野々池周辺散策

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'15年鈴鹿8耐の事前テスト始まる

2015-07-17 06:15:14 | モータースポーツ
   
2015年の鈴鹿8耐開催日は7月26日。最近の天気予報によると台風11号の進路状況によって太平洋高気圧の張り出し状況が予想出来るとかで、今年の梅雨明けはかなり早いとの予報もある。そうなれば暑い鈴鹿8耐がやってくる。既に早くから日本の二輪企業は8耐ネット情報を投稿しており、チーム構成や公開合同テスト等、各チームの鈴鹿8耐にかける状況確認ができるので楽しみに読んでいる。各社のネット情報の中で、ホンダの「ホンダ2015鈴鹿8時間耐久ロードレース」とヤマハの「ヤマハ2015鈴鹿8耐スペシャルサイト」は鈴鹿8耐にかける思いや、チームの動き、公開合同テストの状況等が随時投稿してくるので、鈴鹿8耐ファンが欲しがる細かい情報が手に取るように分かり易く実に面白い。カワサキも「カワサキ鈴鹿8耐スペシャル情報」を情報発信しているが、ホンダやヤマハに比べ情報量が圧倒的に少ないように見える。

昨年の鈴鹿8耐は、カワサキ直系のチームが13年ぶりに参戦し、日本の4大二輪企業に繋がる準(セミ)ワークスチームが出揃い、灼熱の8時間耐久レースでしのぎを削ることになった。昨年は「カワサキの復帰」が話題となり、カワサキワークスの本格参戦と言う誤解した報道のメディアもあったが、カワサキの本格参戦と言っても、かつてのワークスチーム「Kawasaki Racing Team」が参戦したわけではなく、カワサキの国内販売会社が運営する「Team Green」の参戦であった。現在の鈴鹿8耐では、80年代~2000年初頭にかけての国内二輪4大企業のワークスチームが凌ぎを削った激しい対決は、その後姿を消し存在しなくなっていた。そのかわり、国内有力レーシングチームやメーカー系の強い販売店チームが、二輪企業からワークス級マシン等の支援を受けて戦う、いわば、準ワークスチームの戦いの舞台となっていた。ところが、今年2月、ヤマハ発動機は「国内外レースに出場する2015年ヤマハ主要チームの体制について」でワークス「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」の結成を発表し、5月には、全日本JSBチャンピオンを中心にMotoGP現役ライダーを加えたワークスチームが2002年以来13年ぶりに鈴鹿8耐に参戦し、19年ぶりの「優勝」を狙うと発表した。一方、昨年までの常勝チームである、ホンダ系の「MuSASHi RT ハルク・プロ」は元MotoGPチャンピオンのケーシー・ストーナー選手の参戦を発表した。これらによって今年の鈴鹿8耐は俄然話題を集める事となる。

7月7日、8日に行われた鈴鹿サーキットでの第2回公開合同テストがUSTREAMで報道されていたので、各チームのタイムを含め興味を持ってパソコンを見つめていた。ヤマハワークス「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」がテストを見合わせる中でのテスト2日目に、前年王者のホンダ系のNo.634 MuSASHi RT HARC PROが2分07秒847でトップタイムを記録し、昨年同様に好調さを維持している。それより前の6月中旬、全日本JSB菅生大会でのセミ耐久の事前テストは、鈴鹿8耐の前哨戦と言う事で、8耐に備えての各チームの取組等準備状況が確認できた。それによると、ヤマハのニューマシンR1と中須賀選手が圧倒的に速く、続いて速さと安定感のあるヨシムラスズキとマシン性能は旧態だが安定性があるホンダが続き、3チームに少し遅れてカワサキという位置づけだったので、ヤマハ侮り難しと言う所だろう。

7月14日行われた第3回公開合同テスト結果をみると、ヤマハワークスチームの周回ラップタイムが7秒台で最も速く、続いてスズキ系のヨシムラ、ホンダ系の HARC PROと続き、カワサキのチームグリーンはトップより1秒遅れだった。順当ならこの辺りまでが優勝の可能性に近い。

鈴鹿8耐は8時間内に如何に多くの周回数を重ねることができるかの勝負なので、一義的には鈴鹿サーキットの周回タイムが競争相手より速ければ圧倒的に有利だ。だから、合同テストではラップタイムを短縮できる仕様を見つけるのに各チームとも苦心する。しかし、8耐は個人のタイムが速いから勝てるかと言うと必ずしもそうではない。最終的には各チームの総合力の争いとなり、組織対組織の争いで、組織の完成度によって勝敗は決する。そうは言ってもラップタイムが速い方が有利であることに変わりはないので、タイム差を実際の耐久レースにどのように織り込んでいくか、残り2週間弱、各チームの作戦の悩みどころだろう。

ただ、ヤマハのワークスチームが速いと言っても参戦しているのは1チームだけ。同じくホンダ、カワサキ、スズキ系のセミワークスも1チームだけの参戦だから、過去の例から言えば、特定したどこかのメーカー系が必ず勝つという保証は全くない。鈴鹿8耐は8時間の耐久中、天候激変等を含め発生するトラブルを如何に素早く対処でき、最小限に抑え込めるかの勝負であるが、これは最終的には組織力の勝負。完璧に近い準備したと言えども、速いと言われたヤマハでさえ昨年はレース序盤でマシントラブル発生。また、圧倒的マージンを確保しながらも、トップ走行中の#11TSRレーシングチームの悲劇(転倒)は何とも言えないほど残念だった。完璧に対応したと言っても所詮人がやること、関連要素が増えれば増えるほど不具合発生要因も増える。だがら、必勝を考えるなら1チームに勝負をかけることは一般的にはしない。

過去、かってはホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキから 計11~12チームのワークスチームが出場し、それこそ激しい火花を散らす強烈なインパクトを持つ時代があった。少なくともワークスチームであればどのチームも勝つ可能性はある。それぐらいワークスの実力は拮抗していたので、最終的にはリスク回避の目的のために、必勝を狙うメーカーなら複数チームを参戦させ、勝つ確率を高く設定していた。これは四輪の世界も同様で、例えば、6月13~14日に決勝が行なわれた第83回ルマン24時間耐久レース。総合優勝争いはポルシェとアウディによって始終展開され、ポルシェが17回目の勝利を1-2で飾ったレースだったが、アウディが3、4位で、続く5位はまたポルシェ、トヨタは6位だった。ルマン24時間には、ポルシェとアウディのワークスは夫々3チーム参戦させ、トヨタと日産は夫々2チームだけ。ポルシェとアウディはルマン24時間の常勝チームで経験豊富、しかもラップタイムも一番、いわゆる耐久王が必勝態勢を組んで3チーム参戦させれば、他のチームの勝率は必然的に低くなるのはあたりまえで、結果的にそうなった。耐久レースに勝つには生き残り確率を高く設定することだから、経験や実力が伯仲しておれば、より多くのチームを参戦出来るメーカーが勝つ可能性は高い。実際、苦闘した日本勢トヨタと日産にとっては耐久王ポルシェやアウディの底力を見せつけられたと書いてあったが、ドイツチームの方がより勝つ確率の高い作戦を実行しただけ。

とは言っても、2015年は13年ぶりにヤマハワークスが参戦し、鈴鹿8耐3回優勝のホンダ系 HARC PROチームも元MotoGPチャンピオンを参戦させるので、興奮度は近年にないほど高い。かっての賑わいを、鈴鹿は取り戻しつつある。

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