息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

運命が見える女たち

2012-06-27 10:46:38 | 著者名 あ行
井形慶子 著

スピリチュアルは嫌いではない。
不思議な力はあると思うし、それを強くもつ場所や人があるのも理解できる。
神社の清浄な空気や、巨木の凛とした強さ、カンの働く鋭い人。
言い伝えられる禁忌、どれをとっても“何か”があるとしか思えないではないか。

占いはあまりしないけれど、興味がないわけではない。
力強くアドバイスされればきっと影響を受けると思う。

そんなスタンスの私が読んでみたわけだが。

何よりも怖いと思った。
なぜなら、著者は人一倍賢い。しかも経営者として経験値も高い。
あくまでも仕事として霊能者に出会うわけだ。
それなのに、途中であきらかにのめりこんでいくのだ。
こんなふうにいつもいつも答えを聞きたい、話を聞いてほしい、と
いう習慣がついてしまったら……と思うと非常に怖い。

登場する霊能者は良心的な人ばかりであるが、それでも高価だ。
1分間200円。
30分間5000円。
具体的に出てくる金額はそれほど高く感じないが、一晩中語ったという
描写もあるから、支払額は相当なものであると想像できる。
著者は経費としてあらかじめ200万円を用意されていたが、その後は
自腹を切ってでも取材を続けている、というか相談を続けている。
ちょうど彼女にとって大きな変化をもたらした時期であったことも
あるだろうが、この相談が生活の一部になっていた印象だ。

潜入ノンフィクション、と銘打ってあるが、なんとなく違う感じを受けた。
すごい迫力と、自身の体験だからこそ語れる深い話、ではある。
しかし、あまりにも個人的な感情に偏りすぎていて小説っぽくなって
いるような?
それに私はどうしても彼女が経営する会社のスタッフ目線で見てしまい、
不安や利用されている不快感を感じてしまうからなのかも。

それから子どもの頃のエピソードはいらなかったかな?
「塔」の話につなげたかったのだろうが、あまりうまく機能せず、
個人的な想いが先走っているように思えた。

構成も文章もうまいのでぐいぐい読める。
スピリチュアルをちょっと違う角度から見るにはいい作品だ。

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2 コメント

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参考になりました (ジュビリー)
2012-07-28 12:10:36
こういった本は大好きです
加門七海さんの本も似たようなものがありますが
また違ったテイストなのでしょう・・
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ありがとうございます (miyuyoicoral)
2012-07-31 11:31:22
コメント慣れしてなくて、遅くなりました。
すみません。
淡々と自分勝手に書いている文章をお読みいただき
すごくうれしいです。
加門七海さんは私も好きです。
加門さんはご本人が不思議な力をお持ちのようなので
少しテイストが違う気がします。
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