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映画に合う時期がある

2009年06月13日 | 映画
グラン・トリノは私にとって本当にいい時期に観れたと思う。
その幸運に感謝する。

頑固一徹でその性格が災いして周りから煙たがられている。
若い人の気配りのなさや礼儀のわきまえのなさに始終腹をたてている。
この辺が今、「そうだなぁ、うん分かるよ」と冒頭から感情移入できる。
能面のような表情で他人ここに在らず、というような若い人たちの薄ら寒い現状に
日々困惑ぎみの私には、イーストウッドの苛立ちがよく分かる。

能弁ではないから誤解が多い(シャべり過ぎても誤解はあるが)
”キイロ””クロ”とずけずけ差別用語を使う辺り可愛げがなさすぎて嫌われてさも有りなんという有様なんだけど、腐ったものに蓋をするということが出来ない。
堂々と銃を持ち出して悪しき人を威嚇する。
”旧き良き時代の気骨ある老人”などという括りで語るつもりはない。
こういう描写が私には痛い。不器用すぎてこの良さを分かる人は最小限に限定されてしまう(実際、私だってこの人を父親に持ちたくはない)距離をもってこそのいい人なんである。

ある日、イーストウッドは病院の診察で良くない結果を知る。
その後、ほとんど時期を同じくして親しくなった隣人のモン族の姉弟に暴力が降りかかる。その暴力の元を完全に断たなければこの姉弟の行方は生涯塞がれてしまう。そこで彼がだした結論とは・・・・。あまりに見事で言葉を失う。完璧だ。
誰も傷つけず、少年を守った。そして、愛する者の為に自分の生涯を閉じた。

最後、エンディングテーマ曲と共に湖岸に沿って車が流れる。
始めの辺りをイーストウッドが枯れた味わいのある声で歌う。
ここの演出がかなり効いている
私は椅子に沈みこみ暫くその余韻を味わった。素晴らしいエンディングに拍手
そして、今この時にこの映画に出会えたことに再び感謝!
今以前の私だったら、ここまで深く入ってこなかっただろう。







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