていたかもしれません。
この清友という人も、長生きさせたかったと思う、古代人のひとりです。


古今集(193)

2016-05-19 11:36:42 | 古今和歌集
690 君やこむ我やゆかんのいざよいに まきの板戸もささずに寝たり
題しらず
読み人しらず

あなたがくるのかなあ~、わたしのほうから行っちゃおうかな、なんて思っているうちに、板戸も閉めずに寝ちゃいました。


梅雨入り前の、窓を開けても寒くない、いい季節になりました。
布団や衣服の冬夏入れ替え作業の手伝いに大汗をかきました。
主婦家業というものの大変さを、しみじみ感じる今日この頃です。

この歌のような色っぽい話とは縁gないのですが、今の時期の、寝入りばなのまどろみの気持ちよさには、共感します。

古今集(192)

2016-05-16 10:58:16 | 古今和歌集
127 梓弓春たちしより 年月の いるがごとくもおもほゆるかな
春のとくすぐるをよめる
みつね

いる=射る

立春からこのかた、まるで矢を射るかのように、日月が過ぎ去っていきます。

この歌は、梓弓という言葉が単なる枕詞で、いる=射る、であることが分かればフムフムということになります。
なかなか、枕詞が理解できなくて苦労します。

確かに、年月の過ぎ去る速度のはやいこと。しかも、加齢とともに速さが増していきます。
一方で、知力体力の衰えを気にしつつの日々があり、なんともやるせないことです。

しかしそれにしても、都知事様の弁解会見には、がっくりきました。
これでますます庶民の政治離れが加速されることでしょう。今後しばらくの社会政治動向を決定させた、この方の罪は重い。

古今集(191)

2016-05-12 10:25:05 | 古今和歌集
864 思ふどちまどいせる夜は 唐錦 たたまく惜しき物にぞありける
題しらず
よみ人しらず

どち=同士
まどい=円居
たたまく=裁(or断)たまく

気の合った仲間がワイワイ語らう夜は、あたかも高価な唐織の布を裁断せねばならないときのような、終わるのが惜しいものです。


最近、バラを盛大に育てていらっしゃるお宅に、古くからの仲間が集った。
ちょっと早かったそうだが、バラの見事さはたとえようもないものでした。
そして、ワイワイガヤガヤを終わるときの惜しさかげんは、上の歌のように感じたものでした。

このような時を与えてくださったご夫妻に感謝いっぱいです。



古今集(190)

2016-05-09 10:54:05 | 古今和歌集
1043 いでてゆかん人をとどめむよしなきに 隣の方に鼻もひぬかな
題しらず
よみひと知らず

(わたくしのいとしい、)人が出ていこうとなさっていますが、引き留める手立てがありません。お近くのどなたかが、くしゃみでもしてくださらないかしら。


この時代の男女関係は、男が女の家を訪ねることを基本としていたそうだが、この歌は、たぶん朝でしょう、出ていく男との別れを惜しむ気持ちを素直に詠ったもの、と解釈しました。


いまの世では、くしゃみをすると、「誰かうわさしているかも」なんて言われることがありますが。

古代では、凶事の前兆と考えられていたようです。
ですから、どこかからくしゃみが聞こえて来たら、「まずい!今日はこのまま居るぞ」ということになることが期待されるわけです。


くしゃみにはもうひとつ意味があって、それは、くしゃみが出た時以前の言葉が全部「ウソ」と解釈されていたらしい、ということです。
つまり、隣からくしゃみが聞こえてくることが大切なのであって、これが、ご本人たち起源のくしゃみだととんでもない方向へ話が進展するかもしれない、ということになるわけです。

つまらぬ歌でも、ちょっと掘り下げると、フムフムとうなる状況が出てくることがあります。





古今集(189)

2016-05-05 11:19:52 | 古今和歌集
1012 山吹の花色衣ぬしやたれ 問へど答えず くちなしにして
題しらず
そせい法師

山吹色の着物をきている人に名前を聞いたのですが、教えてくれませんでした。クチナシで染めた色であるからかもしれません。


女性にモーションをかけたものの、あっさり袖にされてしまった状況を軽妙に詠ったものです。

口をきいてくれない、ことを、染料のクチナシでごまかした、といったところでしょうか。
古今集には珍しく、ユーモアを感じさせます。


古今集(188)

2016-05-02 11:28:56 | 古今和歌集
892 大荒木のもりの下草生いぬれば 駒もすさめず刈る人もなし
題しらず
よみ人しらず

大荒木=大殯=天子の仮埋葬所
すさむ=好む

あれほど立派な埋葬の儀式が行われたところでさえ、いまでは草がぼうぼうで、誰も寄り付きもしない。


この歌をどのように解釈するか? 難しい。

とりあえず上のように解釈したが、

① 春から夏にかけての、雑草取りに追い回される日々をなげいたものか、
② 自身の老化の進行に伴って、人様から忘れ去られるさびしさを詠ったものか、

とも解釈される。


熊本の被災は大変なようだ。サミットがあるからか、政府はどうも、ことを小さく小さく収めようとしているように感じる。
溺れる策士にならぬよう、願うばかりだ。被災者救済第一!