旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

教師の信頼性

2005-09-17 19:31:16 | 社会問題・事件
■震災や台風の後、悪徳リフォーム会社がぞろぞろと集まって荒稼ぎするそうです。では災害が無い時は遊んでいるのかと思えば、この商売も営業努力は欠かせないらしく、認知症の老人や妙に自分の判断力に自信を持っている退職後の男性などをカモにして堅実?に売り上げを伸ばしているのだそうです。どちらにしても、社会的な弱者が食い物にされているのには変りはないでしょう。では、今や、教師も社会的弱者になっているという事でしょうか?
振り込め詐欺:教師狙い「振り込め」 暴行示談金名目、詐欺被害相次ぐ--滋賀
 滋賀県長浜市の40歳代の教員宅に16日、「ご主人が中学校の女子生徒を殴りけがをさせた。逮捕されるかもしれない。示談に180万~200万円必要」などという県教委と弁護士を名乗った電話が計2回あった。教員は出勤後で、妻(44)が指定された口座に計300万円を振り込んだ後でだまされたことに気づき、110番通報した。
 県教委によると、12~17日に同県彦根、長浜市を中心に同様の電話がかかる事案が少なくとも88件あり、教職員に注意を呼びかけていたという。
 県警虎姫署によると、教員は県内の公立中学に勤務。最初の電話は県教委を名乗って午前9時半ごろにかかり、妻は200万円を振り込んだ。正午ごろに弁護士を名乗る別の男から電話で「生徒の緊急手術の費用」を要求され、さらに100万円を振り込んだ。県警は振り込め詐欺事件とみており、13日にも米原市の女性が194万円を振り込む被害にあった。また、6月末~7月初旬には「夫が生徒にわいせつ行為をした」として示談金を求める電話が公立中、高校の教師宅に37件あったが、この時は被害はなかった。
 毎日新聞 2005年9月17日

■この40代の教師が「野球部の部長」だったかどうかは分かりません。他の運動部を担当していたのかどうかも分かりません。しかし、

「俺は絶対に生徒に手を上げない」 と言っていた先生ではなかったのかも知れません。必要ならば殴っても良いのか?感情が正面からぶつかる時、法律や通達がどれほどの効力を持つのか、それは甚だ怪しいものですが、理由にかかわらず、暴力反対だけと主張する現場を知らない上層部が元気な間は、教育現場は混乱し続けるでしょう。殴ってやるほど心配していない、こんなアホを殴って責任問題にされたら適わないなあ、と無気力に勤務している教師と殴って衝撃を与えて教え諭す切っ掛けとする教師とを簡単に比較は出来ないのは確かです。むしゃくしゃしていたのでぶん殴った、これは学校以外の一般社会でも家庭でも論外の暴挙ですし、時には立派な犯罪となります。

■教師の暴力が詐欺のネタになるのは、やはり甲子園大会の優勝校が「暴力事件」を起こしていた事が後で発覚した騒動が大きく影響しているのでしょうなあ。結局、生徒を指導する場合には、本当に一切の暴力が禁じられるのか?という問題を誰も提示しないで終わった騒動でした。甲子園大会では、「高野連」という組織が絶対的な権力を持っているので、マスコミも高野連の処分を報道するだけで仕事は終わると思っているようです。しかし、優勝した高校の野球部が、それだけの能力を得たのは暴力も辞さない指導の賜物であった可能性は無かったのか、誰も表立って問題にはしませんでした。

東海大四高(札幌市)野球部で監督(30)とOB、2年部員が6~8月、計3人の部員に対し暴力行為をしていたことが16日、明らかになった。同校は同日、10月3日開幕の北海道大会への出場を辞退した。道高野連と毎日新聞社は17日に大会運営委員会を開き、繰り上げ出場の取り扱いなどを協議する。
 同校によると、暴力行為は(1)6月中~下旬、2年部員が1年部員を拳で顔などを約10発殴打(2)8月5日、監督が2年生部員を平手で2発殴った--など。 東海大四は春のセンバツに過去5回、夏の甲子園には4回出場。毎日新聞 2005年9月16日
 
■こんな虚しい報道がこれからも延々と続き、高校野球はどんどん陰湿になって行くのでしょう。晴れて本大会に出場した高校は、暴力が完全に駆逐されたか、内部の暴力事件が絶対に外部に漏れない強権体制が完成したかのどちらかなのですから、訓練不足注意力散漫な凡ミスが連続する無残な試合が増えるか、気楽にインタヴューにも応じない秘密主義の暗いチームが増えるか、どちらにしても楽しそうとは思えませんなあ。

■滋賀県の教師を狙った詐欺電話の事件で、一つだけ救いが有りました。教師の家庭では、暴力事件は起こり得ると思っても、生徒相手の猥褻事件は起こり得ないと信じられているらしい!事件の衝撃が大きいので、うっかりすると日本中の教師全員がいつでも性犯罪を犯す変態ばかりだと思われそうな報道が目立ちますが、少なくとも滋賀県では「有り得ない犯罪」と思われているようです。


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冷戦の後で

2005-09-17 18:16:42 | 外交・世界情勢全般
■総選挙で、小泉政権がますます強大な力を得る結果になりましたから、日本の外交もますます単調で何でも先送り体質を強めて行くでしょう。国民が飽き飽きした頃に、あと一回くらい、行き当たりばったりのサプライズ祭りが有るかも知れませんが、「米国に気に入られるように」「中国が怒らないように」この二本柱はますます太く長く重くなるでしょうなあ。その当然の結果として、北朝鮮外交は丸投げ・先送りのまま、次の政権まで何も変らない可能性がますます高くなったという訳です。

■90年代に冷戦の勝者は米国だ!と単純に喜んだのが間違いで、一見独り勝ちしたような米国が、その優勢を保つのにどれほど苦労するのかを、ちょっとばかり考えれば、日本に対する無茶な注文が後を絶たなくなる事は簡単に予想が出来ました。「米国以外の国とは必要以上に仲良くならない事」「米国の注文には万難を排して応じる事」、日本の外務省が愚かな思い込みに陥って、『日朝国交正常化』だの『国連安保理常任国入り』だのと、花火を打ち上げても、最終的には米国が全面的に協力してくれなければ、他の国からの強力な助けなどまったく受けられない日本の企ては、何一つとして実現などしません。日本列島上空を長距離ミサイルが飛び越えても、それが米国本土(アラスカ)に届くかどうかだけが米国の心配事で、日本の代わりに喧嘩などしてくれません。万一、在日米軍基地を本気で狙うのならば、それに備えてグアム島と韓国の基地に最新鋭の攻撃機を集めて圧力とするのが米国で、それは決して日本国の安全を心配しての親切心ではありません。

■選挙の後、民主党の代表が誰になるのか、そんなどうでも良い事をマスコミが報道している時、ロシアのプーチン大統領が米国を訪問して米ロ首脳会談をしました。どっちが大ニュースなのかが日本のマスコミには分かっていないようですなあ。

米露首脳会談:イラン核問題協議 双方の立場の違い鮮明に
 ブッシュ米大統領とロシアのプーチン大統領は16日、ホワイトハウスで会談し、イランの核問題を中心に話し合った。両首脳は「イランが核兵器保有国になるべきではない」ことで一致したが、国連安保理付託問題では合意できなかった模様で、イラン核問題に対する立場の違いが鮮明となった。
 会談後の共同記者会見でブッシュ大統領は、「(米露は)イランと北朝鮮が核兵器を持つべきでないという共通の目標を持っている」と述べたうえで、「イランが合意を守らない場合、問題は国連安保理に行くことを確信している」と語り、英仏独・欧州連合(EU)とイランの交渉次第で、問題を安保理に付託する方針を改めて示した。
 これに対しプーチン大統領は、「イランに核兵器を保有する意図はない」と強調。「外交手段は尽きていない。誤ったやり方は、朝鮮半島と似た状況を作り出す可能性がある」と述べ、安保理付託に反対する立場を示唆した。
 イラン核問題は、今月19日から国際原子力機関(IAEA)理事会で協議されるが、英仏独3カ国の外相は15日、国連本部でアフマディネジャド・イラン大統領と会談し、イランがウラン濃縮活動を本格的に再開した場合、安保理に付託する方針を改めて伝えている。しかしロシア、中国の反対が予想され、当面付託は困難な情勢だ。
 毎日新聞 2005年9月17日

■冷戦時代に、米ソは中東で(現地国の)血で血を洗う陣取り合戦を繰り広げました。冷戦末期の10年間、エジプトがソ連を裏切って、逆にイランは米国に敵対しました。その間に位置したイラクのサダム・フセインさんは、米国の弱みに付け込んで好き放題に暴れていたという構図です。石油がじゃぶじゃぶ出るイラクが「平和利用目的」で原子力発電所を作ると言い出すと、早速フランスが売り込みに成功しましたし、隣のイランも「平和利用目的」で原発を作るんだと言い出して、すかさずドイツが売り込みました。両方に良い顔をしていたのがソ連で、社会主義政権が崩壊しても地政学的な意味と商売の話は別物でしたから、いよいよ米国がイラクを潰すぞ!と言い出せば、よってたかって大反対すた面子を考えれば、中東の裏商売がどうなっているのか、よく分かります。ソ連が崩壊すると直ぐに中国が元々反インド同盟を結んでいたパキスタンの隣国のイランと手堅く商売を開始しています。

■アラビアのロレンスの時代は遠い昔となってしまった大英帝国は、我が物顔に国境線を引いたり、王様の首をすげ替えたりして遊んでいられた時代を懐かしみながら、クウェート利権ぐらいで我慢していなければならなかったものですから、面白くも無い中東の現状を御破算に出来ると思って米国に全面的に協力する!と即断しました。こうした時に、日本はとても立場が弱くなります。冷戦末期、米国とイランが全面衝突直前になった時、最初に経済封鎖が始まりました。イランの乱暴なやり方には問題が有りましたから、イランを庇う国は有りませんでしたが、ところがイランの唯一の生命線である原油の輸入禁止が決定する直前に、どさくさに紛れてイランの弱みに付け込んで安値で原油を買い付けたのが日本国です。このツケは今でも大きいようで、イラク戦争が始まりそうになっても日本は何も言えませんでした。何か言ったり動こうとすれば、また良からぬ事をするのか?と意地の悪い視線を向けられるからです。何より米国に不信感を持たれる事だけは絶対に避けねばならないので、「米国支持」と「全面協力」以外の選択肢など始めから有りませんでした。

■ロシアはインド洋に出られるのなら、どんな国にも良い顔をします。イラクが完全に米国の手に落ちたのなら、イランは何が何でも確保しなければなりません。スンナ派とシーア派の対立も、自国内のチェチェン問題を解決するのに利用できないか?と腹黒く考えているでしょうなあ。中国も抜け目無く、ロシアに並んでイランに食い込んでいますから、イラクに続いてイランまで米国に取らせる訳には行きません。北朝鮮もディスカウント兵器でちまちまと商売しているのも見逃せませんなあ。

■今回の米露首脳会談で、改めてイラン問題と北朝鮮問題がリンクしている事が明らかとなったのですから、北京で開催中の六カ国協議でも米露は協力関係にはなれない事が再確認された事になります。いよいよ、日本の外交は手詰まりとなります。最悪の場合、イラクの泥沼とハリケーンによる甚大な被害で弱気になった米国が、日本の頭越しに北朝鮮問題に悩むのを避けようと、当面は言い分を聞こうと決断するかも知れません。既に、KEDO計画で500億円も無駄金を毟(むし)り取られた日本に、臆面も無く新たな請求書が押し付けられることも考えられますなあ。そうなれば、外務省がまたまた訳の分からない弁解作文をして、小泉さん流のワンフレーズに乗せて馬鹿馬鹿しい支出を認める事になるのでしょう。常識外れの中国大好き政党(公明党)とべったりとくっ付いている自民党ですから、中国が提出した案に米国が乗れば、あっと言う間に承認してしまいますぞ。「これで中国に恩を売って、尖閣問題を解決する」などと言う愚にも付かない作文が外務省から発表されないように注意深く観察していなければなりませんなあ。



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郵便局と自衛隊

2005-09-17 10:56:28 | 外交・情勢(アジア)
■総選挙中、小泉さんは郵便局で働いている公務員は自衛隊より多いんだ!と無意味な数の比較を口走っていました。「何だその比較は?」「だから、何なんだ?」と水を差して冷静な議論に導く声は報道されませんでしたなあ。小泉さんが郵便局員の数と自衛隊員を比較したのは重要な論点です。但し、その結論はまったく逆でなければなりません。そのくらい、自衛隊員が少ないんだ!と言わねばなりませんなあ。何が何でも郵政民営化だあ!と小泉さんが叫んでいた時、尖閣列島周辺に完全武装した中国の駆逐艦やミサイル巡洋艦らしき船がうろうろしていたのですから、それを放置して郵便局の「改革だ!」などと言っている場合ではなかったのです。

■そして、やっぱり総選挙が終わって自民党が大勝して、何を言われようと決定的な打撃になんかならない圧倒多数を手に入れてから、こんな話が急に飛び出してきました。

自衛官の3割、退官日に昇進…退職金17億かさ上げ

 防衛庁が、定年退職する自衛官を退職日に1階級昇進させる特別昇任制度を設け、退職金をかさ上げ支給していたことが、読売新聞の調べでわかった。
 対象は退職者の30~40%に上り、そのために2003年度は17億円余りの税金が余分に支出されていた。
 国家公務員一般職の退職時の「特別昇給制度」は昨年、「お手盛り」批判を受けて全面廃止されたが、自衛官の特別昇任については財務省も実態を把握していなかったといい、「今後見直す必要がある」としている。
 防衛庁によると、退職当日の昇進は、「自衛官の昇任に関する訓令」に基づくもので、公務で死亡するなどした場合のほか、「退職者のうち勤務成績が優良な者」を特別昇任の対象としている。さらに、この資格要件として、昇任前の階級で一定年数を勤務していることや、勤務評定がA~Eの各段階のうち「Cの上」以上であることなどが定められている。
 同庁によると、03年度、陸海空自衛隊を定年退職した自衛官は計約1万4000人だったが、このうち、「勤務成績が優良」との理由で退職日に1階級昇進したのは、全体の約34%に当たる約4800人。退職金は、1人平均35万円程度増額されていた。
 自衛官の階級は、下位から3士、2士、1士、士長、3曹、2曹、1曹、曹長、准尉、3尉、2尉、1尉、3佐、2佐、1佐、将補、将の17階級に分かれる。3尉以上が幹部とされるが、「勤務成績が優良」として特別昇任する自衛官の4分の3はそれより下の階級だという。退職者全体に占める昇進者の割合は例年、3割を超え、01年度は約34%、02年度は約36%。04年度は約30%だった。
 防衛庁人事教育局は「能力はあるが、定員に空きがなくて昇進できなかった人の功労に報いるため行っている。自衛官にとって、階級は単なる役職と違い名誉の称号であり、退職後のOB同士の人間関係などにも影響がある。退職金の増額につながるが、自衛官は事務官より定年が5、6年早いという背景事情もある」と説明している。
 公務員の給与制度を巡っては、退職の際に基本給を上げる「退職時特別昇給」が長年にわたり、多くの国家公務員や地方公務員に適用されていたが、人事院は昨年5月から、この制度を国家公務員の一般職で全面的に廃止し、地方自治体にも廃止を求めた。
 国家公務員の特別職である自衛官は人事院の直接の管理対象ではないが、同様の特別昇給制度があり、特別昇任と合わせ二重に適用される退職者もいた。しかし、退職時の特別昇給については、一般職と同時に廃止となっていた。(読売新聞) - 9月17日

■「お手盛り」で退職金の割り増し支給制度を悪用していたのは明らかですが、撃たれても撃ち返さない軍隊に勤務している軍人ではない自衛官は、長い間「税金泥棒」「憲法違反」と罵(ののし)られていました。御巣鷹山にジャンボ機が墜落した時も神戸大震災の時も、最後の頼りは自衛隊の出動なのは誰の目にも明らかでしたが、かつてのソ連軍機が繰り返した領空侵犯に対する体を張った撃退飛行を毎日やっていた航空自衛隊や、先制攻撃が禁じられているゆえに、北海道に海と空から戦車軍団が侵攻した場合にも、専守防衛で標的同然の任務に就かねばならなかった陸上自衛隊にしても、命を捧げる名誉は与えられない立場に耐えていたのですから、特に階級の低い隊員に、少しでも報いようと考える上層部が居たのは、ちょっと他の官庁とは事情が違うような気がします。

■イラクに派遣されている陸上自衛隊も、インド洋で給油作業を続けている海上自衛隊も、そして秘密の輸送作戦に就いている航空自衛隊も、「名誉の戦死」にはならない身分で、ひたすら「事故死」に遭わないように日々神経を磨り減らしていることを多くの日本人は気にも留めずに暮らしています。万一の「事故」が起こった時、国民もマスコミも「知らなかった!」と騒ぎ出すのでしょうが「、郵便局をどうするか」よりも「自衛隊をどうするか」を先に議論しておかなかった事を後悔する時が必ず来るでしょう。靖国参拝や憲法改正の方が先行するのも奇妙な話で、日本がどんな軍事的な危機に晒されているのかを明らかにしないまま、60年前の戦争が良かった悪かったなどと不毛な喧嘩をしている場合ではないのです。

■拉致・工作員侵入は事実として発生していますし、中国が日本の領海を認めないと主張している。ソ連が残した北方領土の不法占拠問題と米国が絶対に手放さない占領政策の残滓(ざんし)としての基地設備、どれも早急に解決しなければ憲法も靖国も議論など出来ないはずなのですが、何故か、これらは先送りしたままで、靖国参拝が政治利用され、憲法9条を守るか返るかの意地の張り合いばかりが先行していますなあ。このまま憲法改正に突っ走ってしまえば、本末転倒の結果が出るに決まっているのに、まるで国際紛争とは無縁のまま日本はこの先100年、暢気に暮らしていけると誰もが安心しているようですなあ。今の憲法では解決出来ない問題が有る!議論はここからしか始まりません。自衛隊員が退職金を水増ししていた、そんな事で騒いでいる場合ではないのですがなあ……

■憲法9条を独占しているつもりの社会党(社民党)が、自民党と組んで首相を出した時に、自衛隊を合憲と認めたのですから、今更、その話は無かったような顔をして、「平和と憲法」を語る資格など無い事を、今回の選挙ではっきりと突きつけられました。土井たか子さんは、自分が落選した事実を認識出来ないほど頭が混乱しているし、執行猶予の身分で復活当選したオネエちゃんも、国会を遊園地か何かと勘違いしているようです。日本が「平和」をきちんと議論できなくなったのは、自分達の罪だと気が付かないまま、次の占拠まで空騒ぎを続けるつもりなのでしょう。自民党にした所で、女性初の主計官などと祭り上げられて、防衛政策のイロハも知らないくせに、防衛費を削って自己満足していた程度のオネエちゃんを起用して議員にしてしまったのですから、日本の防衛を真剣に考えてはいない事を白状したようなものです。


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巨人軍は永久に不滅ですか? 其の弐

2005-09-17 03:03:46 | 日記・雑学
■当時、無責任なマスコミ報道で次期巨人軍監督に就任するように要請が有ったの無かったのと騒動になっていたそうですが、今も星野さんに次期監督を頼んだの頼んでいないのとマスコミが面白がっているそうですなあ。以下は森祇晶さんの発言からの抜粋です。
仮に僕が巨人の監督に就任して優勝すれば、首位は“長嶋の遺産”と言うでしょう。負ければもうボロクソですよ。

メジャーリーグでは(監督就任に)選手時代の名声が優先されるなんて話、聞いた事も無い。……だから、スーパースターが常に監督候補い名を連ねるような今の日本のやり方は明らかにおかしいんです。球場で輝くのはあくまでも選手。監督の人気で客を呼ぼうなんて間違っている。

コーチの経験のない人が監督になって、どうやってコーチを使うというのか、僕にはわからない。

「勝つ野球よりも面白い野球を」という識者がいるが、じゃあ、どんな野球が面白いのか教えてほしい。スター監督がいて、華のある選手がたくさんいればいいのか……。

ドジャースのウォルター・オマリー会長が……シーズンが終ると、まずフロント会議を開く。最初にあげられる議題は、この戦力でこの成績は妥当であったかどうか。仮に三位だった場合、戦力を整える側と現場のどちらに問題があったのか、徹底して議論するという。ところが、日本では、優勝しなかったら2位も6位も同じ。


■森さんは、堤さんという税金大嫌いの土地転がしの帝王に苛められた事を念頭に話しているのかも知れませんが、その帝王も目出度くオリンピックからもプロ野球界からも去りましたなあ。親会社の宣伝に役立たないのが悪い球団で、優勝してマスコミに親会社の名前を連呼させるのが良い球団なので、わざわざ米国を真似た英語のチーム名を持っているのに、「ヤクルト」「中日」「西武」「オリックス」「ロッテ」「楽天」「ソフトバンク」という具合に企業名をニュースで流しているのが日本ですから、野球は野球だけで終らない仕組みになっているようです。

だいたい僕はドラフト会議に監督が出席すること自体おかしいと思ってる。監督なんて、アマチュアの選手については、ほとんど知識がないんだから。あれは全国を足を棒にして歩いたスカウトたちの晴れの舞台であって、監督が話題づくりのためだけに出席するなんておかしなことですよ。


■この発言は、何だかんだと理屈を付けて金持ち巨人軍だけが有利になるようにドラフト制度をいじくり回して人を念頭にしているのかも知れませんなあ。「栄養費」などと敗戦直後の栄養失調時代のような名称の裏金問題で問題の人は役職名を変えたそうですなあ。


私が残念なのは、これほどセ・パともに白熱しているペナントレースが、巨人の監督問題のために横に押しやられてしまうという現実です。いい加減に、こんな巨人一辺倒からは脱却するべきですよ。

「野球は巨人、司会は巨泉」と頼まれもしないのに巨人の宣伝していたテレビ人が、頼まれもしない?のに選挙を弄(もてあそ)んで本性を表わしてしまったのは数年前の事でしたし、「巨人、大鵬、玉子焼き」と一世を風靡(ふうび)した大鵬親方が、「新人時代から大金稼いでいる巨人と、裸一貫からたたき上げの力士を一緒にされるのは不愉快だった」と思い出話をしたそうですから、巨人一辺倒の物語は完全に空洞化しているのではないでしょうか?


僕はジャイアンツに20年いて、それから外へ出て、よそのユニフォームも着た。だからこの球団のいいところも醜いところも全部分かる。ところが、ずっと巨人にこだわって同じユニフォームを着続けている人たちには、それが見えないんだ。相変わらず自分達が一番進んでいると思っている。


■「栄光の巨人軍」とか「天下の大朝日」とか、夜郎自大の冠言葉を付けている組織にろくなものは無いという事でしょうが、森さんが指摘している巨人に対するこだわりに関しては、不本意ながら他球団に入ってから手段を選ばずに巨人への移籍を画策する選手が続出している点が落ちているような気がします。それこそ、現役時代は二軍を含めて好待遇である上に、引退後の「天下り先」も安心だからプロ野球を目指す若者は巨人軍を目指すようになっているらしいのですが、それは「大学入学」を志す者が「東大入学」を目指すのと同義になっている時代と同じ精神構造でしょうなあ。

■1934年11月に、第2回日米野球が行なわれたのが、日本のプロ野球の幕開けとされていますが、その時の「全日本チーム」が母体となって1936年に7チームで「日本職業野球連連盟」が発足する段階で、東京を拠点とした巨人軍が全日本チームの直系となった事が間違いの元だったとも言われているようです。短期間に欧米文明を導入する必要が有った日本の近代では、どうしても「第1号」が歴史的なブランドになってしまう傾向が強いのでしょう。ナンバー大学の1校=東大、ナンバー銀行の第1銀行=第1勧業銀行、などのように最初に設立されたから内容も一番良いとは限らないのに、何故かたかだか100年程度の新参物が「伝統」を誇示してしまいますし、国民がこれを大好きになっているのも問題なのでしょうなあ。

■熱烈な巨人ファンの皆さんには申し訳ないのですが、日本が変革の時期に入っているのならば、巨人軍が「連続最下位」になって、「あの方」が御元気な内に自己批判をして新聞界からもプロ・スポーツ界からも潔く引退すると公式に発表する必要が有ると思っているのです。そうなる前にプロ野球自体がジリ貧になって100年に満たない歴史に幕を下ろすようなことになるのかも知れませんが……。

巨人軍は永久に不滅ですか? 其の壱

2005-09-17 02:59:49 | 日記・雑学
■特にどこのプロ野球球団が贔屓(ひいき)ということもなく、社会現象の一種として野球ファンや球団の動きを見ているような「旅限無」としては取り立てて熱心なファンの皆さんに提供できる貴重な情報など有るはずも無いのですが……。

■ちょっとした調べ物をしようと古い月刊誌を読み直している内に、毎度の事ながらあれこれと記事の読み直しを楽しんでしまいました。「嗚呼、この時にこんな論文が掲載されていたのか!」と自分の迂闊さを自虐的に反省しながら、「今だからこそ価値が有る」文章を見つけて一人ホクソ笑んだりします。月刊現代の1998年11月号に、二宮清純さんが書いた『森祇晶氏激白「あまりに馬鹿げた長嶋騒動の真相」』という文章を見つけて思わず熟読してしまいました。7年も前の問題提起に満ち満ちた文章が、まったく古さを感じさせません。それどころか、今だからこそ読む価値が増していると実感した次第です。単なるプロ野球改革問題に留まらない数々の指摘を紹介しながら、戦後60周年に絡めて少し広げてみたいと思います。

……長嶋監督が渡辺恒雄オーナーに退任願いを提出したのは、首位横浜と8.5ゲーム差(ナイトゲームで横浜に敗れ、9.5ゲーム差に広がる)の8月19日のこと。渡辺オーナーは退任届けを預かりの形とし、表向きには慰留につとめた。


■「常勝巨人」か視聴率を優先する「愛される長嶋巨人」か、この選択は日本経済の重要な問題らしいので、戦後日本が背負い込んだ永遠の悩みなのかも知れませんなあ。この年は「メイクドラマ」だの「メイクミラクル」だのという長嶋イングリッシュがスポーツ新聞の紙面を飾ったようですが、9月4日のヤクルト戦から9月10日の広島戦まで6連勝の「ミラクル」が起こって長嶋さんの続投が決ったそうです。長嶋さんは戦後日本の象徴的アイドルですから、その去就は常にマスコミの好材料なのでしょうが、それを決めるのはいつも渡辺恒雄さんという人なのが問題なのでしょうなあ。

渡辺オーナーが長嶋監督から人事権を剥奪し、選手に人望のない堀内恒夫投手コーチをヘットコーチに昇格させた……堀内ヘッドコーチは7月、練習方法の意見の食い違いをめぐって選手会長の川相昌弘を殴打……「最高経営者会議」はポスト長嶋の一番手に堀内ヘッドコーチを考えていたのだが、こうした暴挙を知るに及び、さすがに方針変更を余儀なくされる。


■今年は、最下位でシーズンを終える可能性も見える巨人軍ですが、98年段階でそれは既に分かっていたことになりますなあ。何でも、この年もその前年も、巨人軍は30億円で補強をしていたそうですなあ。熱烈な巨人ファンでさえも、弱小巨人の元凶は誰なのかはもう分かっているそうですが、その対処方法が見付からないのでしょうか?皆様のNHKに君臨していた海老沢会長を一夜にして「解任」させたのは、受信料の不払い運動でしたなあ。戦後の日本システムが制度疲労を起こして自壊したり破壊されたりしている中で、それをメシの種にして他人事のように報道しているメディア自体は頑なに変わろうとしないように見えるのが頭の痛いところです。



ヤミを斬る話

2005-09-17 02:55:45 | 政治
■以前、拙ブログでちょっと悪趣味にからかってしまった大阪の関市長さんは、全国的に有名になってしまったからか、大穴が開いてしまった市の予算を埋めようと頑張っておられるようですなあ。破綻同然の市の財政に対しては、文字通りの焼け石に水なのでしょうが、ここで「ヤミ」を駆逐して置かないと、永久に続くのでケジメを付けようと思ったのかも知れません。
大阪市のヤミ年金・退職金の問題を巡り、関淳一市長は16日の市議会財政総務委員会で、「既受給者の中には亡くなった人もいるが、技術的にどう返還してもらうことができるか、検討したい」と述べ、1993年度以降、昨年度までに退職した職員約2万人に支払われた計330億円分の返還請求を検討する考えを明らかにした。
 ヤミ年金・退職金は、市職員互助組合連合会(互助連)が生命保険会社と契約した確定給付型年金を利用した制度。保険料として、職員の掛け金163億円のほか、公費314億円が投入されていた。市監査委員の勧告で、過去5年間の公費負担分132億円は互助連が市に返還している。(読売新聞) - 9月17日
 
■330億円もの大金がきっちりと回収されるかどうか、これは見物ですが、お役人はなかなか全額は弁償しないものですからなあ。プロの取り立て屋さんを雇うのでしょうか?この記事で、「職員の掛け金」と「公費」が投入されて「ヤミ」の年金と退職金が支給された事が問題なのですが、何故、「ヤミ」として糾弾されるのか、と考えますと、ちゃんと自在に拡大解釈出来る「法律」を用意していなかったからでしょう。旧・厚生省は旧・大蔵省とがっちりと手を結んで、と国民をナメ切った年金関連の法律を作って置いたので、6兆円も株で摺ってしまっても、豪勢な福利厚生設備やらほとんど乗らない高級車を買おうと、グリーン・ピアの廃墟を幾つ並べようと、絶対に「ヤミ」にはならず、誰にも責められない仕掛けになっているのです。これも中央と地方の格差なのでしょうか?

■大阪市は、この穴埋めには最終的に「増税」しなければなりませんから、このままそんな事を発表したら暴動・焼き討ち・一揆が起きてしまうかも知れないので、こうした決断をしたのでしょうなあ。でも、中央のお役人はこんな無様な事はぜんぜんしないでも大丈夫です。小泉総理の次の総理が、必ず大増税する事を、今回の選挙で有権者が認めてくれたのですから、税金や積立金の無駄遣い解消どころか、ますます流用・裏金用の資金が続々と入って来るのを、官庁の中堅どころは手ぐすね引いて待っている事でしょう。勿論、自分の政党では3議席も減らしながら献身的に選挙協力をした公明党の存在感は絶頂期を迎えますから、「宗教法人」に対する課税などは誰も言い出しません。噂では1兆円以上の預金を抱え込んで、上手に運用している某大金持ち宗教教団が居るそうですなあ。他にも、大小の「坊主丸儲け」教団が沢山有るようですが、直接の増税対象にはならないでしょう。それぞれが、選挙となると、抜群の集票能力を競って見せ付けるそうですから、政治家は掌(てのひら)に乗せたも同然でしょう。

■大阪市の退職者にも、是非とも発言して欲しいところですが、市議を抱きこんで法律を作って置かなかったのですから、諦めるしか無いでしょうなあ。でも、埋め立て大好きな関市長さんは、今でも札束を大阪湾にどぼどぼと放り込むような変な工事を続けているとの報道も有りましたし、相当の舶来物好きなのか、得体の知れない外人デザイナーが日本をバカにしたとしか思えない設計をしてくれた、豪華で高価なゴミ処理場などはこれから先も維持費を投入してご愛用になるのでしょうなあ。湾岸で続いている埋め立て工事を無意味にしない為には、せっせと人口を増やさなければなりませんが、既に人口減少期に入っている日本の中で、大阪だけは人口倍増か三倍増になる見積もりでも有るのでしょうか?大阪中が別の宗教に改宗でもするのか、市自体を博覧会場のようにして色とりどりの移民を大量に受け入れでもしないと、ペンペン草しか生えない荒涼とした埋立地が広がるばかりではないでしょうか?それにも維持費が掛かるのですが、「ぺんぺん草栽培費用」なんていうシャレタ予算を組んでくれると、ちょっとは笑えるのですが、そんな場合ではないでしょうなあ。

■笑い事ではなく、国の一般会計でも特別会計でも、「ぺんぺん草栽培費」と同じような奇怪な支出は随分と沢山有るのですから、大阪市が本当に破綻して、江戸時代の「天領」みたいになってしまうのか、見事に再生して独立を保つのか、それは将来の日本政府とIMFとの関係を暗示する大切なサンプルなのですから、これからも注目して行きたいと思います。何はともあれ、タイガース優勝おめでとうございます。


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どちらも分かっていた事なのに

2005-09-17 02:13:11 | 政治
■ 総選挙が終わったばかりのこの時期に、選挙中はまったく見向きもされなかった「拉致問題」に関する報道が出始めるのは、やはりNHKも民放も地上はデジタル波を頂戴した御礼がわりに、自民党有利のお祭り報道を画策していた反動なのでしょうか?その動機とやり方には大いなる問題が有るにしても、「日朝国交正常化」を打ち出して、二回も訪朝した小泉さんにとって、「丸投げ」「やりっ放し」の典型例となる朝鮮外交は、選挙中には触れて欲しくはないテーマでした。しかし、政権を奪いたい民主党の中には無責任で腑抜けな自民党候補を嘲笑うような過激な人も居る一方で、社会党在籍中にヤヤコシイ接待や援助を受けてしまった古傷を持っているような人まで居るようで、「アジアとの友好」を漠然と口にする岡田代表が率先して対北朝鮮外交の大失敗を攻撃する事は出来なかったのでしょうなあ。

■袋に詰め込んで運び去った5人とその家族を帰しただけで、拉致問題は解決したと言い張る北朝鮮側の立場は、何が有ろうとも「テロ国家」とだけは呼ばれてはならないというもので、ビルマのラングーンに有るアウンサン廟を爆破したのも、アンダマン海の上空で大韓航空機を爆破したのも、全部大韓民国の自作自演でなければなりません。万一、尻尾を掴まれてずるずると証拠が出て来るような事にでもなれば、イラクを叩き潰した米国は同じ理由で平壌を制圧しなれければ、あれは単なる血生臭い石油商売だった事になりますから、アルカイダみたいにテロ工作員をせっせと養成していた事など一切有ってはなりません。

■いよいよ深刻な泥沼化の様相を呈し始めたイラクに加えて、六カ国協議再開の日程が本決まりになると同時に未曾有のハリケーンがニューオーリンズを壊滅させたのは、北朝鮮にとっては正に神風でしょう。しかし、イラクだけでも内政軽視と明確に非難の声が上がる民主国家の米国は、今、北朝鮮が相当な事をやっても第二のバグダットを想定するのは無理でしょうから、皮肉な事に今回のハリケーンは、バヅダッドと平壌を同時に攻撃する自滅的選択を回避する口実を得たとも言えそうです。

■複雑な国内事情を抱える韓国と共同歩調を取って拉致事件の解決を強行に迫れない日本は、そんな米国の背中越しにうろうろしているしか無いのですから、選挙直後にマスコミに流れ出した拉致被害者の供述内容は、六カ国協議に対するせめてもの援護射撃のように見えます。ずっと前から提出されていた情報を、恥ずかしげも無く、今頃になって小出しにしている日本のマスコミは本気になって同胞を救おうとも思っていないし、長年、平壌から流れてくるヨタ話を垂れ流していた前科を悔いてもいないようです。以下に引用する新聞記事には、新しい情報はほとんど含まれていません!雑誌や救う会が出した本の中で何度も指摘されていた話ばかりです。

 拉致被害者の蓮池薫さん(47)が、北朝鮮で工作員に対して行っていた日本語教育の仕事が、87年11月の大韓航空機爆破事件の後、突然中止されたと関係者に話していたことが分かった。
 関係者によると、蓮池さんは一対一で日本語教育をさせられていた。爆破事件後の88年に「もういい」と当局から言われ、仕事が文献の日本語翻訳に変わった。蓮池さんは「今から考えると、事件の影響ではないか」と話しているという。
 田口八重子さんや横田めぐみさんも、蓮池さんらと同じ集落に住んでいた80年代前半に、工作員向けの日本語教育をしていたことが分かっている。毎日新聞 2005年9月16日
 
■そして、似たようにほとぼりが冷めるのを待ち続けていた発表が文化庁から出ました。やはり、総選挙後のごたごた騒ぎが起こるのを待っていたとしか思えないタイミングです。

キトラ古墳:壁画はぎ取り「10月にも」 文化庁見解
 高松塚、キトラ両古墳(奈良県明日香村)の極彩色壁画がカビなどで汚染されている問題で、文化庁は16日、専門家3人を派遣し、内部の状態を調査した。同庁は、年明けに再開予定のキトラ古墳の壁画はぎ取りについて「10月にも始めたい」との見解を示した。
 石室に入った杉山純多・東京大名誉教授などによると、キトラの朱雀、十二支像・寅(とら)を覆っているゲル状の物質は、バクテリアの分泌物の可能性があるという。今後、両古墳で採取したサンプルを分析し、対処法を検討する。またキトラでは、カビ処置用のエタノールを栄養源とするバクテリアも確認されたことから、これに代わる薬剤の選定を急ぐ。
 キトラ壁画のはぎ取り作業は、石室内温度が上昇する夏場は中断し、年明けの再開が決まっていた。しかし微生物が増殖したため、担当する東京文化財研究所の三浦定俊・協力調整官は「はぎ取る順序や時期を再検討する必要がある。早ければ10月にも作業を再開したい」と話した。毎日新聞 2005年9月16日

■新聞は、「専門家」などと暢気に書いていますが、高松塚古墳が発見された直後からこうした事態は充分に想定されていたのにもかかわらず、お得意の縦割り行政と庁内の縄張り争いと責任の押し付け合いで、立派なハコ物作りにばかり熱心で、古文書を読んでいるだけの「専門家」を指名して、微生物学者にはまったく声も掛けずに素人仕事をしていたのです。予算の執行上、途中経過を発表しなければならなくなる度に、「万事順調」という大本営発表を続けていたのです。文化庁の中でも、文部科学省の中でも、誰も責任を取らぬまま、「文化財」が腐って消えていくのです。商売であれば、絵に描いたような「職務怠慢」「背任罪適応」なのですが、お上の仕事は常に正しい!と言い逃れる裏口を沢山持っているものですから、お役人と御用学者の地位は安泰で、貴重な文化財だけが消えて行く訳ですなあ。

■大衆向けの「歴史小説」を現代のビジネスに活かそうと、強引な文章を毎回掲載している『プレジデント』などの非歴史雑誌が有りますが、我が国の首相は、それと本当の歴史学をごっちゃ混ぜにして平気な、余り教養の無い方なので、今回のキトラ古墳崩壊のだ事件も、「大したことじゃない!」と言っているのでしょうなあ。音痴なくせにオペラ道楽やって見せている場合ではないのですが、あんな程度の素人趣味に感心する有権者もおられるようですから、日本の文化行政が本物になる事などまだまだ先なのでしょうなあ。外交能力を身に付けるのと、文化財の扱い方を知るのと、どちらが先なのでしょうか?

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