水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

日の名残り(94)

2019-10-31 10:00:18 | 日の名残り
Mr Churchill? He did come to the house on a number of occasions. But to be quite frank, Mrs Taylor, during the time I was most involved in great affairs, Mr Churchill was not such a key figure and was not really expected to become one. The likes of Mr Eden and Lord Halifax were more frequent visitors in those days.

ミスターチャーチル ですか?さよう、あの方は何度か屋敷に来られました。しかし率直に申し上げますとな、ミセステイラー、私が大きな問題に取り組んでおりましたころは、ミスターチャーチルはまださほど重要な人物ではありませんでしたし、将来を嘱望されているというほどでもありませんでした。当時はミスターイーデン やハリファックス卿のほうが屋敷に頻繁に来られましたな。


同席している地元の女性から、チャーチルさんに会ったことがあるのですか、と聞かれ、スティーブンス氏は上のように答えた。

ちょっとみ、ちょっと聞き、とんでもないことになった。これを聞いたら、スティーブンス氏が国政の中枢に関与するような人物、と思われてしまう。


スティーブンス氏、とんでもない深みにはまりそうである。

日の名残り(93)

2019-10-24 14:50:19 | 日の名残り
I never held any high office, mind you. Any influence I expert was in a strictly unofficial capacity.

いや別に、高いポストについていたというわけではありません。私に多少の影響力があったとしても、やはりは非公式の場面に限定されておりましたから。


スティーブンス氏の、外交政策、という言葉で凝り固まった田舎の人々をで、さらに緊張させてしまった。全員に畏怖の表情が浮かんだ。


人間、時々、自分の発する言葉から、思わぬ方向に座が動くことがある。スティーブンス氏も、ヤバイ、と思って、修正に走るのだが、なかなか苦しい。



日の名残り(92)

2019-10-17 09:55:00 | 日の名残り
In fact, I tended to concern myself with international affairs more than domestic ones. Foreign policy, that is to say.

私自身は、国内問題より国際問題に重きを置いておりました。いわゆる外交政策ですな。


詮索好きの田舎のみなさんとの会話が進むうち、スティーブンス氏の身分がとんでもなく高い人だ、と思い込ませてしいまった、一言。


この一言で、座が一瞬のうちに凍り付いてしまった。
さて、どうするか?


19号台風の災禍はとんでもないことになりそうですな~。しかし、水は、高きから低きに流れ、くぼ地に溜まる、ということを、なぜ我々は肝に銘じないのでしょうか。
水が出る場所、とわかっていながら、なぜ家や施設を建てさせてしまうのでしょうか。建てざるを得ないとして、なぜ対策を講じることを強制しないのでしょうか。
天災というべき所もあるでしょう。でも、人災のにおいプンプンのところも見受けられるのですが。

日の名残り(91)

2019-10-10 10:01:34 | 日の名残り
You can not have dignity if you are a slave. But every Englishman can grasp it if only he cares to. Because we fought for that right.

奴隷に尊厳はない。だが、イギリス国民は、その気になりさえすれば品格も尊厳ももちうる。そうでしょう?なんたって、その権利のためにヒトラーと戦ったのだから。


農夫のスミスさんの口がなめらになって、おしゃべりをはじめた、一節。dignity という前言を、ここでは it で引き継いだが、その訳として、品格と尊厳、という言葉であらわした。訳者のレベルの高さがあらわれている。

さらに、訳文で、ヒトラーと戦った、と書いているが、本文は単に、その権利のために戦った、としか書いていない。
ここの前に、ヒトラーのいうなりになっていたら、いまごろ我々は奴隷になってました。そのようになることを阻止するために戦ったのだ、とスミスさんは言っている。
それをうけて、ここではわざわざ ヒトラー という言葉を訳文に入れた、ということでしょうか。

日の名残り(90)

2019-10-03 10:03:07 | 日の名残り
You will excuse me, sir, but like I said before, we do not stand on ceremony here when it comes to expressing opinions. And that is my opinion for what it is worth. Dignity is not just something for gentlemen.

お言葉を返すようで申し訳ないんですが、さっきも言いましたように、ここでは意見を言うのに遠慮はしないんです。そして、品格は紳士の専売特許じゃないってのが私の意見です。

普通の人とはちょっと違って品があるよね、といったとき、その決め手ななにか? と聞かれたスティーブンス氏は、Dignity があるかおうかだ、と答えた。
それに対し、スミスという人は、上のように言った。

おそらく、Dignity の意味合いを、品格ではなく、威厳、ととらえたのであろうか。本当は「いやいやそうではなく、気品みたいなもので~~~」とか、スティーブンス氏は説明したかったかもしれない。話がこんがらがる可能性があるので、「お説ごもっとも」と話を打ち切ったようだ。


会話の途中、話がずれてしまうことがよくあるが、そのたびに、いきりたって筋をもどそうとすると、くたびれる。会話を楽しく続けることは意外に難しい。