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カステラ氏の恋

2007年04月05日 | 映画
「ムッシュ・カステラの恋」 フランス2000/監督アニエス・ジャウィ

カステラ(ジャン=ピエール・パクリ)は中規模工場の経営者、鼻の下にちょび髭、無教養という設定。多忙な日々を神経イラつかせながら過ごしている。ある日、妻と仕方なく観劇に出かけるのだが、そこで舞台女優に心惹かれてしまう(その人は以前、カステラ氏にバイトで英語を教えるために一度面接していた)

カステラ氏の恋心は誰が見ても見え見えで,駆け引きのない可愛い恋。
英会話レッスンの課題を利用して告白するシーンはくすぐったくて声を出して笑ってしまった。そのカステラ氏の周りで動いている人物たちも瓢々として味つけが上手い。それぞれの事情ある人物たちの気持ちの襞を、軽く見せながら実は丁寧に
掬い取っている。一人ひとりをないがしろにしない。一瞬のシーンで複雑な心理描写をさらっていく様は実に巧妙だ。なにしろ驚くほど出演者全員が上手いのだ。

まず、社長のお抱え運転手とボディガードの男二人。社長の行く先々で、長い「待ち」時間を共有する男二人のツーショットが随所で見られる。退屈極まりない時間を過ごす二人だがストーリーが展開していくうちにボソボソと存在価値が増していく。カステラ夫人は「きれい」なモノだけをこよなく愛し現実を見ようとしない。
妹は頑なでガンとして自分を保っている。そしてカステラ氏が恋した舞台女優は力量ある看板女優。けっして美しくはないのだが個性派な女優(現実も)。だが、もう若くはない、いつまで続けていられるかなんてことを時々考えたりもする。見かけはサバサバしているが内面はナィーブだ。そう、彼女のこんな部分にカステラ氏は反応したのかも。

そしてそして、私が気になった存在・・パブ?で働く女性(アニエス・ジャウィ)
先ほどの男二人と関係を持ってしまうが実に瓢々としている。あっけらかんと麻薬の売人をして生活費を稼いでしまう。強い!この瓢々ぶりが気持ちよく、この作品のスパイス役だ。この人がこの作品の監督。魅力ありま
こういう風情の女優さんは大好き
多様な人物のそれぞれの生活背景を、カステラ氏の恋を軸に過不足なく適量に掬い上げて見せてくれ、非常に後味の良い作品でした。ラストシーンの思わず破顔した女優の顔で、こちらも

追記:画像の真ん中に位置している人物はお抱え運転手でカステラ氏ではありません。彼はその後ろの小さな画面でバンザイをしているこんなところもちょっと技あり、だよね。



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