堤未果 著
アメリカもついに「国民皆保険」制度を取り入れた……単純に
そう思っていた「オバマケア」。
本書を手にし、それがとんでもない誤解であることに気づいた。
貧しい人たちをもカバーするはずのオバマケアは、実は診療の機会を減らし、
加入していた医療保険の掛け金を急増させ、たった一度の病気やけがが
破産につながるほどの負担を強いる、恐怖の制度となりつつある。
こんな制度を生み出してしまったのは、製薬会社と保険会社、そして
ほんのわずかな富裕層たちががっちりと結束したからだ。
利益を得ているものはそれを手放さず、結果としてもっとも弱いものが
そのぶん被害を受けることになる。
生死にかかわる医療分野でそれが行われたことで、医師たちの立場すら
危うくなり、適切な治療やケアが困難になっている。
これに比べると、ほぼ全員が健康保険に加入し、保険証があれば
たいていの医療機関で診察治療が受けられる日本は天国である。
しかし、それはあくまでも現在は、ということなのだ。
今まさに動いている政治の方向性は、あきらかにアメリカが歩んできた
ほうを向いている。
オバマケアに期待し、その実現のための運動に尽力した人たち自身が
まともな医療を受けることができない状況に追い込まれている。
身内が病と闘い、健康保険のありがたみを感じている今、
それは明日のわが身かもしれない、と思うとぞっとする。
アメリカもついに「国民皆保険」制度を取り入れた……単純に
そう思っていた「オバマケア」。
本書を手にし、それがとんでもない誤解であることに気づいた。
貧しい人たちをもカバーするはずのオバマケアは、実は診療の機会を減らし、
加入していた医療保険の掛け金を急増させ、たった一度の病気やけがが
破産につながるほどの負担を強いる、恐怖の制度となりつつある。
こんな制度を生み出してしまったのは、製薬会社と保険会社、そして
ほんのわずかな富裕層たちががっちりと結束したからだ。
利益を得ているものはそれを手放さず、結果としてもっとも弱いものが
そのぶん被害を受けることになる。
生死にかかわる医療分野でそれが行われたことで、医師たちの立場すら
危うくなり、適切な治療やケアが困難になっている。
これに比べると、ほぼ全員が健康保険に加入し、保険証があれば
たいていの医療機関で診察治療が受けられる日本は天国である。
しかし、それはあくまでも現在は、ということなのだ。
今まさに動いている政治の方向性は、あきらかにアメリカが歩んできた
ほうを向いている。
オバマケアに期待し、その実現のための運動に尽力した人たち自身が
まともな医療を受けることができない状況に追い込まれている。
身内が病と闘い、健康保険のありがたみを感じている今、
それは明日のわが身かもしれない、と思うとぞっとする。