息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

文芸あねもね

2012-03-19 10:15:36 | 書籍・雑誌
彩瀬まる・豊島ミホ・蛭田亜紗子・三日月拓・南綾子
宮木あや子・山内マリコ・山本文緒・柚木麻子・吉川トリコ

震災復興のために何かできないかと思い立った10人がつづるアンソロジー。
「女による女のためのR-18文学賞」の受賞者たちに山本文緒と柚木麻子を
加えた豪華メンバーでつくられ、当初は電子書籍で発表された。
売り上げはすべて義捐金にまわされた。
決してお金持ちとはいえない著者の多くにとって、実に思い切った取り組み
だったと思う。

で今回文庫化。以前に何かで南綾子を紹介した記事を読んだことがあって
おもしろそうだな、と思っていたのだが、やはり一番ツボにはまった。
「ばばあのば」だもん。タイトルから秀逸。
そのばばあは自分のなれの果てなのだ。不倫に人生を費やした挙句の。

彩瀬まるの「二十三センチの祝福」は胸がキュンとする。
売れないグラビアアイドル・ルルコに出会った主人公・加納達夫。
ときどき靴の修理をしてやり、お礼に手料理をつくってもらう。
そこに夢を追う哀しさや自分の気持ちに潜む冷たさなどが絡みあい、
静かでやさしい物語になっている。

短期間でつくられたとは思えないクオリティ。
まだ新人に近い作家が多いのに、とてもいいものができていると思う。

でもやたらとホテル清掃員が登場するのが、なんだか切ない。
不安定な小説書きという仕事に対し、自分の未来を重ね合わせるのが
こんなイメージなんだろうな。まったくひとごとではないわ。

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1 コメント

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考えもしない作家がついに単行本 (城穣)
2012-09-09 21:42:14
・・・なんて失礼な書き方ですが、
山内マリコさんが本を出しました!
『ここは退屈迎えに来て』という作品ですが、
面白かったです。しかも初作品だったそうですね。
そんな山内さんについての面白い記事がネットにありました。
http://www.birthday-energy.co.jp

同じお誕生日の小池栄子さんとの比較が面白い
ですが、最初は躓きやすい性格なんですね。
うまくやってもらって、これからも楽しい本を
出していただければ、嬉しいですね。
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