水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

雪下出麦(66/72)

2009-12-31 17:26:42 | 72候
 今日は、72候の「雪下出麦」(ゆきわたりてむぎのびる)だ。

雪の下から麦の芽が伸びてくる、という意。

 この標題から、すぐに思い出される光景は「麦踏み」だ。小学生の頃、凧揚げに熱中した時期がある。当時の自分を思い起こす状景に、どういうわけか、麦踏をしている人が必ず入る。こちらは、風除けの林を背にして、凧をあやつっていて、遠景は吹きさらし畑、そこに麦踏みをしている人がいる。さぞや寒かろう、と同情したような気がする。

 麦踏みは霜柱をつぶすため、とそのころ聞いた。
それだけではなく、株そのものを強くする効果もあるのだそうで、今は、人力ではなく、ローラーが使われているらしい。


麦踏みや 思う未来に 強い君

大晦日 夕暮れ空に 富士の山


このブログを読んで下さっている皆様!
よいお年をお迎え願います。


鷹(3)

2009-12-28 10:43:57 | 「鷹」について
 大字典をみていて、鷹の本字が、下の「鳥」を取った上のみ、であることを知った。

 その字を、インターネットの漢字検索で探したが、まだ見つけることが出来ない。膺、應などはあるのに。もちろん、大字典には載っている。

 いづれにしても、「雁のガンダレがマダレ」の字は、音読みでヨウ、訓読みでタカ、鷹の本字だそうだ。

 白川静著の字統・字通・字訓を読み、「雁のガンダレがマダレ」の字について、次のことがわかった。

① この字は、祭祀施設で人が鳥を胸に抱えている形をあらわす。
② すなわち、鳥占いをしているところ。
③ 鳥占いに使う鳥はタカ。
④ したがって、この字を日本でタカと読むようになった。

 では、なぜ「鷹」の字が生まれたか?
タカの中でも鳥占いに使える、特別なタカを「鷹」とした、のではないか(これは、独断・独善)。

 「鳥占い」を「誓ひ狩り」(うけひがり)ともいうらしい。

「誓ひ狩り」とは、大辞林によると、「獲物によって事の吉凶を占うために行う狩り」だそうだ。

 日本では、仁徳天皇が鷹狩りを見た、という伝承があるらしい。これから、日本に鷹狩りが入ってきたのは、5世紀ごろのこと、と想像される。

 以上から、「鷹狩り」の起源は古代中国の神事(鳥占い)だ、ということがわかった。そして鷹はこの「誓ひ狩り」をするために特別に訓練された、気品があって優秀なタカをいう、のだと思う。

 鷹狩り、というと、直感的に信長、家康などを思いつく。
上の知見に基づくと、たぶん彼らの鷹狩りは、単なる、軍事訓練や獲物取りとしてではなく、古代の占いに近い、神聖な行事だったのではないか、と思える。

  

 

  

鹿角おつる(65/72)

2009-12-27 10:13:35 | 72候
 今日は、72候の「鹿角おつる」だ。

 鹿の角がとれる、の意、と理解する。が、もしそうだとすると、腑に落ちない。

 例えば奈良公園の角きり行事は10月だ。
物の本に、鹿の角は、通常、植物と同様、春先から生え始め、冬の終わり、つまり、2月下旬頃におちる。

 何故今、「鹿角おつる」というのか? わかりません。


鷹(2)

2009-12-26 09:58:46 | 「鷹」について
 「一富士二鷹三茄子」(いちふじにたかさんなすび)

 これらを初夢に見ると縁起がよいとされる。

初夢については12世紀ごろから風習となっていたらしい。

 「一富士二鷹三茄子」は江戸時代初期に言い出されたようだ。起源・由来については諸説があって、よくわからない。いちばんわからないのは、三の茄子。なぜこれが縁起物となるのであろうか?庶民に手の届かない高級品であったのだろうか。

 直感的イメージとして、富士は孤高、鷹は鋭敏・勇猛、と思い浮かべる。が、それらと茄子との落差が大きすぎる。

 したがって現時点で、もっともらしいと思う由来は次の語呂合わせ。庶民生活起源の縁起かつぎ、と想像するからだ。


 富士~~~無事
 鷹~~~~高い(攫む)
 茄子~~~成す(成就)


 まあとにかく、新年の初夢には、なんとかこれらに出てきてもらって、気分よく始めたいものです。

鷹(1)

2009-12-24 13:47:21 | 「鷹」について
 三鷹市長メルマガ145号(12/20)の頭で、市長は、漢字「鷹」が常用漢字表から外れる恐れが極めて高い状況を危惧し、復活要望を提出した、と書いている。

 常用漢字とは、漢字使用の目安であって、それ以外の漢字を使用することを妨げるものではない。
だから、ワーワー神経質に騒ぐ必要はない、との声もよく聞く。
しかし、それは間違い、だと思う。市長を支持する。なぜか?

 一般に、常用漢字表から外れると、

① 各種法令の条文中に使えなくなる。
② 教育の場での使用敬遠が一般化される。

 つまり、市役所が発する文書のほとんどで、「三鷹」を使いにくくなるはずだ。

 さらに言えば、ちょっとおおげさだが、日本人としての教育に害を及ぼす可能性がある。
日本語の特性のひとつに、表意文字と表音文字の併用がある。このことに意を置けば、教育の場から漢字を減らす、なんて発想はできない。幼少期から、なるべく多数の漢字を叩き込んでおかねばならない、と思う。
だって、「みたか市」なんて、味も素っ気もないではありませんか。「鷹」の字があるから、締まるのです。

てなわけで、「鷹」についての知見を集めてみようと思う。

初回、つまり次回のテーマは、初夢に期待される、「一富士二鷹三茄子」、にするつもりだ。

冬生夏枯(64/72)

2009-12-22 10:39:51 | 72候
 今日は、72候の「冬生じ夏枯る」だ。冬至でもある。

 12月はじめの気象庁1ヶ月予報では、たしか、平年に比べ暖かい、ということだったが、このところの寒さはなんだ。予報ははずれ、でしょうな。
いよいよ、これから本格的な冬だ。じっとがまん!

 柚子湯は教えられたが、冬至とかぼちゃの関係は、最近まで知らなかった。

 かぼちゃは、メキシコ原産で江戸時代に日本に入ってきた、と聞いたことがある。夏野菜のかぼちゃを冬に食べることができたのは、ごく少数の上流階級だけだったのではなかろうか。
つまり、冬至とかぼちゃ、は庶民には関係のない習慣だったのではないか、と理解したい。

 最近、日本人には全く関係のないお祭り(今アメリカで盛んだが、元はヨーロッパのどこかの国起源)、かぼちゃを使うハローウィーンまで、真似しはじめた。これは商魂の発露のひとつか?
 

鮭魚群がる(63/72)

2009-12-16 16:03:08 | 72候
 今日は72候の、「鮭魚群がる」だ。

 川上で産卵している状態、もしくは、遡上中の鮭の群、を表現しているのだろう。

 それがこの時期ということ。
 残念ながら、見たことがない。さぞや壮観であろう。

 大字典を引くと、「鮭」は本来「河豚」(ふぐ)のことだそうだ。にわかには信じられない。

「シャケ」と読ませるのはアイヌ語起源、なんて勝手に想像していたが、これもいまだよくわからない。

 もうひとつ、わからないこと。鮭は、生まれた川にもどれる、つまり回帰特性を有することで有名だ。
なぜもどれるのか?
これもよく分かっていないらしい。アッチャコッチャのサイトをのぞいたが、納得できる回答を見つけられなかった。

世界の水輪(5)水の掛け方(2)

2009-12-15 14:40:37 | 水車解説関連
 頂点付近で水を受ける水車を「上掛け水車」という。

 頂点からやや下流側で水を受けるタイプと、やや下流側で受けるタイプとに細分される。後者を、特に、「後ろ掛け水車」と呼ぶ。

 これらの水車は、主として水の重さを二重に利用して、水車を回す。
つまり、水車の上部の小さな箱に水が貯まり重くなり、水車が回転しはじめる。そして、その箱が下方に来ると、中の水が抜けて軽くなる。
とにかくこのタイプは、水流の速度を必要とせず、専ら水位差が十分あればよい。

 「後ろ掛け水車」には特筆しておくべき利点がひとつある。それは、水路の水位がなんらかの原因で上昇した場合であっても大丈夫ということ、である。車の軸の高さまでであったら、水位が上昇しても、水車の回転に支障をきたすことはない。下流方向に流れる水流が生ずるので、むしろこれは水車の回転を助ける働きをする。
これが逆回転の、「後ろ掛け水車」ではない「上掛け水車」の場合、水位が上昇すると、水車の回転を阻害するように水が働くので、水車は回転できなくなる、ばかりか、場合によると壊れてしまうはずだ。
  

熊穴に籠る(62/72)

2009-12-12 07:32:32 | 72候
 今日は、72候の「熊穴に籠る」だ。

 これを冬眠と思っていたが、正確には、熊は冬眠動物ではないのだそうだ。
確かに冬眠中、心拍数は激減する(通常毎分80ぐらい、が20ぐらいに)。
が、体温はほとんど下がらない。いつでも起きだすことができる。そして、この時期に子を産み、育てる。

 「穴に籠る」主要な因子は、冬期のエサ不足対策らしい。したがって、エサが豊富にあれば、穴に籠る必要はない。

そういえば、動物園の熊について、冬眠・穴籠り、を聞いたことがない。

 

世界の水輪(4)水の掛け方

2009-12-10 11:43:32 | 水車解説関連
 「しんぐるま」の、水の掛け方を、「胸掛け」(breastshot)という。
通常、水輪の回転軸付近で水を受けるから、と説明する。この説明では、やや不十分。

 なぜ不十分か。11/19の記事でも使った資料を参考にし、垂直に設置された水輪への、水の掛け方を分類することによって、それを確認する。

A 水輪の上流側と下流側とで、水位は同じか?
答えが’ハイ’の場合は4へ、’イイエ’の場合はBへ

B 水輪の頂上付近で水が掛かるか?
答えが’ハイ’の場合はCへ、’イイエ’の場合は3へ

C 水輪の下流側に水が掛かるか?
答えが’ハイ’の場合は1へ、’イイエ’の場合は2へ


1 上掛け水車(overshot wheel)
2 後ろ掛け水車(backshot wheel)
3 胸掛け水車(breastshot wheel)
4 下掛け水車(undershot wheel)

個々の詳細(というほどでもないが)は、いずれ書くことにする。今日は、胸掛けと下掛けとの違いをはっきりさせておく。
「しんぐるま」は、上流の差蓋で水を堰上げ、下流側水位と不連続にするので、「下掛け」ではなく「胸掛け」。

冷房デグリーデイ

2009-12-08 08:42:50 | 雑感(1)日常
 昨日、暖房デグリーデイについて書いた。季節はずれだが、ことのついでに、冷房デグリーデイについても書いておく。

 定義

① 日平均気温が24度Cになったら冷房を行うと仮定する。
② 日平均気温が24度Cになる平年年初日から平年年終日までを冷房期間とする。
③ 上の期間について、基準温度24度Cと日平均気温との差、の積算が冷房デグリーデイ

東京の場合

・冷房年初日:7月9日
・冷房年終日:9月11日
・冷房期間:65日
・デグリーデイ:148度C

だそうだ。

 北海道中いずこも、冷房期間0日。冷房期間が一桁台は、盛岡と高山。
鹿児島は94日で、本州中最大。那覇は153日。


 集計表を見ていておもった。冬は南高知で避寒、夏は三陸沿岸で避暑、が理想か、と。これできれば、さぞや気分がよろしかろう。


 それにしても、CO2放出量は、暖房と冷房のどっちが多いのだろうか。

空寒く冬となる(61/72)

2009-12-07 10:00:35 | 72候
 今日は、72候の「空寒く冬となる」だ。24節気の「大雪」でもある。

 気象庁の季節予報によると、1月初旬まで、平年に比べ、暖かいらしい。
寒さにめっぽう弱い人間にとっては朗報だ。

 暖房・冷房デグリーデイという概念がある。日本語では、度日解析と言う分野だが、農作物の生産技術に関係して考え出された概念、と思う。

暖房デグリーデイの場合、
① 日平均気温が10度C以下になると暖房を行う、と仮定する。
② 日平均気温が10度C以下になる年初日から年終日までを暖房期間、と仮定する。
③ 上の期間について、基準温度すなわち14度Cと、日平均気温との差を積算する。

 東京の場合、理科年表(ちょっと古い)によると、
・日平均気温が10度C以下になる平年年初日:11月30日
・日平均気温が10度C以下になる平年年終日:3月26日
・暖房期間:117日
・暖房デグリーデイ:855度C

 国内で、暖房期間が一番長い都市は根室で、なんと232日、逆に、暖房期間が一番短い都市は土佐清水で(南西諸島のデータなし)、72日、だそうだ。

 まあとにかく、これから約4ヶ月、寒さに身を縮め続けねばならぬ。


橘始めて黄ばむ(60/72)

2009-12-02 07:12:30 | 72候
 今日は、72候の「橘始めて黄ばむ」だ。

常緑樹だから、黄ばむのは、葉ではなく、実だ。蜜柑や金柑はもうすこし早く黄ばむのだろうか。
黄色になると、香りは落ちるらしい。

「橘」といえば、紫宸殿前の右近の橘左近の桜、とくる。国家(天皇家)安寧祈念を象徴する植物のひとつだ。

右近左近は、天皇出座の際前庭左右に整列する近衛兵、つまり天皇親衛隊のこと。

 話は飛ぶ。2.26事件。天皇が激怒した、と聞く。あたりまえだ。最も信頼している側近軍団、近衛連隊内部にも異端者が紛れ込んでいたのだから。
しかし、あれから七十有余年、まだ真相は闇の中だ。若者を煽動した、最も悪いやつは眠ったままだと思う。


師走

2009-12-01 08:59:52 | 雑感(1)日常
 今日から12月。月日の経過が早い。加齢とともに、下り勾配がどんどんきつくなる、坂道をヨタヨタ走り下っているようだ。あちこちガタがきているのに止まらない、って感じ。

 朝起きて、「今日から、先生も走る月だぜ」、と言ったものの、はて、なぜ12月が師走なのか?

 だって、うらぶれた暇そうな僧侶を「師走坊主」というではないですか。この表現は、師走を経をあげるために僧侶が東奔西走する意、つまり、僧侶は12月が忙しいはず、ということと矛盾する。

 調べると、どうも、12月を「しはつ」と呼んだことが先にあって、「師走」という漢字を当てたらしい。「しはつ」の語源は、「年果つ(としはつ)」、「四極(しはつ)」、「為果つ(しはつ)」などが考えられるらしい。

 また、漢字の意味からは、「師馳す(しはす)」が師走の前にあった、という説もあるらしい。


 数時間かけて結局、「師走」の語源が明確には解明されていない、ということがわかっただけだった。疲れた。