水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

雷声出(12/72)

2010-03-31 08:43:21 | 72候
 今日は72候の、「雷声出」(かみなりこえをだす)だ。

昨年の9/23日に書いた、「雷声収」(46/72)と対(つい)。
熱雷に伴う積乱雲が見られる季節に入りましたよ、ということだろう。

雷についての、ちょっとしたウンチクをメモしておこう。ただし、本当か嘘かは不明。

①「カミナリ」は「神鳴り」。つまり、あのゴロゴロは、天上の神様がご機嫌を損ね暴れている、と昔の日本人は信じた。その言葉に、後代中国から入ってきた漢字「雷」を当てた。

② では「雷」は、何故、下、すなわち、ツクリが、「田」なのか? 
「田」は水田の境界とあぜ道をあらわす字で、「神鳴り」には無関係のはず。

 本来、アメカンムリと、「傀儡」(カイライ)の、ライの字のツクリが合わさった字が漢字の「カミナリ」だったのだそうだ。だから、「雷」の音読みは「ライ」。
さらに、この「ライ」は、「田」(デン)が三枚組み合わさっているのではなく、カミナリがゴロゴロと音をたてている状態を表している字なのだそうだ。
そして時が経て、いつのまにか、二つの「田」が消え、今では「雷」。

つまりやはり、「雷」(カミナリ)と水田との間には、なんの関係もない、ということ。


上と直接関係する話ではないが、「轟」(トドロキ)は、多数の車がゴロゴロと音を立てて回っている状態を表す漢字だ。

話が発散しそうなので、やめる。



桜始開(11/72)

2010-03-26 07:07:43 | 72候
 今日は、72候の「桜始開」(さくらはじめてひらく)だ。

 気象庁は、今年から開花予測はせずに、開花事実のみを発表することにしたらしい。
いいことだ。公の権威で、ランダム性の強い現象を予想することは、そもそもおかしい。天気予報も、そろそろ、民間にまかせ、気象庁は観測内容の充実に専念し、結果をすべて公表するべきだ。

 手元の理科年表(恥ずかしいことに、H13年版で、ちょっと古い。)によると、ソメイヨシノの開花平年日(東京、1961から30年間の平均)は3/29。そして、満開日は4/7、開花日プラス9日。

 三鷹市役所HPによると、井の頭公園の桜は23日に開花したそうだ。このところの寒さで開花スピードが鈍ったらしい。
前例に従えば、見ごろは、23プラス9=4/1、となる。が今年は、それより数日後か。

 どこに行こうか? キリ大(ICU)を中心とした周辺をうろうろしようか?

多摩のあゆみ137号(2)

2010-03-25 11:14:33 | 三鷹・歴史/地史
 標記雑誌の中で気になったこと。

今日は「羨道」。

かなり前から、ずっと気になっている字だ。

 古墳では、玄室という名の、一番奥の棺を安置する部屋から、手前に前室、羨道と名づけられた空間が存在する。考古学の専門用語だと思う。

 「羨道」は、大辞林によれば、エンドウ、もしくは、センドウと読み、「墳墓の入り口から、棺を納める玄室までの道」だそうだ。

 さて言いたいことは、なぜ「羨」の字を使うかわからない、ということだ。換言すれば、ふさわしくない、と思われる字を、なぜ敢えて使うのか。

 いうまでもなく、「羨」は訓読みで「ウラヤマシイ」。「羨道」は、もしかしたら、「うらやましいみち」であるのかもしれない。
 字の組み立てを見ると、上が羊。下は、サンズイに「欠」、「涎」(ヨダレ)の本字だそうだ。「ヒツジを見て、ヨダレを流す」というのが、この字の本来の意味であろう。

 グーグルの翻訳機能を使っても、「羨道」に当たる中国語を見つけることができなかった。

 ちなみに、ギリシャ語ではDromosが「羨道」に当たるようだが、こっちは、もっとずっと大規模なものだ。
例えば、「墓道」ではどうしていけないのか。

 学者さん方が専門用語としてお使いになっているのだろうが、このような字を使わなければならない必然性をどうしても見つけられない。浅学素人。「ゴマメの歯軋り」。



雀始めて巣食う(10/72)

2010-03-21 16:47:59 | 72候
 今日は、72候の「雀始めて巣食う」だ。

雀の産卵期に入った、ということだろう。

・近年、雀の個体数が激減しているそうだが、原因はなんなのか?よくないことの前兆でなければいいのだが。


 三鷹市の住人としては、市内の字名にある、連雀(上連雀、下連雀)について知っていること(ほんのちょっぴり)を記さねばなかろう。

・有名な振袖火事(調べたら、1657年3月2日(旧暦1月18日)に発生)で焼け出された神田連雀町の住人が移住させられ、田畑の新規開発に従事した土地。

・神田連雀町は、昔の交通博物館(もっと昔は万世橋駅)の西側一帯。

・もともとは、神田連尺町といったらしい。

・連尺とは、背負子の荷縄。肩に当たる部分を幅広に編みこんでいるもの。

・きれいな鳥の名である「連雀」のほうが、「連尺」よりきれいなので、尺を雀に変えて使うようになった。

・上連雀、下連雀の、今日の隆盛は1940年代の軍需産業の立地に始まる。入植以来それまでの期間は、ずっと、「馬草場」と呼ばれる荒地であった(青梅街道からも甲州街道からも離れていいる)。

こんなところか。貧弱な知識ですな。

 明暦の大火事も強風が吹いたそうだが、昨夜の風もすごかった。手作りの、物干し屋根が全壊した(正確には、危険を回避させるために自らの手で全壊させた、だ。時間的に最盛期(4時ごろ)であったらしく、スリル満点であった)。

多摩のあゆみ137号(1)

2010-03-18 08:58:16 | 三鷹・歴史/地史
 3/13の解説員連絡会で配布された、標記雑誌の中にいくつか興味惹かれるポイントがあった。

今日は、「乗瀦駅」。始めて接する字。

 これは、江口桂氏論文(七世紀における多摩川中流域左岸の古墳と集落)中の図3(p18)に示されている。

① 「瀦」の読み方。大字典によると、音読みで「チョ」、訓読みで「ミズタマリ」だそうだ。サンズイをとれば、猪八戒の「猪」と同字。
②「乗瀦」をどう読むか?現在、「ノリヌマ」もしくは「アマヌマ」とあて読みしているらしい。


さて、なぜこれが気になったか?

  図のタイトルは「東国の7世紀代主要古墳と国府・駅路」となっていて、「乗瀦駅」は第5駅(武蔵国府(今の府中))と「豊島駅」とを結ぶ道の中間に位置している。

直感的に人見街道そのものではないか、と思い、地図で確認した。間違いない、と思う。

 この道は平安時代の延喜式よりも前に存在していたそうで、豊島駅の先は、下総国府、さらに常陸国府に繋がっていた。千数百年前の国道一号といってもよいだろう。

 水車は、こんな街道の際に立地しているのだ。
 
 人見街道については随分前に書いた(調べたら、07年6月だった)が、自己の知見について補強材料ができ、うれしい。


 ちなみに、「乗瀦駅」は、現在の杉並区天沼であろう、と考えられているらしい。


菜虫蝶と化す(9/72)

2010-03-16 07:13:16 | 72候
 今日は、72候の「菜虫蝶と化す」(なむしちょうとかす)だ。

 直感的解釈としては、モンシロチョウがちらちら出てきて「あ~、青虫がチョウチョになる季節になったなあ~、と感慨にふける」構図が目にうかぶ。

 が、よーっく考えると、ちょっとおかしい。モゾモゾ動く青虫が直接蝶になることはない。それらの間に、かなり長い時間のサナギ状態があるはず。
つまり上の解釈では、標題が言いたい現象を正しく理解できていないのではないか、と思えるのだ。

 例によって、辞書をめくった。大辞林によれば、「菜虫」は「大根・蕪・白菜などが葉を広げはじめた時期に、その葉を食い荒らす虫の総称」。
そしてなんと、これは秋の季語なのだそうだ。

 胡蝶にもならで秋経る菜虫かな 芭蕉

 これで、ピンときた。春最初に「蝶と化す」「菜虫」は、サナギで越冬したヤツだ、と。
この解釈でよいか?




解説員連絡会(13)

2010-03-13 20:33:50 | 水車解説関連
 今日は、とんでもない温かさであった。最高気温が20℃ぐらいではなかったか。ただし強い南西の風。 

午前中、標記連絡会があった。

行政サイドからの話の主要な内容は以下のとおり。

・ 水車稼動にむけた工事はおおもね終了した。工事状況の撮影をケーブルテレビに依頼した。
・ 最大可能水量は9.6m3/m
・ シラカシ、ケヤキの枝を詰める。
・ 新年度から、9月公開にむけ、種々の準備(パンフレット・マニュアル作成、見学場所整備、ロゴマーク、HPリニューアルなど)に入る。
・ 水輪は毎日回す。臼や杵は二ヶ月に一回程度稼動(専門家に委託する)。
・ 解説員養成講座を実施する(7または8月に4回程度)。水輪を動かすことになるので、現解説者も受講してほしい。
・ 今まで水車クラブに依頼していた管理は、ムニャムニャ(聞き取れず!)に委託する。
・ 箕輪家母屋の公開に向けた工事は、来年度開始する。今年度は工事設計。
・ 次回は6/19(土)開催の予定。

たましん地域文化財団発行の、多摩のあゆみ137号が配布された。掲載されている論文の中にいくつか面白いものがあるので、折を見て概要をまとめておこうと思う。




桃始咲(8/72)

2010-03-11 09:31:42 | 72候
 今日は、72候の「桃始咲」(ももはじめてさく)だ。

「桃始笑」と書くこともある。

 大字典によると、「咲」を、我々日本人は、花がサク、と用いるが、本来、笑の本字(クチヘンに笑)と同じ意味を持つのだそうだ。ただし、「笑」の字源については諸説紛々で、まだ解っていないらしい。

 昔、桃の花の見事な遠景を見て、「きれいな桜ですね」といい、笑われたことがある。
桃は桜にやや遅れて咲くから、今のこの時期に、「桃始咲」とは、いかにも早すぎる、と思う。

三鷹市長メルマガ(12)

2010-03-08 11:37:36 | 三鷹・市政
 久しぶりに、標記メルマガについて書く気になった(遡ったら、前回書いたのは08年8月であった。)。配信されるたびに、毎号読んではいるのだが、あまり刺激を受けることがなく過ぎてしまった(蛇足。官邸メルマガの配信も受けている。こちらは、失礼ながら気合が入っていない印象で、いまいちしまらない)。

 さて、書きたくなったこと、

① 平成22年度の施政方針の概要を、市長がお示しになっている。
 気力が十分伝わる文章だ。「歳出の無駄を徹底的に排し」(冒頭部分)、あるいは「誠心誠意、全力で市政運営を行い」(末尾部分)などの言やよし!
期待しています。

② 部課長コラム。今回は水道部長。職業柄とはいえ示唆に富む文章だ。曰く;

 ・ 水道水の生産にかかる環境負荷は市販のペットボトル水生産の千分の一にすぎない。
 ・ 小麦1キロの生産に必要な水量は2トン、牛肉1キロの生産に必要な水量は20トンなどを勘案すると、日本は年間640億トンの水(バーチャルウォーター)を輸入していることになる。
 ・日本の、水管理および浄水技術は世界一。

 
 ここらあたりから、精神的にじっくり見直さないと、とんでもない国になってしまうのではないか、とつくづく考えさせられた。
 

蟄虫啓戸(7/72)

2010-03-06 07:31:57 | 72候
 今日は、72候の「蟄虫啓戸」(ちっちゅうとをひらく)だ。

24節気の「啓蟄」でもある。

寒くて穴籠りしていた虫が、温かさにつられ、穴の入り口を開く、(季節)の意。

「啓」の本来の意味は、知識を開発すること、もしくは、意見を開陳すること、だそうだ。
なぜ、戸を開く意味で、この字を使うのか、わかりません。

もうひとつ恥ずかしいこと。拝啓の「拝」は略字で、本字は「拜」だそうだ。知りませんでした。


「蟄虫啓戸」は、昨年9月28日に書いた、47/72の「蟄虫閉戸」と対だ。
その時、江戸時代の刑罰を羅列した。
暴力的でなく権力のトップを獲得した人間が法を犯したとき、歴史的にどのような刑罰が科せられてきたのだろうか。
毎日の報道で、側近を犠牲にする彼らの、シレーッとした顔と強弁を見せられるとウンザリしてくる。


草木萌え動く(6/72)

2010-03-01 11:22:53 | 72候
 今日は、72候の「草木萌え動く」(そうもくもえうごく)だ。

萌芽(ほうが)という言葉があるように、「萌」は草木が芽ぐむこと、を意味する漢字。

 
 「モエギ色」という色はどんな色か?

「萌葱」と書いたり、「萌黄」と書いたり。「葱」(ねぎ)の色だ、という人がいたり。
両者は異なるという人もいて、英語でいうと、前者をdark yellowish green、後者を strong yellow green だとか。よくわからない。

 自分なりの結論はこうだ。

 ① 歴史的にみて、萌黄色と萌葱色との間に、違いはない。
 ② 染料として、藍と刈安(黄八丈の染料)を混ぜて染めたものが、萌葱色。
 ③ 和服(特に女性)の表裏布地の色組み合わせには、襲(かさね)というきまりがある。
 ④ そのきまりの中に「萌葱」という名の色がある。色見本を見る限り、dark yellowish green ではなくて strong yellow green だ。
 ⑤ 昔の女性は、この襲のきまりに従って、服の着分けをしていた。
 ⑥ 例えば、春に着る「若緑」という名の襲は、表地の色が「萌葱」、裏地の色が「紫」だ。
 ⑦ おくればせながら、これからは、和装女性を見たら、襲に着目させていただこう。
 

 今日は3月1日。今年の冬は、いままでで一番長かったような気がする。襲探しをすれば、散歩も多少は元気にやれそうだ。