水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

古今集(254)

2017-02-27 10:26:59 | 古今和歌集
94 みわ山をしかもかくすか 春霞 人に知られぬ花やさくらむ
春の歌とてよめる
つらゆき

春になって霞がかる日が多くなりましたが、今日は三輪山をすっかり隠してしまいました。もしかしたら、珍しい花が咲いていて、それをかくしているのかもしれません。


この歌は、本歌取りの歌として有名なのだそうだ。
本歌が次、

三輪山をしかも隠すか雲だにも 情けありなも隠さふべしや
万葉集、巻一、18、額田王

雲すらも(飛鳥を離れ近江に向かう私たちのつらい思いを考えずに)三輪山を隠してしまっています。情けがあれば隠さなくたっていいと思うのですが。


近江遷都という混乱の中で読まれた本歌の深刻さに比べ、つらゆきの歌は、なんと軽薄なのでしょうか。
つい、「軽薄」という言葉を使いましたが、この本歌取りの真意がよくわかりません。 

古今集(253)

2017-02-23 11:16:52 | 古今和歌集
14 鶯の谷よりいづるこえなくば 春くることをたれか知らまし
寛平の御時きさいの宮の歌合のうた
大江千里

(鶯がさかんに鳴いています。)もしこの声がなかったら、春の来訪を喜ぶことはできないでしょうね~。


字句どうりに解釈してしまうと、つまらぬ歌になりますが、作者の眼前では鶯が盛んに鳴いている、と想定すると、ヒネリを聞かせて面白い、と納得します。


今年の冬もいよいよ終わり、でしょうか。
今日も、春の嵐、と予報されていますが、今のところ平穏です。
三寒四温、毎日が楽しみです。


しかしそれにしても、どうしてマスコミは金太郎飴のように、どのチャンネルでも同じことを、同じソースからの引用で、ワーワーやっているのでしょうか。
自分たちの、節操の無さをさらけだしているように見えてならないのですが。

万葉集(17)

2017-02-20 10:24:16 | 万葉集
3-321 富士の嶺を高み畏み天雲もい行きはばかり棚引くものを
右の1首は高橋連虫麻呂の歌集の中に出たり。類を以って此に載す

富士山があまりにも神々しく気高い姿であるので、雲ですら遠慮してたなびくばかりだ。


古事記や日本書紀には、富士山のことが書かれていないのだが、万葉集には、これまで示したように、いくつか読み込まれた歌がある。

この歌の作者は、東国の下級官吏であろうか、ぐらいまでしかわかっていないらしい。
中央では、富士山のことが知られていなかったのであろうか。


今日は、富士山はかすんで見えない。
天気予報によれば、春二番の強風が吹くそうだが、その前兆現象なのかもしれぬ。


万葉集(16)

2017-02-16 11:37:04 | 万葉集
3-320 不盡の嶺に降り置ける雪は六月の十五日に消ぬればその夜降りけり
山部赤人
不盡の山を望て読める歌

富士山の残雪が、旧暦6月の十五日まで残っていれば、その上に今年の雪が降る(こともあるでしょう)。

「6月の十五日」は、毎月15は満月(モチズキ)だから、「ミナズキのモチ」と読むのだそうだ。いいですね~。


記録でみると、富士山の「遅い消雪時期」は9月初旬、「早い降雪時期」は7月初旬であるから、歌の内容に矛盾はない。

おそらく、土地の伝承を歌に詠みこんだのであろう。
自然の不変を感じ取った、赤人のセンスが光る歌だ。

今日の富士山は、ぼやけて見える。
今日明日は温かいそうだ。



万葉集(15)

2017-02-13 11:31:05 | 万葉集
3-318 田子の浦ゆうち出てみれば真白くぞ不盡の高嶺に雪は降りける
山部宿祢赤人が不盡山(フジヤマ)を望てよめる歌

田子の浦からぐぐーっと離れると、富士山の頂上が真っ白に雪を被っているのが見える。


そもそもは、この万葉集の歌が本元だが、今では、次の百人一首や新古今で超有名な歌になっている。

田子の浦にうち出てみれば白妙の不盡の高嶺に雪は降りつつ

これら二つの歌における言葉の違いは、三点(ゆ=に、真白にぞ=白妙の、ける=つつ)にすぎず、意味合いに大差はないのだが、ゆ=にの違いは無視してはいけないように思う。
「に」の場合の訳を次のようにしたいが、いかがだろうか?

田子の浦海岸からは、富士山の頂上が真っ白に雪を被っているのが見える。


なにがいいたいか? 元歌のほうが、雄大さが表現されていてずーっといい。


今の時期、富士山のきれいさに、寒さをしばし忘れ、見惚れることある。



古今集(252)

2017-02-09 09:48:43 | 古今和歌集
6 春たてば花とや見らむ 白雪のかかれる枝にうぐひすの鳴く
雪の、木にふりかかれるをよめる
素性法師

立春をすぎたのですから花(ウメ)を見にいきたいと思っていましたのに、(なんということでしょう)雪が残っている枝に鶯がとまって鳴いています。


今朝、雨戸を開けたらみぞれでした。新聞を取りにいったときは雨すら降っていなかったのに。
予報官なかせの天候なのですね~。

しかし、先だっての強風と砂埃を体験した人々にとっては、まさに「めぐみの雨」です。

これで、空気が多少湿り、火事の発生件数も減少するのではないでしょうか。

古今集(251)

2017-02-06 11:31:20 | 懐風藻
10 春やとき 花やおそきと ききわかん鶯だにも 鳴かずもあるかな
春のはじめによめる
ふじはらのことなほ

(暦の上では春だというのに、)まだ春とはいえないですね~。花はまだ咲かないし、聞こえてもいいはずの鶯すら、まだ鳴きません。


節分、立春を過ぎてからが長いのですよね~。春を実感するのが。

今日はとんでもなく温かい日よりですが、だまされてはいけません。明日からしばらく寒いのだそうです。


この国のリーダーの動きを見ていると、まさに、ジャイアンのそばから離れないスネオを思い起こさせます。
こんなときこそ全方位外交に舵を切る度胸をみせてもらいたい、なんて思うのは、素人だからでしょうか。

都民ファーストのずっと先に、アメリカファーストがあるわけですから、心して政治世界を見ていないと、いつかきた道に入り込んでしまうような気がします。

万葉集(14)

2017-02-03 09:09:47 | 万葉集
3-350 黙然居りて賢しらするは酒飲みて酔泣するになほ及かずけり
大伴旅人
酒賛歌13首の第13

(生きていくのなら、)ああだこうだ思い悩むこともありましょうが、酒を飲んでプアーッとしちゃうほがよっぽどいいと思います。


人生、出たとこ勝負。元気よく全うしたい、と心の底から思っています。

しかし、このところ寒くて寒くて、身が縮んでいくばかりで、我ながら元気が出ませんでした。
今日節分、明日立春、ですか。寒さもここが底にちがいない、と鼓舞しているところです。