綾辻行人ほかの著者によるアンソロジー。
ちょっと古いものだが、角川ホラー文庫のテイストが嫌いでないなら
豪華な著者陣でわりと読み応えもあり、お得だと思う。
一番怖いのが人間ならば、自分でもよくわからない自分自身は、
最恐の存在ではないだろうか。
そんな切り口から始まる小さな物語。
著者ごとに視点も文体も異なるのが、その共通点を強調する。
松本侑子「晩夏の台風」は、どろどろとした愛憎がとてもうまく
描き出されている。納得の上で関係したはずなのに次第にずれていく精神と身体。
ストーリーを追いたい人にはつまらないかもしれないが、心理描写とか
わけのわからない感情の揺れみたいなものはよく伝わってくる。
個人的に好みなのは清水義範「トンネル」。異世界への入口とも言えるトンネルに
浮かび上がる不思議な光景。
目新しいものではないけれど、ノスタルジックで心惹かれる。
マイホームを無理して得たが故に、長距離通勤を強いられ疲れ果てた主人公の姿も
親近感をもつ人が多いのではないだろうか。
ま、今時はそういう形の無理をする人は減っているけどね。
仕事で精根尽き果ててやっと家に帰り着く、って働くモノにとって身近なことだから。
そんなこんなで、どれかひとつは好きな作品に出会えそうな一冊だ。
ちょっと古いものだが、角川ホラー文庫のテイストが嫌いでないなら
豪華な著者陣でわりと読み応えもあり、お得だと思う。
一番怖いのが人間ならば、自分でもよくわからない自分自身は、
最恐の存在ではないだろうか。
そんな切り口から始まる小さな物語。
著者ごとに視点も文体も異なるのが、その共通点を強調する。
松本侑子「晩夏の台風」は、どろどろとした愛憎がとてもうまく
描き出されている。納得の上で関係したはずなのに次第にずれていく精神と身体。
ストーリーを追いたい人にはつまらないかもしれないが、心理描写とか
わけのわからない感情の揺れみたいなものはよく伝わってくる。
個人的に好みなのは清水義範「トンネル」。異世界への入口とも言えるトンネルに
浮かび上がる不思議な光景。
目新しいものではないけれど、ノスタルジックで心惹かれる。
マイホームを無理して得たが故に、長距離通勤を強いられ疲れ果てた主人公の姿も
親近感をもつ人が多いのではないだろうか。
ま、今時はそういう形の無理をする人は減っているけどね。
仕事で精根尽き果ててやっと家に帰り着く、って働くモノにとって身近なことだから。
そんなこんなで、どれかひとつは好きな作品に出会えそうな一冊だ。