ひと休み

2022-10-19 15:53:53 | 

 「ヨーロッパ中世の神話伝説の世界」を読んでいる。チャントリー・ウェストウェル著。原書房。

 さまざまなむかし話と、カラーの挿絵。ワシ好みの世界だが、不可解な点もある。この挿絵の左側。ヨセフが、エジプトのファラオの侍従長ポテパルの妻を誘惑している場面だというが、これは旧約聖書の創世記の記述とは逆だ。本当は妻の方が、ヨセフを誘惑するのだ(39、7以下)。

 この挿絵は、フランス王フィリップ2世の王子の教育係だった修道士ロレントが書いた教科書に載っていたというが、ロレントは、教育に都合がいいように聖書の内容を歪めたのだろうか。中世においては、そういういい加減さが許されていた、ということか。

 あともうひとつ、103ページ2行目以下。「ヨナタンは預言者サムエルがダビデの頭に聖油を注いで将来の王と定めたことを快く思わず、彼を殺す計画を立てる。」とあるのは、明らかな間違い。これはヨナタンではなく、彼の父親のサウル王のことだ。ヨナタンとダビデは愛人関係にあったのにゃ。作者の単なる書き間違いだろうが、翻訳の段階で気づくべきだったにゃう。

コメント
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