水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

日の名残り(120)

2020-04-30 20:22:16 | 日の名残り
extremely desolate occasions - when you think to yourself : "What a terrible mistake I have made with my life." And you get to thinking about a different life, a better life you might have had. For instance, I get to thinking about a life I might have had with you, Mr. Stevens.

とてもみじめになって、私の人生はなんて大きな間違いだったことかしらと、考えたりみします。そして、もしかしたら実現していたかもしれない別の人生を、よりよい人生をーたとえば、ミスタースティーブンス、あなたといっしょの人生をー考えたりするのですわ。


スティーブンス氏が、ミスケントンからもっとも聞きたかった言葉、もしくは、聞いてはいけなかった言葉、がついに出た。
相思相愛であったにもかかわらず、ちょっとした行き違いを数多く経験したがために、両者は互いに思いのうちを確かめることができなかった。
これで、両者の心持は互いにわかりあえたのかもしれない。

カズオイシグロの文才が、他者を圧倒するほどだ、といわれる由縁が、このへんの言い回しにあるのかもしれない。
残念ながら、英語の見事さを評価する能力はない。がしかし、翻訳がすばらしいからであろが、この辺の日本語の言い回しから、両者の微妙な心の内をよく理解・共感することができる。



日の名残り(119)

2020-04-23 11:35:43 | 日の名残り
As I say, it is something that has worried me for some time. I would foolish had I come all this way and seen you and not at least asked you.
先ほども申し上げましたように、ここしばらく気になっていたことがあるのです。 はるばるここまでやってきて、尋ねてみることさえしなかったちいうのでは、いつまでも後悔が残ることになります。

スティーブンス氏は、ミスケントンのことを、憎からず思っていたのだが、共に働いている間、ことごとくお互いの思惑がずれてしまっていた。ミスケントンがやめたあと、ほそぼそと文通が続けられていたのだが、その内容が、ミスケントンの生活ぶりを心配させるものが多かった。今回の旅行で、どうしてもミスケントンに逢おうと思った由縁である。

思い切って、切り出した。さてミスケントンはどうこたえるか。


ところで、コロナ騒動はますます混迷を深めるようだ。それも世界中でだ。五輪も吹っ飛ぶに違いない、と思う。
歴史が大きく変わることは疑うべくもない。この国はどう生き延びていくのか。

日の名残り(118)

2020-04-16 10:19:39 | 日の名残り
His lordship's good name was destroyed for ever. Really, Mrs Benn afterwards, well, his lordship was virtually an invalid. And the house became so quiet.
卿の名誉は永遠に汚されてしまったのです。あのあと、卿は廃人も同様でした。お屋敷も死んだように静かになってしまいました。

ミシケントンと再会を果たしたスティーブンス氏は、二人でかわす昔ばなしを楽しんだ。しかし、二人の雇い主である、ダーリントン卿のことについては、互いに話題にすることを避けた。唯一、スティーブンス氏が、語ったのが上。
ナチスドイツとの不戦交渉にまい進した、ダーリントン卿は、戦中から戦後、反対勢力から徹底的にたたかれた。名誉棄損で法廷にも訴えたが負けてしまった。
そのような末路を過ごした、元の雇い主について、二人は話すことができなかったのだ。


話は変わるが、コロナ、いよいよ大変なことになってきました。すべてに我慢を強いられる生活が長期に続くことになるでしょう。
子供時代に味わったヒモジイ食生活、を再び味わうことになるのかもしれない。たとえ食えなくなっても、品性は失いたくない。

日の名残り(117)

2020-04-09 10:00:53 | 日の名残り
The receptionist had said from behind her counter: 'The lady's in the tea lounge, sir.'
フロント係がカウンターの後ろから、「ご婦人は喫茶室でお待ちでございます」と教えてくれました。

今、スティーブンス氏はウエイマスのホテルにいるのだが、この二日前、リトルコンプトンに滞在中、ミスケントンと再会したのだ。そのときのことの話始め。

久しぶりに会うことができ、お互いを気遣いながら、話に花を咲かせた。


このような心境はよくわかる。特にこの年齢になると、知人の訃報を聞くことが多くなり、心沈む。

それにしてもだ。緊急事態宣言が発出されて、世の中一気にとんでもない状況になった。我が家はもう二年前から、閉じこもり生活に入っているのでどうということはないが、子供さんを抱えるご家庭は大変でありましょう。
生きていると、とんでもないことを経験するものです。お国のリーダー達が実施する対応策が正解でありますように、ただただ祈るばかりです。

日の名残り(116)

2020-04-02 10:00:24 | 日の名残り
This seaside town is a place I have thought of coming to for many years.
この海辺の町は、私が昔から一度は来てみたいと思っていたところです。

スティーブンス氏の旅も、いよいよ終盤にかかってきて、ウエイマス(Weymouth)という静かな町で二泊しようとしている。ここにくる途中、ミスケントンとリトルコンプトンで会うことができた。これから、その話になるのだろう。

それにしても、コロナは大変なことになった。
イギリスでの昨日の死者数は六百人強だとか。アメリカでの死者総数予測は二十万人だとか。
流行の中心が西回りで地球一周しているようにも見える。とすると、日本がとりあえずの終着点か。
お国のリーダー達は一生懸命対策を打ち出しているのであろうが、なんとなく、キチッとしていず、ゆるみがあるように見えてしかたがない。
自らの身は人任せにせず自ら対処!がんばるべ~。