小野不由美 著
その部屋は不審な音がした。
重い布が畳を引きずるような、そして不可思議な気配。
調べてみても何もない。
事故も事件も、そして近所の人も。
それなのになぜか住人はいつかず、次々と変わっていく。
そんなありがちな“町の怪談”みたいなものを
徹底的に掘り下げて調べてみたら何が出てくるのか。
ごく普通のマンションが建つ前、そこには何があったのか。
誰が暮らし、どんな町が形成されていたのか。
調べても調べても手掛かりはあまりに少なく、バブルを挟んで
土地は細分化されて、もとの持ち主はわかりにくい。
それを可能な限りのつてを求めてさかのぼり、突き詰める。
どんどんどんどん進んでいるのに、何もわからない過程が
とても怖かった。こういう怖い出来事って、何らかの理由付けが
されると安心できる。それが理由だったんじゃないかとこじつけられる。
だって、それなら自分は関係ないと思えるから。
そして小さなささやかな“つながり”が少しずつ見えてくる。
関係ないかと思えるようなそのつながりは、実は大きな意味をもち、
そしてさらに広がっていく。
……つながりたくないです。
怖いという意味では著者の作品でもナンバーワンかもしれない。
夜中に読んでちょっと後悔した。
その部屋は不審な音がした。
重い布が畳を引きずるような、そして不可思議な気配。
調べてみても何もない。
事故も事件も、そして近所の人も。
それなのになぜか住人はいつかず、次々と変わっていく。
そんなありがちな“町の怪談”みたいなものを
徹底的に掘り下げて調べてみたら何が出てくるのか。
ごく普通のマンションが建つ前、そこには何があったのか。
誰が暮らし、どんな町が形成されていたのか。
調べても調べても手掛かりはあまりに少なく、バブルを挟んで
土地は細分化されて、もとの持ち主はわかりにくい。
それを可能な限りのつてを求めてさかのぼり、突き詰める。
どんどんどんどん進んでいるのに、何もわからない過程が
とても怖かった。こういう怖い出来事って、何らかの理由付けが
されると安心できる。それが理由だったんじゃないかとこじつけられる。
だって、それなら自分は関係ないと思えるから。
そして小さなささやかな“つながり”が少しずつ見えてくる。
関係ないかと思えるようなそのつながりは、実は大きな意味をもち、
そしてさらに広がっていく。
……つながりたくないです。
怖いという意味では著者の作品でもナンバーワンかもしれない。
夜中に読んでちょっと後悔した。