最近の日本人の神様との付き合い方に、疑問を投げかける本3冊です。
『まほろばの王たち』
著者:仁木英之
講談社
『神様の御用人』
著者:浅葉なつ
メディアワークス文庫
『日本人なら知っておきたい! カミサマを味方につける本』
著者:井戸理恵子
PHP研究所
八百万の神様のおわす国、日本。
最近は「パワースポット」という言葉で神社へ行く若い人も増えているようです。
それでも、自然や小さな命にも神様を感じることができた昔の日本人の感覚を、今の日本人は失いつつあるような気がします。
『まほろばの王たち』は奈良が都だったころの物語。
物部氏の生き残りの少女広足(ひろたり)と役行者小角(おづぬ)が、自然の神々と都の王たちを巻き込んだ陰謀に立ち向かっていきます。
神々を利用しようとする人間、神々と自然を守ろうとする人間……、人間の欲が鬼よりも恐いのかもしれないなぁと思います。
人間の文化的生活の発展と自然との共存というテーマには、「もののけ姫」を思い出しました。
「広足」は「韓国連広足(からくにのむらじひろたり)」がモデルのようですね。役小角を師としたと言われている呪術者ですが、この物語では女性という設定になっています。
『神様の御用人』は現代が舞台。
神様の困りごとを解決することになってしまった青年と神様たちのやり取りが軽妙で面白い物語です。
『まほろばの王たち』にも出てきた神様「一言主」も登場します。
人間と同じように悩んだりする日本の神様たち。日本の神様に関するコラム「ワンポイント神様講座」も、ためになります。
そして、『日本人なら知っておきたい! カミサマを味方につける本』。
日常生活に神様(カミサマ)を感じていた日本人の暮らしを見直す1冊。
神様の力を分けてもらう、つまり「味方につける」ための、しきたり・年中行事や縁起物・お参りの仕方も載っています。
難しいことはなくて、身ぎれいにして、まじめに生きることが大事なのですね。「神様が見てる」と思うことで人生がまっとうになるのだと思います。
どの本を読んでも、神様にお礼を言いに神社へ行きたくなりますよ。