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印象が深く深く残る作品。クー嶺街少年殺人事件

2019年11月26日 | 映画
クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」   

  1991年/台湾
監督:エドワード・ヤン  脚本:エドワード・ヤン他 
出演:チャン・チェン(小四役) リサ・ヤン(小明役)

1991年の公開当時、かなりの反響を呼び起こした作品(だそうです)
それが、25年間DVD化されず「伝説の作品」と評され、監督の生誕70年(没後10年)となる2017年に
デジタルリマスター版として蘇った・・・という説を鑑賞後に知る。
偶然の経路で知ったこの作品。観られて本当に良かったと思っている。
大量の鑑賞作品の中で印象に残る作品として10指に入るのではないだろうか。

舞台は台湾。1960年代初頭、中国大陸から台湾に移住した外相人の家族・学校生活・社会背景を克明に描く。
予備知識ゼロで見始めた私は、スタート時から1時間ほどは辞めようか?早送りしようか?と迷った。
役者たちが上手くない・・だが、だんだん寧ろそこが功を奏してくるようになる。

(画像は他サイト社さんからお借りしました)
思春期の子どもたちの苛立ちや愛すべき幼さを丁寧に丁寧に掬いとっていく。
台湾という国の当時の特殊な時代背景が子どもたちの上にありありと影響する。
その様が斬新だ。あっけらかんと縦横にルールの狭間を潜り抜けていく。小気味よい反抗。

少年の家族の様子も好ましい(元日本人が住んでいたという家の建具やインテリアがセピア色した印象でとても好きだ)
両親共に知性があり厳しいけれど融通も利く。姉ふたりの弟への干渉が程よく、他に兄一人、妹一人という家族構成。
この家族もやはり丁寧に追っている。この一家の様子を描くだけでも1本の良質な作品が出来ると思うほどだ。

そして、少年が恋した少女小明だ。この子、ちょっと不思議な風情がある。美少女というわけではないのだが、
スっと際立っている。近寄りがたい清潔さと妖しさが混在している

校内・家庭の中・街など各所の映像も見事。
派手さとは無縁ながら見終わった後に鮮明に各場面の映像が脳裏に残る。

刺した直後に、背景の人々の緩慢な反応から徐々に気付いていく過程の描き方に息を飲む。
ここで観る側はその道程をゆっくり振り返ってみる間を貰う。
「え!?うそだよね。え、何・・・」と。
じわじわとここに至るまでの少年の付箋を思いつく。
(この作品のタイトルで判ってしまうのでネタバレになりませんよね)


約4時間という長い長い作品の中で「描ききった」という監督の声が聞こえてきそうだ。
観終わった後、この作品に出合えたことに感謝する。
きっかけは”アップリング吉祥寺”のHPだった。
いつも上映中か予定上映のみをチェックしているのだが、過去遡って5年の作品の紹介欄があることに気が付いた。
そこで見つけたのですコレを!!
アップリンクさんの上映作品は自身と相性が良いので情報収集に重宝している









日本公開時、1992年4月では188分、6月には236分(未公開分48分を加えている)の尺に変更されている。

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