薄井ゆうじ 著
シンタロウの父が残した別荘と、そこに届いた謎の手紙。
その近所で見かける不思議な犬と男。
避暑地の静かな空気の中でであった物語だ。
男はマサル(仮)。彼は出生届が出されないまま、母親に育てられた。
彼が父にそっくりであることに気づき、シンタロウは動揺する。
この世に生を受けること、自分が誰であるかを知ることって
どんな意味があるのだろう。
少なくとも生まれたとき、幼いときには、本人がそれを選び取ることは
不可能に近いのだから。
自分はこうではないはずともがいても、周囲の大人が何もしてくれなければ
どうするすべもない。
やがてマサルはその才能を“くじら”という形で表現し、世の中に影響を与える。
それが直接幸せには結びつかなくても、生きている証はできたのだ。
この話の現実離れした雰囲気は誰もが金に困っていない、ということに
ありそうだ。唯一自分で働き、やめると困るなあと漠然と考える
シンタロウにしても、別荘という器があり、創作という道がある。
あとの人たちはいわずもがな。
最後はなんだか強引に自分の血を子どもに託した形で終わるのだが、
それこそとてつもなく責任が生じ、とてつもないお金がかかるので、
普通の人はそこで現実に戻る。のだが、それもない。
だって困ってないから。まあファンタジーなのだ。
異世界ものなんかにはどっぷりはまりこんで楽しめる私だが、この子ども絡みの
話にはどうもだめだった。
無介助分娩や水中出産など軽々しく扱ってほしくないものが登場するのも
嫌だなあと思う大きな原因だ。
くじらがあふれるほど描かれる黄色い学校とか、潔癖が行き過ぎた描写とか
いいなと思う場面もあるのだが。
シンタロウの父が残した別荘と、そこに届いた謎の手紙。
その近所で見かける不思議な犬と男。
避暑地の静かな空気の中でであった物語だ。
男はマサル(仮)。彼は出生届が出されないまま、母親に育てられた。
彼が父にそっくりであることに気づき、シンタロウは動揺する。
この世に生を受けること、自分が誰であるかを知ることって
どんな意味があるのだろう。
少なくとも生まれたとき、幼いときには、本人がそれを選び取ることは
不可能に近いのだから。
自分はこうではないはずともがいても、周囲の大人が何もしてくれなければ
どうするすべもない。
やがてマサルはその才能を“くじら”という形で表現し、世の中に影響を与える。
それが直接幸せには結びつかなくても、生きている証はできたのだ。
この話の現実離れした雰囲気は誰もが金に困っていない、ということに
ありそうだ。唯一自分で働き、やめると困るなあと漠然と考える
シンタロウにしても、別荘という器があり、創作という道がある。
あとの人たちはいわずもがな。
最後はなんだか強引に自分の血を子どもに託した形で終わるのだが、
それこそとてつもなく責任が生じ、とてつもないお金がかかるので、
普通の人はそこで現実に戻る。のだが、それもない。
だって困ってないから。まあファンタジーなのだ。
異世界ものなんかにはどっぷりはまりこんで楽しめる私だが、この子ども絡みの
話にはどうもだめだった。
無介助分娩や水中出産など軽々しく扱ってほしくないものが登場するのも
嫌だなあと思う大きな原因だ。
くじらがあふれるほど描かれる黄色い学校とか、潔癖が行き過ぎた描写とか
いいなと思う場面もあるのだが。