8日のRacerxOnlineに、著名なアフターマーケット会社「Pro Circuit」の社長で「Pro Circuit Race Team」のオーナーでもあり、かつ優秀なエンジンチューナーでもある、Mitch Paytonさんのインタビュー記事「BETWEEN THE MOTOS MITCH PAYTON」があった。その前段にはこう纏めて書いてある。「“Everybody is buying some old two-stroke and they’re fixing them up as a weekend ride bike. I think there is a certain amount of people that love riding motorcycles and they just want to do it for fun. They don’t need a World Superbike to go ride on.”」とある。
・・米国では、生活の一部として極普通にバイクを楽しんでいる多くの人々がいる。彼らは古い2サイクルのモトクロスバイクを購入し週末には整備し、こうした人生を楽しんでいる。米国の多くの人々はバイクが好きなんだ。だけど、彼らが欲しいバイクはWorld Superbikeマシンでは決してない。・・と言う事なんだろう。
「左:Mitch Payton」
Mitch Paytonさんのインタビューは多岐にわたっているが、その中に、質問者の「Mitchが、バイクマーケットを広げるためには、よりエントリーレベルに適した、格好良くて高性能な2ストロークモトクロスバイクが必要だと日頃から語っている件について」と言う質問に、こう答えている。
「I would love it. I think it’s important. I think the manufacturers, as a whole, have done a pretty good job of trying to keep the minibike classes to two-strokes. I wish Honda would bring out a two-stroke again. I see it in our shop. Our two-stroke pipe sales are fantastic. Everybody is buying some old two-stroke and they’re fixing them up as a weekend ride bike. I think there is a certain amount of people that love riding motorcycles and they just want to do it for fun. They don’t need a World Superbike to go ride on. [Laughs] I almost think—and this sounds crazy, and I’m probably going to get slaughtered for saying it—that we don’t need to have electric start and some of the stuff. We keep pushing the bikes and they keep getting a little bit more sophisticated. Yeah, after a guy has a button, he doesn’t want to go back to kick starting a bike. We had great racing when we just had dumb old two-strokes with a kick start. And the cost was cheaper. (略)」
今、Pro Circuitの2ストローク用のエキゾートパイプはよく売れているそうだ。古い2ストロークエンジンモトクロスバイクを買ってきて、Pro Circuit製のエキゾートパイプを装着し楽しんでいる多くのユーザーがいると、末端市場と常に接点を持ってビジネスを展開してきたPro Circuitは米国の顧客ニーズをこう説明している。されば、世界の半分以上を有する大市場である米国の末端の動きを無視しては通れまい。
最近のモトクロスマシンの主流が4ストロークエンジンに移行し、最新マシンが発表される度に感じたことだが、この開発方向が末端ユーザが本当に望む事なんだろうかとか、ひょっとしたら開発販売企業の都合だけで動いてはいないだろうかと言う疑念を持ってきた。2ストロークエンジンの持つ優位性が、4ストローク化によってエンジンは複雑化し、それは重量増とも繋がり、それにアルミの車体だ。4ストエンジンの持つ欠点を解消するために、油圧クラッチ採用だ、セルスターター採用だとなると、それらは更にコストに跳ねかえり、結局ユーザー負担。これでは健全スポーツを志向するモトクロスファンが逃げていくような気がしていた。あまりにも技術が複雑化してのコスト増ではユーザ負担が増加する。すると、必然的に原点に帰ると言う作用が発生するのは過去の日本のレーサーレプリカ時代もあったように、世界の多くのモトクロスユーザーは、今、販売価格も維持費も安価な2ストロークエンジンのモトクロスマシンを待ち望んいるようだ。
一方、期せずして最近、オーストラリア、カナダ、デンマークそして欧州を主戦勝とするEMX GPサポートシリーズ(EMX250クラスはモトクロスグランプリレースのサポートレースで、欧州では最重要なクラス)が250㏄クラス分けを、従来の4ストロークエンジン250㏄に加え、2ストロークエンジン250㏄エンジンでの出場を許可すると発表している。従来は、このクラスに出場する2サイクルエンジンは排気量半分の125㏄のみが許可されていたが、排気量の差別化を撤廃すると言うものだ。やっと、4ストエンジンが2ストエンジンと同等に競合できるレベルにまで競争力が向上したので、エンジンの差別化をする必要性が無くなった言う事だろうか。ルールは企業のためにあるのでないのだから、エンドユーザーの要求にルールが近づいた。
ルール変更の理由の一つは2ストロークエンジンのメンテナンスの簡便さやコストパフォーマンスの優位性によるもので、末端ユーザーは2ストロークエンジンの利便性を評価し、2ストローク待望論が根強くあっただけに、至極自然な決定だと思う。10年ほど前のルールブックはエンジンストロークによる差別化はなかったが、4ストロークエンジンがモトクロスに適用される従い、性能的に劣っていた4ストロークエンジンを救済するためにエンジン排気量を差別化してきた。
FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が2&4排気量差別化ルール撤廃姿勢を示した事は、数年もせず世界選手権ルールもその方向に動くだろう。4ストエンジンのみを提供している企業にとっては脅威なのかもしれないが、現に欧州のKTMやHusqvarna そしてヤマハも型は古いが2ストロークモトクロスマシンを市場に安価で提供している現実もあり、市場末端ユーザーの選択権を増やすべきとするのは、全くの正論であろう。1998年、ヤマハが4ストロークエンジン搭載のモトクロスマシンを上市して以来、2ストロークエンジンを閉め出すルール化となったが、その後もヤマハは2&4を旗印に決して差別化をしなかった。構造がシンプルで取扱い軽量、加えて瞬発力があってコストパフォーマンスに優れたモトクロスマシンを市場は求めてきたのだ。
・・米国では、生活の一部として極普通にバイクを楽しんでいる多くの人々がいる。彼らは古い2サイクルのモトクロスバイクを購入し週末には整備し、こうした人生を楽しんでいる。米国の多くの人々はバイクが好きなんだ。だけど、彼らが欲しいバイクはWorld Superbikeマシンでは決してない。・・と言う事なんだろう。
「左:Mitch Payton」
Mitch Paytonさんのインタビューは多岐にわたっているが、その中に、質問者の「Mitchが、バイクマーケットを広げるためには、よりエントリーレベルに適した、格好良くて高性能な2ストロークモトクロスバイクが必要だと日頃から語っている件について」と言う質問に、こう答えている。
「I would love it. I think it’s important. I think the manufacturers, as a whole, have done a pretty good job of trying to keep the minibike classes to two-strokes. I wish Honda would bring out a two-stroke again. I see it in our shop. Our two-stroke pipe sales are fantastic. Everybody is buying some old two-stroke and they’re fixing them up as a weekend ride bike. I think there is a certain amount of people that love riding motorcycles and they just want to do it for fun. They don’t need a World Superbike to go ride on. [Laughs] I almost think—and this sounds crazy, and I’m probably going to get slaughtered for saying it—that we don’t need to have electric start and some of the stuff. We keep pushing the bikes and they keep getting a little bit more sophisticated. Yeah, after a guy has a button, he doesn’t want to go back to kick starting a bike. We had great racing when we just had dumb old two-strokes with a kick start. And the cost was cheaper. (略)」
今、Pro Circuitの2ストローク用のエキゾートパイプはよく売れているそうだ。古い2ストロークエンジンモトクロスバイクを買ってきて、Pro Circuit製のエキゾートパイプを装着し楽しんでいる多くのユーザーがいると、末端市場と常に接点を持ってビジネスを展開してきたPro Circuitは米国の顧客ニーズをこう説明している。されば、世界の半分以上を有する大市場である米国の末端の動きを無視しては通れまい。
最近のモトクロスマシンの主流が4ストロークエンジンに移行し、最新マシンが発表される度に感じたことだが、この開発方向が末端ユーザが本当に望む事なんだろうかとか、ひょっとしたら開発販売企業の都合だけで動いてはいないだろうかと言う疑念を持ってきた。2ストロークエンジンの持つ優位性が、4ストローク化によってエンジンは複雑化し、それは重量増とも繋がり、それにアルミの車体だ。4ストエンジンの持つ欠点を解消するために、油圧クラッチ採用だ、セルスターター採用だとなると、それらは更にコストに跳ねかえり、結局ユーザー負担。これでは健全スポーツを志向するモトクロスファンが逃げていくような気がしていた。あまりにも技術が複雑化してのコスト増ではユーザ負担が増加する。すると、必然的に原点に帰ると言う作用が発生するのは過去の日本のレーサーレプリカ時代もあったように、世界の多くのモトクロスユーザーは、今、販売価格も維持費も安価な2ストロークエンジンのモトクロスマシンを待ち望んいるようだ。
一方、期せずして最近、オーストラリア、カナダ、デンマークそして欧州を主戦勝とするEMX GPサポートシリーズ(EMX250クラスはモトクロスグランプリレースのサポートレースで、欧州では最重要なクラス)が250㏄クラス分けを、従来の4ストロークエンジン250㏄に加え、2ストロークエンジン250㏄エンジンでの出場を許可すると発表している。従来は、このクラスに出場する2サイクルエンジンは排気量半分の125㏄のみが許可されていたが、排気量の差別化を撤廃すると言うものだ。やっと、4ストエンジンが2ストエンジンと同等に競合できるレベルにまで競争力が向上したので、エンジンの差別化をする必要性が無くなった言う事だろうか。ルールは企業のためにあるのでないのだから、エンドユーザーの要求にルールが近づいた。
ルール変更の理由の一つは2ストロークエンジンのメンテナンスの簡便さやコストパフォーマンスの優位性によるもので、末端ユーザーは2ストロークエンジンの利便性を評価し、2ストローク待望論が根強くあっただけに、至極自然な決定だと思う。10年ほど前のルールブックはエンジンストロークによる差別化はなかったが、4ストロークエンジンがモトクロスに適用される従い、性能的に劣っていた4ストロークエンジンを救済するためにエンジン排気量を差別化してきた。
FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が2&4排気量差別化ルール撤廃姿勢を示した事は、数年もせず世界選手権ルールもその方向に動くだろう。4ストエンジンのみを提供している企業にとっては脅威なのかもしれないが、現に欧州のKTMやHusqvarna そしてヤマハも型は古いが2ストロークモトクロスマシンを市場に安価で提供している現実もあり、市場末端ユーザーの選択権を増やすべきとするのは、全くの正論であろう。1998年、ヤマハが4ストロークエンジン搭載のモトクロスマシンを上市して以来、2ストロークエンジンを閉め出すルール化となったが、その後もヤマハは2&4を旗印に決して差別化をしなかった。構造がシンプルで取扱い軽量、加えて瞬発力があってコストパフォーマンスに優れたモトクロスマシンを市場は求めてきたのだ。