其の壱の続き
■更に、旅限無は日本を留守にしている間に起こったので、未だに詳細に合点が行かない田中真紀子外相更迭事件に関して、
堺屋 …戦後の内閣は「大臣は辞任するときに官僚の人事を行なってよい」という慣例を守ってきました。大臣は辞めるときに事務次官や局長、官房長を代えることができる。つまり、大臣を辞めさせれば官僚は返り血を浴びるという「刺し違え」の仕組みが互いの抑止力として働いていました。ところが、田中真紀子代務大臣を更迭するに当たって、大臣の意向とは関わりなく、小泉さんが外相と外務省の野上義二事務次官を代えました。つまり、大臣には人事権がなくなったのです。これ以来、官僚の世界に「大臣は“資質がない”という噂を流せばいつでも代えられる」といった考えがまかり通るようになったのです。
真紀子さんが泣いて「鬼の目にも涙」のような茶番劇に仕立てた馬鹿者がいたようですが、そんなに生易しい話ではなく、これ以降、平壌電撃訪問という裏で何が有ったのか今でもさっぱり分からない政治ショーが繰り広げられて、国民は目の前に差し出される包み紙ばかりに気を取られて「純ちゃん人気」が煽られて行ったのではないでしょうかな?
■小泉さんが官僚を喜ばせた例は沢山有るようです。
堺屋 文部官僚だった遠山敦子氏を、選挙も長期の社会評価も経ずに文科省の大臣にしていたこと。実はこの人事も官僚社会をたいへん喜ばせました。…戦前の反省に基づく慣例を、いとも簡単に破ってしまったんです。さらには、その時の事務次官を、間を置かずに中央教育審議会の役員に入れた。これによって、事務次官時代に提案したものを、審議委員として審議するという手前味噌を許すことにもなった。
「ゆとり教育」が出たり引っ込んだりして子供達を大混乱させた元凶がこんな役人の人気取りだったとしたら、開いた口が塞がりませんなあ。一体、小泉さんという政治家はどんな人なのかと思ったら、
堺屋 …小泉さんは意欲と正義感は強いんですが、知識が不足しているので、自分の行動が周囲に及ぼす影響を予測できない。やはり政治家としては、大蔵大臣も官房長官も、党幹事長も経験していないと、人脈が限られてくる。結局官邸に入ってくる秘書官なり官僚の話、特定の評論家たちで構成される「何でも官邸団」の話にしか耳を傾けないようになってしまった(笑)
■小泉さんが大好きだと言い触らしているオペラを考えますと、大方の名作は、筋書きを一言でまとめてしまうと、「そんなバカな」という物ばかりです。それを、人間とも思えない声で歌い上げられると、つい感動してしまうように出来ている芸術です。ワーグナーも好きだと言っているそうですから、思い込みの激しさは想像できますなあ。政治を考える時は素面のままでいてくれれば、趣味は問題ではないのですが、音痴なくせに自分も舞台で歌っている気分になって妙な啖呵調の演説をされたら、聞いている方が恥ずかしくなりますぞ!衆議院解散直後のガリレオ演説に感心した新聞記者が沢山いたそうですから、そんな新聞は要りません!戦前の新聞と何も変っていないじゃないですか?新聞記者も一緒になって酔っ払って記事を書いてしまったらエライことになりますぞ!
■オマケとして、BSE問題で農水省が「全頭検査でないと危険だ」と先に発表してしまったのが間違いで、その後の議論も交渉も出来なくなった事。国連安全保障理事会の常任理事国入りの問題も、国民の大半が「国連の常任理事国入り」の話と混同するように外務省はアナウンスしている事。日米財務相会談で、塩川財務相が不良債権処理加速のために公的資金を活用する方針を発表した直後に、官僚があっさり否定した事。国税庁が戦中の特高警察並みに強権を持っている証拠に、申告前に事前照会しても応じず、国税庁の見解と違っていれば「守秘義務」を破って、マスコミにリークして修正申告を「脱税事件」のように書かせて恐怖を煽っている事などが指摘されている対談です。
■p234の『霞ヶ関コンフィデンシャル』に、ちょっと耳寄りな話が紹介されていますぞ!
「民主党が政権をとったら俺たちはクビになる」総選挙で霞ヶ関の話題をさらったのが、岡田克也民主党代表が掲げた「岡田政権500日プラン」だ。…「脱『官僚政治』」という一項を設けて「局長級以上の幹部職員は、原則として、新政権の政権運営方針への賛同と協力を前提に任命」と記した。つまり、局長級以上の人物は辞表をいったん提出する事が義務づけられる。…総選挙後第一週で「補佐官、総理秘書官、内閣官房及び内閣府の副大臣・副長官の人選」を行い、前政権を支えたスタッフ全員を入れ替えるとした。
但し書きとして、官僚出身の政治家は安易な官僚叩きで人気を得ようとする点も注意されているのですが、小泉さんが役人出身候補を雨後の筍(たけのこ)のように乱立させて見せましたが、小泉さんは現役官僚とは喧嘩しないので、岡田プランが消えて官僚達は祝杯を挙げた事でしょうなあ。
■「郵政民営化法案」に反対した総務省幹部数名を更迭したのが大きく取り上げられたので、小泉さんが官僚と喧嘩しているように見えたのは幻想トリックです。官僚達は小泉さんが大好きです。岡田さんに任せれば日本は大丈夫だ、とはまったく思えませんが、しかし、こんな圧勝を小泉さんにさせてしまっては、これからが大変ですなあ。
其の参に続く
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五劫の切れ端(ごこうのきれはし)教の支流と源流のつまみ食い
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■更に、旅限無は日本を留守にしている間に起こったので、未だに詳細に合点が行かない田中真紀子外相更迭事件に関して、
堺屋 …戦後の内閣は「大臣は辞任するときに官僚の人事を行なってよい」という慣例を守ってきました。大臣は辞めるときに事務次官や局長、官房長を代えることができる。つまり、大臣を辞めさせれば官僚は返り血を浴びるという「刺し違え」の仕組みが互いの抑止力として働いていました。ところが、田中真紀子代務大臣を更迭するに当たって、大臣の意向とは関わりなく、小泉さんが外相と外務省の野上義二事務次官を代えました。つまり、大臣には人事権がなくなったのです。これ以来、官僚の世界に「大臣は“資質がない”という噂を流せばいつでも代えられる」といった考えがまかり通るようになったのです。
真紀子さんが泣いて「鬼の目にも涙」のような茶番劇に仕立てた馬鹿者がいたようですが、そんなに生易しい話ではなく、これ以降、平壌電撃訪問という裏で何が有ったのか今でもさっぱり分からない政治ショーが繰り広げられて、国民は目の前に差し出される包み紙ばかりに気を取られて「純ちゃん人気」が煽られて行ったのではないでしょうかな?
■小泉さんが官僚を喜ばせた例は沢山有るようです。
堺屋 文部官僚だった遠山敦子氏を、選挙も長期の社会評価も経ずに文科省の大臣にしていたこと。実はこの人事も官僚社会をたいへん喜ばせました。…戦前の反省に基づく慣例を、いとも簡単に破ってしまったんです。さらには、その時の事務次官を、間を置かずに中央教育審議会の役員に入れた。これによって、事務次官時代に提案したものを、審議委員として審議するという手前味噌を許すことにもなった。
「ゆとり教育」が出たり引っ込んだりして子供達を大混乱させた元凶がこんな役人の人気取りだったとしたら、開いた口が塞がりませんなあ。一体、小泉さんという政治家はどんな人なのかと思ったら、
堺屋 …小泉さんは意欲と正義感は強いんですが、知識が不足しているので、自分の行動が周囲に及ぼす影響を予測できない。やはり政治家としては、大蔵大臣も官房長官も、党幹事長も経験していないと、人脈が限られてくる。結局官邸に入ってくる秘書官なり官僚の話、特定の評論家たちで構成される「何でも官邸団」の話にしか耳を傾けないようになってしまった(笑)
■小泉さんが大好きだと言い触らしているオペラを考えますと、大方の名作は、筋書きを一言でまとめてしまうと、「そんなバカな」という物ばかりです。それを、人間とも思えない声で歌い上げられると、つい感動してしまうように出来ている芸術です。ワーグナーも好きだと言っているそうですから、思い込みの激しさは想像できますなあ。政治を考える時は素面のままでいてくれれば、趣味は問題ではないのですが、音痴なくせに自分も舞台で歌っている気分になって妙な啖呵調の演説をされたら、聞いている方が恥ずかしくなりますぞ!衆議院解散直後のガリレオ演説に感心した新聞記者が沢山いたそうですから、そんな新聞は要りません!戦前の新聞と何も変っていないじゃないですか?新聞記者も一緒になって酔っ払って記事を書いてしまったらエライことになりますぞ!
■オマケとして、BSE問題で農水省が「全頭検査でないと危険だ」と先に発表してしまったのが間違いで、その後の議論も交渉も出来なくなった事。国連安全保障理事会の常任理事国入りの問題も、国民の大半が「国連の常任理事国入り」の話と混同するように外務省はアナウンスしている事。日米財務相会談で、塩川財務相が不良債権処理加速のために公的資金を活用する方針を発表した直後に、官僚があっさり否定した事。国税庁が戦中の特高警察並みに強権を持っている証拠に、申告前に事前照会しても応じず、国税庁の見解と違っていれば「守秘義務」を破って、マスコミにリークして修正申告を「脱税事件」のように書かせて恐怖を煽っている事などが指摘されている対談です。
■p234の『霞ヶ関コンフィデンシャル』に、ちょっと耳寄りな話が紹介されていますぞ!
「民主党が政権をとったら俺たちはクビになる」総選挙で霞ヶ関の話題をさらったのが、岡田克也民主党代表が掲げた「岡田政権500日プラン」だ。…「脱『官僚政治』」という一項を設けて「局長級以上の幹部職員は、原則として、新政権の政権運営方針への賛同と協力を前提に任命」と記した。つまり、局長級以上の人物は辞表をいったん提出する事が義務づけられる。…総選挙後第一週で「補佐官、総理秘書官、内閣官房及び内閣府の副大臣・副長官の人選」を行い、前政権を支えたスタッフ全員を入れ替えるとした。
但し書きとして、官僚出身の政治家は安易な官僚叩きで人気を得ようとする点も注意されているのですが、小泉さんが役人出身候補を雨後の筍(たけのこ)のように乱立させて見せましたが、小泉さんは現役官僚とは喧嘩しないので、岡田プランが消えて官僚達は祝杯を挙げた事でしょうなあ。
■「郵政民営化法案」に反対した総務省幹部数名を更迭したのが大きく取り上げられたので、小泉さんが官僚と喧嘩しているように見えたのは幻想トリックです。官僚達は小泉さんが大好きです。岡田さんに任せれば日本は大丈夫だ、とはまったく思えませんが、しかし、こんな圧勝を小泉さんにさせてしまっては、これからが大変ですなあ。
其の参に続く
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